思い込み

私って臆病だ・・・さっさと覚悟を決めて踏み出さないから・・・先輩の事だけじゃない。他の事だってそう。

「美優!」あっ。京花が戻って来た。私はそっぽを向き頬を膨らませた。

「美優、怒ってる?」京花は不思議そうに聞いた。京花私が見てた事知らないんだ。私は更にそっぽを向いた。

「美優?私美優に何か悪い事した?」悪い事はしてないよ。ただ・・・キーンコーンカーンコーン。

「席付け!」担任の先生が言った。京花は仕方なく自分の先へ座った。朝礼終わり。

1時間目の科学が移動教室の為私は教科書・ノートを持って教室を出た。その時。ドン!誰かとぶつかった。

「ごめん!大丈夫?」顔を上げると、栗原先輩が私の事を心配そうに見つめていた。何でこんな時に限って先輩なの!私は顔が熱くなるのを感じた。

「美優!怪我してない?」栗原先輩は床に落ちた教科書とノートを拾うと私に渡してくれた。無意識の内にそれを雑に受け取ると、私は全速力で走り去った。

「美優!」背中越しに先輩が私の名前を叫んだのが聞こえた。でも振り返らなかった。京花と付き合っておいて軽々しく私の名前呼ばないで!私の気持ちも知らないで!走っていると何だか急に泣けて来て涙が流れた。

栗原先輩・・・私だけを見て下さい・・・





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