魔法の絨毯を操るにわか令嬢は、見えないところに秘密があります
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第1話
き、緊張する。
何と一年前まで平民だったウォーカー男爵家庶子の私ジェーンが、麗しの第二王子アーノルド殿下に謁見ですって。
どうしてこうなったかですって?
それが何とも数奇な運命で。
母が亡くなったので、もしもの時には頼りなさいと言われていたお屋敷に行ったのです。
そうしましたら何と、父が男爵様だと言うことが判明。
ちょうどその時魔力の大きい者を探していた宮廷魔道士に出会い、スカウトされたのです。
男爵様は私を認知してくださいましたが、顔すら見ていないのでどんな人だかもわかりません。
でも宮廷魔道士見習いになれて、行くところができたのでよかったです。
その際、アーノルド殿下に大変お骨折りいただいたということを後で聞きました。
見ず知らずの平民上がりの私に対して、何と御親切なのでしょう!
これだけでアーノルド殿下が素敵なお方だとわかりますね。
持ち魔力は大きいそうですけれども、魔法の教育なんか受けていない私が何の役に立つのかと思いました。
聞いてみましたら、古代のアーチファクトと呼ばれる魔道具を用いるのには、とにかく魔力の大きいことが必要だそうで。
私には魔法の絨毯を渡されました。
使えるようになることが仕事だと。
使ってみましたよ。
いきなり振り落とされてケガをしましたね。
見てた宮廷魔道士達が皆頷いてるんですよ、やはりそうかって。
魔法の絨毯を乗りこなすには乗馬以上の訓練が必要じゃないか、って推測されていたらしいです。
空高くから落とされでもしたら、大ケガじゃすまないかもしれないとのこと。
私はバカでした。
何故誰も空飛ぶ絨毯を研究していなかったか。
何故魔力の大きい者を探していたかを、ここに至ってようやく理解したのです。
スパルタ教育の始まりです。
とにかく回復魔法と重力魔法を覚えろと。
でなきゃ死ぬぞと。
一〇日で覚えたらどうしてそんなに早く覚えられるんだ? と皆さん不思議がっていました。
自分の命がかかっているからですよ!
その後は魔法の絨毯の訓練と、合間に他の魔法も教えてもらいました。
私は頭がよくないので、魔法の組み立てや魔道具の作製等の研究などはできません。
が、魔法を使う方の筋は悪くないようで。
たくさんの魔法が使えるようになったので、皆さんには感謝しています。
そんな私でも魔法の絨毯には苦戦しました。
乗り手と絨毯との相性があるんじゃないですかね?
絨毯が意思を持っているように感じました。
しかし一年も経てばさすがに乗りこなせるようになります。
今では魔法の絨毯が可愛くて仕方ないくらいです。
そして今日、第二王子アーノルド殿下に謁見し、魔法の絨毯の操縦をお披露目することになったのです。
魔法の絨毯が収納された指輪を優しく撫でます。
頑張りましょうね、と。
◇
――――――――――第二王子アーノルド視点。
ジェーン・ウォーカーについて初めて聞いた時には、気の毒な少女という認識でしかなかった。
男爵が侍女に産ませた子で、自分が貴族の庶子であることさえ知らず、しかも母を失ったとの話だったからだ。
王家では騎士団の裁量権は兄の王太子にあり、宮廷魔道士の研究はオレの指揮下で行われるという、分業がなされている。
オレもそれなりの成果を出さねばならぬわけで。
古代のアーチファクトの解析は、どうしても莫大な魔力の持ち主が必要だ。
占術師に我が国随一の魔力持ちはどこにいるかを探させたところ、件のジェーンだった。
ところが哀れな痩せた少女は、今まさに男爵によって追い払われようとする寸前だったのだ。
……知らんぷりして、放り出されたジェーンを雇ってもよかった。
だが、貴族と平民とでは後の扱いが全く異なる。
平民として雇ったのでは、不憫なジェーンのためにならないのだ。
ほんの少しの慈悲のつもりだった。
