第12話

「今日倒した奴、すごい大物の賞金首なんだって!」

「ほんと?じゃあ今日はごちそうだ!」

 晴れた昼下がり、フリーデとリンネは一か月ぶりに城にある竜の広場に降り立った。城の兵士がクロガネとオリジンを預かると、二人はイフリートを見つけた。

「あっイフリートだ」

「少し太ったかもねーあの子」

「クローディアが甘やかしてるからな~」

 ひとしきりイフリートを眺めた後、二人は城の賞金首の担当がいる部屋に向かって城内を歩き始めた。城内に日の光が帯のようになって等間隔に斜めに差し込んでいる。向こうから立派な装飾が入った軽鎧を着たクローディアが歩いて来た。リンネが手を振った。

「クローディアぁ!元気!?」

「元気よ。そっちも元気そうね。フリーデ、大物を捕まえたって?」

「ええ。今夜は御馳走でございます騎士団長様。いつものお店でよろしいですかな?」

「よきに計らえ~。やめてよもう」

 三人は笑って歩き出した。クローディアは騎士団長として王都に残った。現在は女王のために日々仕事をこなしている。フリーデとリンネは元の自由な暮らしを続けている。謁見の間を通り過ぎた際、女王と目が合ったフリーデは一礼した。女王は優しい笑みでフリーデを見送った。

「じゃあ夜にね」

「うん分かった」

 フリーデとリンネはオリジンとクロガネを預けたまま城を出た。街を歩くと噴水の女神像が目に入り、ふとフリーデの脳裏に昔聞いた言葉が蘇った。

(あなたの夢は何ですか?)

 噴水を見ながらフリーデは呟いた。

「死ぬまで・・・自分で舵を取る事かな」

 先を歩いていたリンネが振り返った。

「ん?どうかしたフリーデ?」

「ううん、何でもない」

 フリーデが青い空を見て大きく伸びをした。

「今日もいい天気ね」


 完

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ありんこドラグーン げど☆はぐ @RokkouMasamune

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