城砦町ターテレ編
第10話
チュートリアルが終わり転移した僕は、光が収まり辺りを確認する為に見ると、大きな女神像が目に入り辺りは神殿の様な場所だった。
後ろにあった扉が開く音がして振り抜くと、そこには白いローブを纏った老人が立っていた。
「異世界人の方ですかな?」
「う、うん。そうだよ。僕はアオイ。貴方は?」
「私はサイジンと言います。貴女が神々から伝えられた異世界人。それなら案内しますぞ。」
「わ、分かった。」
サイジンと名乗った老人の後ろを付いて歩くと、サイジンはこの場所の事を教えてくれた。
「この場所は数多の神々を祀る大神殿。私はこの神殿の神官をしておる。この場所はレベルアップの祈りの場もあるからの。アオイ殿も通う事になるぞ。」
「僕はこれがあるから。」
首に掛けている幸運の女神ティアの信徒証を取り出して見せると、サイジンは目を見開く。
「もう信仰する神を決めていたのか。それなら大神殿に来る必要はないの。」
「それでも知りたいから案内して欲しいんだけど良いですか?」
「うむ。構わないぞ。」
それから僕はサイジンに大神殿の事、城砦町ターテレの事を聞きながら大神殿を案内して貰った。
城砦町ターテレは300年前に起こった戦争の前線の城砦だった場所が時代ともに前線では無くなり、人が集まって町になった場所なのだそうだ。
城砦だった頃から使われている昔の上下水道が未だにあるくらいなのだと言う。
大神殿の案内が終わると、僕はサイジンさんに冒険者ギルドの場所を聞いた。
「冒険者ギルドですかな。大通りを真っ直ぐに進めば一際大きな建物があります。そこが冒険者ギルドですぞ。」
「分かりました。ありがとうございます!」
サイジンさんにお礼を言うと、僕は大神殿から大通りに向かった。
「誰が住人で誰がプレイヤーなのかは分からない。それに他にもプレイヤーは居るのかな?」
キョロキョロと周りを見ながら歩いていると、人間以外の人が視界に入る。
「あれって獣人なのかな?」
獣の耳が頭に付いて尻尾が生えている男性が居る。あまりジロジロと見るのは失礼だからとすぐに視界から逸らすが人間以外の種族を見てテンションが上がって来る。
高揚しながら露店の商品をを眺めたりしながら大通りの中で一番大きな建物を発見する。
「あれが冒険者ギルド!!」
冒険者ギルドと日本語では無いのに読める文字で書かれている看板がある建物の中に入った。
冒険者ギルドの中に入るとキョロキョロと周りを見回してしまう。
あれは何だろう、それは何だろうと思いながら見ていると、冒険者登録・依頼登録と書かれている場所に向かった。
「おはようございます。冒険者登録ですか?依頼登録ですか?」
冒険者登録の受け付けは獣人の女性が受付嬢の様だ。
ピョコピョコと耳が動いているのを目が追ってしまうが、視線を獣耳に行かない様にしながら返事をする。
あまりにも視界が獣耳に入っているのが分かってるのか、獣人の女性に笑われてしまう。
「冒険者登録です!」
「うふふ、分かりました。」
それに恥ずかしい思いが湧いて来るが、冒険者登録を受付嬢の説明を聞きながら行なっていく。
「文字は書けますか?」
「こちらの文字は書けません。」
「異世界人の方でしたか。それなら私が代筆しますね。それとこれを。」
「これは?」
差し出されたのは10ページくらいの冊子だ。
「この世界の文字の事が書かれています。それを読んで勉強すれば、こちらの文字も読める様になりますよ。」
この世界の文字を書ける様にする為の冊子の様だ。これを読んで書く練習をすれば良いのだろう。
「うん、勉強するよ。」
「はい。そうしてください。」
それから名前や性別、どんな事が出来るのかなどを受け答えして代筆して貰った。特に性別の話では僕が男な事に驚いていた。
そして登録に必要な記入事項を代筆で書き終わった様で、ようやくこれで僕も冒険者になれた。
それから冒険者のルールや行なってはいけない事を説明して貰い、次に冒険者の階級の話になる。
冒険者の階級はクラスと呼ばれ、クラスには木、石、水晶、銅、銀、金、ミスリル、アダマンタイト、オリハルコンと9つのクラスがあり、木から水晶クラスまでが見習い冒険者なのだそうだ。
そして、クラスを上げるには、同じクラスか一つ上のクラスの依頼を連続で10回達成すると、水晶クラスまではクラスを上げられると言う。
そこから銅クラスに上がるには試験を受ける必要があり、一度試験が不合格になると、もう一度10回分の依頼を達成する必要もあるのだと言われた。
そして最後にこれはプレイヤー限定の説明をされる。プレイヤーは数日間この世界に訪れない事があるから依頼期間の確認を良くする様にと言われる。
依頼期間を過ぎて依頼を達成出来ないと、違約金が発生するからよく依頼を見ようと思う。
それから冒険者ギルド内にあるログアウト用の部屋のある場所を教えて貰って、これで僕は冒険者だ。
「異世界人用の講習があるので受けませんか?無料ですよ。」
「講習ですか?」
「はい。冒険者に必要な基本的な事を教えています。」
それがどんな講習なのか気になるから、講習を受けてみよう。でも、いつやるのか分からないから聞かないといけない。
「それっていつから?」
「今すぐにでも行なえますよ。どうしますか?」
「あっ、すぐに受けられるんだ。それなら受けようと思います。」
「講師の職員を呼びますね。少し待っていてください。」
それから少しして犬の様な耳をしている獣人の女性を連れて戻って来た。
「この人が講習の講師をしているミリアさんです。この方はアオイくんですよ、ミリアさん。ちなみにアオイくんは男の子です。」
「えっ!男なの!!?」
ミリアと呼ばれていた女性は僕の性別に驚いていた。まあ、大抵の人は僕の事を見て女性と思うので驚かれ慣れている。
「え、本当なのサーヤ!」
「本当よ。ね、アオイくん。」
「うん、そうだよ。」
ミリアさんは信じられない顔をしていた。それにしても自己紹介してなかったから知らなかったけど、この受付嬢の女性はサーヤって言うんだ。
それからミリアさんが自己紹介をした時に受付嬢のサーヤさんからも自己紹介を受ける。
「それじゃあ、アオイがどれくらい身体を動かせるのかを確かめ様か。こっちに来て。」
「頑張ってね!アオイくん。」
サーヤさんから見送られながら僕はミリアさんの後を追って行った。
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