娘を寄越せば支度金が出るのだが、娘でないのなら関係ないなと男爵に持ちかけたら、すぐさまジェーンを認知し娘ですと差し出した。
ゲスな取り引きだと言わば言え。
これでジェーンは形式上ウォーカー男爵家の令嬢だ。
ウォーカー男爵家の娘として出仕させるか、それとも魔道研究所預かりにするか選べ。
ちなみに研究所預かりの方が支度金は高いぞと言ったら、簡単に売り渡した。
男爵家出身の魔道士見習いジェーン嬢のでき上がりだ。
魔道研究所預かりとなってウォーカー男爵家と縁が切れたので、口を出されることもない。
オレのできることはここまでだ、何とか地獄の訓練を生き残ってくれよ、と当時は思った。
ジェーン嬢は掘り出し物だったらしい。
僅か一〇日で回復魔法と重力魔法の基礎を覚えたという報告を皮切りに、各人が面白がって魔法を教えた結果、大概の魔法を使える大魔道士がたった一年で誕生した。
魔力とセンスを併せ持つことってあるんだなあ。
そればかりでなく、ついに魔法の絨毯を乗りこなすことに成功したとか。
魔法の絨毯は、難物のアーチファクトの一つだ。
理論は解明されているのだが、発想がおかしい。
伝説クラスの魔物スカイドラゴンの魂を宿らせてあるというものなのだ。
スカイドラゴンを懐かせることができなければ乗れない理屈。
『誰も乗れないだろう』という、発明者のメモが残されている。
だからこそ魔法の絨毯を使いこなすことができたなら、宮廷魔道士の研究の成果を強くアピールすることができる。
高速で空を飛ぶなんて派手で、デモンストレーションにはピッタリだしな。
今日、魔法の絨毯で飛ぶ様を見せてくれるとのことなので、大層楽しみなのだ。
「アーノルド殿下、大変です!」
「何事だ」
近衛兵が駆け込んできた。
「王女殿下が月の塔から落ちそうなのです!」
「エステルが? 何をやっているんだ!」
妹のエステルはお転婆で困る。
王族だということを自覚して欲しいものだ。
「落ちそうとはどういうことだ? 月の塔は立ち入り禁止だろう?」
王宮庭内の月の塔は地盤が緩んでるせいか、近年傾いているのだ。
危険だということで立ち入り禁止になっている。
「そ、それが目を離した隙に逃げられてしまったと……。おそらく月の塔に入り込んで……」
エステルもエステルだが、目を離す従者も月の塔警備の近衛兵もなっとらん!
「対応はどうしている?」
「布団や衣類の類を大量に積み上げてあります!」
「なら問題ないではないか。エステルは少々怖がらせておけ。いい薬になる」
「と、ところが塔が今にも倒れそうなのです」
「……何だと?」
「魔道士で何とかできないものかと……」
早く言え!
しかしあれほどの質量の塔をどうにかなどできるわけがない。
可能なら既に対策している。
「エステルが塔内部から戻ることは不可能なのだな?」
「はい。救援に向かった者によると、内部も崩れてしまって登れない階段があるとのこと。おそらく王女殿下が登った際に壊れたのだろうと」
「とっとと飛び降りさせろ!」
「そ、それが足が竦んでしまっているらしく……」
「ちっ!」
そうだ、ジェーン嬢の魔法の絨毯なら!
従者に聞く。
「ジェーン嬢は既に登宮しているな?」
「はい。大広間の方に」
「すぐまいる。ジェーン嬢に事情を話して出動させる」
◇
何とエステル姫が壊れかけの塔に登って降りられなくなったとのこと。
私に出動命令が下りました。
指輪に語りかけます。
「魔法の絨毯よ、姿を現わして」
すぐに絨毯が出てきて広がりました。
うふふ、いい子ね。
「おお、これが魔法の絨毯か。素晴らしい!」
「行ってまいります!」
「頼むぞ!」
月の塔へ。
本当だ、心なしか塔が揺れているように見えます。
姫がいました、高層階の窓の外。
腰が抜けてしまっているようです。
「姫、お助けに上がりました!」
「あ、ありがとう。まさか魔法の絨毯?」
「さようです。絶対安全です。お手を……」
「きゃ……」
バランスを崩したエステル姫を絨毯で抱きとめました。
あっ、塔が倒れる!
