第13話

 数回バウンドしたラビットはそのまま動かなくなった。どうやら倒せた様だ。


 「あのラビットも解体するよ。今度は自力で解体してみて。」


 「何か間違ったところがあったら、すぐに教えてね。」


 「致命的な問題が起こりそうになったらだね。教えるのは。失敗も経験だからね。」


 倒したラビットの元へたどり着くと、早速解体を始めた。最初に教わった通りに解体を進めて行き、魔石を砕いて、これでラビットは魔素に変わらない様にする。


 「ふぅ、どうだった?上手く出来てたかな?」


 「問題ないわ。拙いところはまだあるけど、それは繰り返し解体をすれば問題ないでしょう。袋に素材を仕舞ったら、行きましょう。」


 「うん!」


 別々の袋に素材を入れ終わると、ミリアさんの案内で薬草の群生地へと向かう。


 薬草の群生地にたどり着くまでの間、ラビットと数回遭遇し、その内の2回は魔法を使わずに棒と蹴りを使ってラビットを倒した。


 倒したラビットは全て解体を行ない、今は2つの袋に肉と毛皮が入っており、袋を背負って持ち運び群生地までたどり着いた。


 「ここが薬草の群生地よ。この場所は冒険者ギルドが管理している魔力溜まりの薬草だから採取は禁止ね。覚えておいて。罰則は銀貨2枚だから、間違えない様にね。」


 「うん、分かった。それに看板があるから間違えないよ。」


 「それもそうね。でも魔物が居る外だから看板が倒されたり、壊れたりしている時もあるから一応場所は覚えていると良いよ。」


 ミリアさんに頷くと、2人で薬草の群生地へと近付いていく。群生地には特徴的な2種類の草が生えていた。この2つが薬草なのだろう。


 「この茎に棘があるのが治癒草。こっちの葉っぱの裏が白いのが魔癒草。治癒草は傷や病に効く薬草で色んな魔法薬に使われる素材なの。魔癒草は魔力の回復を促してくれるわ。どっちの薬草も常時依頼として冒険者ギルドで買い取りしているから覚えておいてね。」


 「分かったよ、ミリアさん。」


 早速教えられた治癒草を見ると、茎に棘が生えていた。これが治癒草だろう。それでこっちの葉っぱを裏返した時に白かったこれが魔癒草。どっちも分かりやすい特長があるから覚えやすい。


 「次は採取の仕方を教えるわ。治癒草は葉っぱが一番効能があるわ。だから、他の部分を傷付けない様に葉っぱだけを採取して、そうすればまた葉っぱが生えて来るから。」


 「うん。それでどうやって採取すればいいの?」


 「これを使いなさい。」


 ミリアさんから小さなナイフを手渡される。


 「これは?」


 「それは支給用の採取ナイフよ。それはアオイくんの物だから使ってね。」


 「うん!」


 渡された採取ナイフを使って、治癒草の採取を行なっていく。


 治癒草の棘、鋭くて危ないな。茎に触れない様にしないといけないな。


 治癒草の葉っぱを摘み、採取ナイフを振るって茎と葉っぱを切り分ける。それを繰り返し行なって10枚目の葉っぱを採取した。


 「10枚だね。その10枚が依頼で集める最低枚数よ。次は魔癒草の採取に移るわ。魔癒草の採取方法は葉っぱを切り落とし、それから地面から抜いてね。根っこも素材だから。採取した治癒草はこれに入れなさい。」


 「うん。」


 手渡された2枚の袋の1枚に先ほど採取した治癒草の葉っぱを入れる。そしてもう1つの袋に魔癒草を入れる為、魔癒草の採取を始めた。


 魔癒草の葉っぱを切り落として行き、1本の魔癒草を地面から引っこ抜く。それを2回繰り返して3本の魔癒草が集まった。


 「採取はおしまいよ。魔癒草は3本で依頼を受け付けてるわ。採取した魔癒草を袋に入れたら、ターテレに帰るわよ。」


 「うん、ちょっと待ってて。」


 採取した魔癒草を袋に入れて、薬草を採取して入れた袋を、ラビットの毛皮と同じ様に腰に身に着ける。


 「お待たせ!」


 「じゃあ帰るわよ。ターテレに帰るまで油断は禁物よ。」


 「うん!」


 それからターテレに帰るまでの間にもラビットが現れ、ラビットを倒して解体しながら歩いて行った。


 「あと少しね。大丈夫?思った以上にラビットが現れたから、かなりその袋重いと思うんだけど。」


 「大丈夫だよ!そこまで重く感じないし、体力も減ってる気がしないから!」


 「うーん?これも異世界人特有の何かなのかしらね。まあ、良いわ。あと少し、頑張って!」


 そうして街道まで道無き道を歩いて進み、街道にたどり着いてからは何も起きる事はなく、城砦町ターテレの門へと到着した。


 ターテレの門を冒険者ギルドのカードを見せて通ると、真っ直ぐに冒険者ギルドへと向かった。


 冒険者ギルドに入ると、僕とミリアさんが帰って来たのが見えたのか、受け付けでサーヤさんが手を振っていた。


 そんなサーヤさんに手を振り返していると、ミリアさんに手を引かれる。


 「はいはい、それは後でね。まずはこっち。解体場に向かうわ。」


 ミリアさんに手を引かれながら冒険者ギルドを移動して行き、広い解体場へとたどり着く。立地的にこの下の地下には訓練所があるのだと思う。


 「この解体場で採取した物や解体した物、ドロップアイテムの買い取りを行なうわ。それとお金を払えば魔物の解体も行なってくれる。異世界人の力に物を仕舞える物があるでしょ、それを使えば大物の魔物を解体場で解体する事も可能なはずよ。」


 「なるほど。」


 「向こうに行くわ。今回は常駐依頼の採取アイテムがあるから依頼用だと伝えれば、常駐依頼は解体場でも受注できるし、達成も可能よ。」


 「治癒草と魔癒草の二つ分の依頼を達成できるって事?」


 「それとラビットの肉もそうよ。毛皮は違うから、それは買い取りね。」


 解体場の受け付けで治癒草、魔癒草、ラビットの肉を依頼として納品し、ラビットの毛皮だけは買い取ってもらう。


 買い取って貰ったラビットの毛皮は銀貨と銅貨へと変わり、すぐにインベントリから取り出した銀貨の入った袋にお金を入れてすぐに仕舞う。


 納品した事により達成のハンコの押された依頼書を持って冒険者ギルドの受け付けに戻って来た。


 「次は依頼達成の報告よ。銅ランク以下の冒険者は向こうで依頼の処理をするわ。行くわよ。」


 「はい!」


 下級冒険者用の4つある受け付けの1つにミリアさんと向かった。受け付けでは前には誰も居ない。その為、すぐに僕の番がやって来た。


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