急いで離脱します。
ドオオオオオオオンと、すごい地響きとともに塔が倒れました。
もうもうと土煙が上がっていますが、下の皆さんは無事でしょうか?
「ふわあああああ……」
「危なかったですね。もう大丈夫ですよ」
「あなたはどなたなの? 魔道士?」
「宮廷魔道士見習いジェーン・ウォーカーと申します」
「ええ? 魔法の絨毯を使いこなしているのに見習い?」
「私は魔力量の多さを買われて、魔法を覚えたり魔道具を使用したりしているだけなのです。研究はしていないのですよ。だから正式な宮廷魔道士ではないのです」
「変なルール!」
私は今の身分に満足しているんですけどね。
正式な宮廷魔道士の皆さんにも親切にしていただいていますし。
「土煙が収まったら降りましょう。もうしばらく我慢していてくださいね」
◇
――――――――――第二王子アーノルド視点。
「ねえ、小兄様。ジェーンってすごくない?」
「まあな」
月の塔倒壊事件以来、エステルはジェーン嬢と急速に仲良くなったらしい。
もっともジェーン嬢の魔法の才能が異常であることなんか、魔道研究所からの報告を聞いていればわかる。
魔法を学び始めて一年とちょっとなのに、世界有数の使い手という話だ。
何それ? あり得んというレベル。
「ジェーンは王立学校に通ってないんでしょう?」
「ああ」
さすがに宮廷魔道士見習いの給料で王立学校の学費まで出せるわけがない。
こればかりはウォーカー男爵家に籍を残しておき、男爵に学費を出させるべきだったかと後悔しかかったところだ。
しかし考えてみれば渋ちんの男爵が余計な出費など許すはずがないか。
どっちにしろジェーン嬢は王立学校に通う目などなかった。
「エステルは来年入学だろう? 王族が恥ずかしい成績だと笑われるぞ」
「わたしもそう思ってたんだけど、大丈夫みたい」
「何故言い切れる?」
「ジェーンが勉強を見てくれるから」
「えっ?」
ジェーン嬢は平民育ちだぞ?
いや、所作は奇麗だと思うが。
「……ジェーン嬢に教養はないだろう?」
「ところが宮廷魔道士達に教わったらしいのよ」
「ええ?」
「宮廷魔道士は王族や高位の貴族とも付き合いができるから当然学ぶべき、ってことで」
「……知らなかった」
研究に無関係だからか、教養学習についての報告はなかった。
しかし至極もっともではあるな。
「宮廷魔道士達がそれほど面倒見がいいとは」
「小兄様ったら何を言ってるの。ジェーンが可愛いから構うのに決まってるでしょ!」
ドキッとした。
フワフワのピンクブロンド、優しげで大きな瞳、凛とした高い声。
確かにジェーン嬢は美しい。
ウォーカー男爵邸で初めて見た時は、痩せた少女としか思わなかったんだが。
今日再会して驚いた。
オレに挨拶するということで緊張は隠せなかったようだが、魔法の絨毯を操る様の何と自信に満ちていたこと。
「ジェーンは王立学校六年間分の課程をほぼ終えてるそうなのよ」
「一年間で? まさか」
王立学校の教育課程はそんなに甘くないぞ?
しかもジェーン嬢は魔法の習得と絨毯の乗りこなしに全力だったのだろう?
「だからジェーンはすごいって言ってるじゃないの」
「本当なら、すごいじゃすまないだろう?」
「本当なんだってば。ジェーンは天才なのよ!」
考えてみれば、一年で有名どころの魔法を皆覚えてしまう時点で尋常じゃない。
それに比べれば王立学校の教育内容なんてどうってことないのか。
ええ? 感覚がおかしくなってきた。
「ねえ、小兄様。ジェーンっていいと思わない?」
「規格外の人材だったな」
「能力でなくて。わたしジェーンを姉様って呼びたいなあ」
「はあ?」
「小兄様、婚約者いないじゃないの。ジェーン可愛いから取られちゃうわよ?」
ああ、ジェーン嬢をオレの婚約者にということか。
王太子の兄よりも婚約者の身分を低く、というのは基本ではあるが……。
「……ムリだな」
「どうして!」
「さすがに身分に差があり過ぎる」
男爵家の庶子、しかも既に籍を抜いているのでは、周囲の理解を得られると思えん。
「わたしを助けてくれたのよ?」
「……おまけにかなりの魔法の使い手だな」
「そうよ! ……ところで小兄様は何の本を見てるの?」
「今更だな。聖女について調べているのだ」
「聖女?」
聖女とは歴史上で過去数人現れている、神から魔道に関する恩寵を授かった女性のことだ。
あの魔力量、魔道のセンス。
ジェーン嬢は聖女なのではないか?
「ジェーンは聖女なの?」
「残念ながら違うと思われる。聖女ならば手の甲か胸元に聖痕と呼ばれる痣が出るそうだ」
エステルを救った殊勲を賞する式典で、ジェーン嬢は広いデコルテのドレスを着ていたが、聖痕はなかった。
無論、手の甲にもない。
「ふうん、聖痕ってどんなの」
「こういうデザインだな。デザインという言い方が正しいかわからんが」
「あっ、この痣ジェーンにある!」
「何だと? どこに?」
「お尻」
「何故それを知っている!」
「だって一緒にお風呂入ったことあるもの」
ジェーン嬢とエステルは風呂を共にするほど仲が良かったのか。
いや、重要なのは聖痕だ。
本当に聖女ならば他国へ流出させぬために国で確保すべきだ。
確認せねばならん。
ん? 来たか。
「アーノルド殿下、エステル様。遅れて申し訳ありません。ジェーン・ウォーカー参りました」
「ジェーン嬢! 尻を見せろ!」
「えっ? ……い、いえ嫌ではないのですけれども、そういうことは段階を踏んで……」
「小兄様のおバカっ!」
結局宮廷魔道士を含めた女性数人に聖痕を確認させ、莫大な魔力量と魔法の才能も合わせ、ジェーン嬢が聖女であると確認された。
◇
な、何と私が第二王子アーノルド殿下の婚約者になってしまいました。
私が聖女として認定されたからだそうです。
魔法を宮廷魔道士の皆さんに教えていただいただけですのに。
本当に恐縮です。
そしてアーノルド殿下の婚約者なんて。
私なんかでいいのかなあ、とは思います。
でも宮廷魔道士見習いに拾い上げてくださり、私の人生を変えてくださった親切な殿下のことは大好きです。
「殿下は私のことを救ってくださいました」
「ジェーンも妹エステルを救ってくれたではないか」
「うふふ。エステル様は可愛いですよね」
あれ? そんな話をしたいのではなかったのに。
「私は殿下に相応しくないかもしれませんが、精一杯努力いたしますので」
「ジェーンは聖女ではないか。そなたの努力は誰もが認めている」
「ですが……」
所詮知識もマナーも付け焼刃ですからね。
慢心なんかしていられません。
私の失策はアーノルド殿下が笑われてしまうのですから。
「ウォーカー男爵家のことだが」
「はい」
一応私はウォーカー男爵家の出ということになっています。
わざわざ話題にされるということは、何かあったのでしょうか?
「そなたがオレの婚約者になっただろう? 男爵が調子に乗って失笑を買っているのだ」
つまり私が男爵様の娘であることを自慢したけれども、籍を抜いているために娘扱いしていないことがバレ、笑い者になっているということのようです。
……と言われても、特に感慨はありませんけれども。
「見る目と責任感のない男爵の自業自得なのだがな。ジェーンにとっては仮にも父親だろう? どう思っているのかと」
「父親、ではあるのでしょうが、実は会ったことがないんです」
「何? 男爵と面識がないのか?」
「はい。私を認知し、貴族の端くれとしてくださった恩はあります。でもそれだけなのです。薄情なのかもしれませんが……」
「ハハッ、面白い。男爵も恥の上塗りだな」
「申し訳ないです」
「何を言う。ジェーンは既に男爵家を出ているのだからな。関わらなくていいのだ。王族であるオレの婚約者に馴れ馴れしくしたら、不敬だと叱りつけてくれる」
まあ、アーノルド殿下って優しいばかりではないのですね?
とても悪い顔をしています。
でもホッとしました。
正直男爵様に親しげに話しかけられたら、どう対応すれば正しいのかわかりませんから。
「……ここから先はオレが調べさせたことだ。ジェーンも知らぬことかもしれんが」
「はい」
「ジェーンの母御はとある貴族の出でな。ウォーカー男爵家で行儀見習いを兼ねて侍女をしていたのだ」
「知りませんでした」
アーノルド殿下がお話くださいました。
母は自分を辱めて放り出した男爵も、折り合いが悪く帰ることを許さなかった実家も恨んでいたであろうと。
母が何も言わなかったのは、私をなるべく貴族とは関わらせたくなかったのかもしれないです。
それでも自分が亡くなった後、娘の私を託すのがウォーカー男爵家しかなかったというのはやるせないですね。
「オレも男爵の仕打ちには、腸が煮えくり返っているのだ」
「殿下……」
「法律上罪には当たらぬゆえ男爵を罰することはできぬが、ジェーンには十分配慮する」
「殿下の配慮に痛み入ります。ありがとうございます」
微笑みかけてくださるアーノルド殿下は素敵だなあ。
「私の身分が低いので殿下には迷惑をかけてしまうかと思いますが」
「む、そんなことはないのだぞ? ジェーンは聖女だからな」
「だからでございます」
聖女がいるということは、外国に対してもかなり大きな顔ができることのようです。
ですから聖女を確保するために、アーノルド殿下が犠牲になってしまっているのでしょう。
申し訳ないです。
しかしアーノルド殿下が仰います。
「ジェーンが聖女でよかった」
「……」
「でなくてはオレの婚約者にできなかったからな」
「えっ?」
何を?
アーノルド殿下が再び微笑みかけてくださいます。
「エステルを救ってくれた日。自信に満ちて魔法の絨毯を操るそなたは輝いて見えた」
魔法の絨毯のおかげで、アーノルド殿下に気にしていただけたとは。
ありがたいことです。
「美しく、大きな才能を持ちながら精進を忘れない、そなたが好きだ」
アーノルド殿下が、私を、好き?
夢みたい!
「私も殿下をお慕い申しております!」
「アーノルドと呼んでくれ」
「……アーノルド様」
優しい口づけ、胸が一杯です。
あっ、魔法の絨毯を収納してある指輪が柔らかく輝きます。
祝福してくれているのかしら?
「……わかっている」
「は? 何か?」
「いや、魔法の絨毯の指輪がオレの頭の中に直接語りかけてくるのだ。ジェーンを大事にしないと承知しないぞと」
「えっ?」
その通りだ、とでも言いたいのでしょうか?
軽く瞬きます。
「そなたはアーチファクトにも愛されているのだな」
「かもしれません」
私に話しかけてこないのは何故でしょうね?
出会った時から仲が良かったわけじゃありませんから、恥ずかしいのかもしれませんね。
「アーノルド様、お空を散歩いたしましょうか?」
「うむ、いいな」
何も言わなくても魔法の絨毯が姿を現わします。
ゆっくり飛んでね、幸せと愛を乗せて。
魔法の絨毯を操るにわか令嬢は、見えないところに秘密があります uribou @asobigokoro
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