第8話

 召喚されても戦闘のチュートリアルを開始していない為、動く事がない黄金のウサギの説明を求める。


 「ゴールデンラッキーラビットは魔力溜まりから生まれる確率が、0.00001%の確率で現れる激レア魔物なんだよ!珍しいだけで強さはラビットと同じくらいしかないんだけどね!でも、幸運の象徴なんて言われる魔物だよ!」


 「あり得ないほど遭遇する事が珍しい魔物って事なんだね。強さはチュートリアル用の魔物としてどうなの?」


 「強さは問題ないよ。レベルも1みたいだからね。ラビットは強くない食用として多くの冒険者に狙われる魔物だからね!」


 強くないなら安心出来る。称号で強化されて強くなった僕のレベルの方が上だし、問題ないだろう。


 「戦闘を始める前に魔法の使い方を教えるよ。」


 「お願い!」


 「まず、念じるか魔法の名前を呼ぶ。そうすると、魔法陣が現れるよ。やってみて!」


 「分かった!マジックボール!!」


 ロッドをゴールデンラッキーラビットに向けて構えると、声に出して魔法の名前を出した。すると、ロッドの先端に魔法陣が現れる。


 「出来たよ!次は!!」


 「そしたら、対象に魔法陣を向けて発射か発動って、念じるか叫んで。そうすれば魔法陣から魔法を放てるよ。」


 「うん!発動!!」


 叫ぶと、魔法陣からマジックボールが放たれる。マジックボールは真っ直ぐにゴールデンラッキーラビットに向かって行き命中する。


 だが、ゴールデンラッキーラビットは無傷でダメージは受けていなかった。


 「あれ?当たらなかったのか?」


 「いえ、命中しましたよ。だけど、今のゴールデンラッキーラビットは時間が停止しているからね。だから、攻撃が命中してもダメージが与えられないんだよ!」


 時間停止!?だから、ゴールデンラッキーラビットはさっきから動いていなかったのか!?


 驚いてしまい、ゴールデンラッキーラビットを見つめてしまう。


 「これから戦闘を始めるよ。準備は良い?」


 「うん、良いよ。始めて!マジックボール!!」


 マジックボールの魔法陣を展開して、いつでも戦いを始められる様にする。


 「戦い開始だよ!!」


 幸運の女神ティアが開始の合図を出すと、ゴールデンラッキーラビットが動き出した。


 「先手必勝だ!!発動!!!」


 ロッドの先端に展開された魔法陣からマジックボールがゴールデンラッキーラビットに放たれる。


 「ギィイ!!!」


 戦闘開始直後に放たれたマジックボールをゴールデンラッキーラビットは直撃する。


 小さな悲鳴を上げたゴールデンラッキーラビットは、マジックボールが命中して衝撃で少し吹き飛ばされる。


 「まだ死んでないよ。次の攻撃の用意をしなくちゃ!!」


 「マジックボール!!発動!!!」


 追撃にもう一度マジックボールの魔法陣を展開して発動する。二発目のマジックボールを一発目のダメージが残っていたゴールデンラッキーラビットは二発目も直撃を受けて吹き飛んでいく。


 続けて三発目の魔法陣を展開してすぐに、ピクピクと痙攣しているゴールデンラッキーラビットに三発目も直撃させた。


 四発目の準備をしようとした時、幸運の女神ティアに止められる。


 「どうしたの?」


 「もう死んでいます。流石にあそこまで魔法発動が早いと一対一で、更に先手を取れば余裕ですね。」


 「あっ!動いてないね。それにまた称号が手に入ったよ!」


 称号取得のウインドウが表示されていた。だけどすぐに確認せずに戦闘のチュートリアルが終わるのを待ってからにする事にした。


 「すぐに終わるよ。キツイかも知れないけど、頑張ってね!」


 キツイ?どんな事をさせるのかと思っていると、死んでいるゴールデンラッキーラビットの元へ向かう様に指示される。


 「これを使ってゴールデンラッキーラビットの解体をするよ!」


 近くにテーブルと解体に使うナイフが置かれていた。


 「その解体ナイフはプレゼントするからね。まずはゴールデンラッキーラビットのお腹を裂いて。そこから心臓の方まで開くと、心臓の近くに石があるはずだよ。」


 指示通りにゴールデンラッキーラビットのお腹を裂いていく。吐き気がする作業だが、血の臭いがそこまで強くなく、内臓のリアル度もデフォルメされているからか、そこまでキツくはない。


 グロい描写を設定で弄っていたお陰で行ない、そしてゴールデンラッキーラビットの心臓が見れる様にすると、心臓の隣に赤黒い石を発見する。


 「それが魔石ですね。その魔石を引き抜いて!!」


 「うん。」


 解体ナイフを使って魔石の周囲を切り裂くと、手を突っ込んで魔石を取り出した。


 ゴールデンラッキーラビットの体内から魔石を取り出すと、ゴールデンラッキーラビットの死骸は光の粒子に霧散していく。


 そして、先ほどまでゴールデンラッキーラビットが居た場所には、まん丸とした黄金のうさしっぽと黄金の靴下が置かれていた。


 「おっ!両方装備アイテムだよ!!そのアイテムの事を教える前に称号を調べてみて。本当ならドロップアイテムは一つだけのはずなのに二つになった原因が分かるはずだから!」


 「そうなの?分かった。調べてみる。」


 ゴールデンラッキーラビットを倒した時に取得した称号を確認を行なう。


【激レア魔物発見!】

激レア魔物を発見した証 激レア魔物遭遇率増加

能力補正(中)魔物探知系技術取得補正(大)魔物探知系技術習熟補正(大)

【激レア魔物討伐!】

激レア魔物を討伐した証 激レア、レア、通常ドロップ率増加 

能力補正(中)戦闘系技術取得補正(大)戦闘系技術習熟補正(大)

【ゴールデンラッキーラビットの討伐】

ゴールデンラッキーラビットの討伐した証 ドロップアイテム二倍

幸運補正(極大)能力補正(中)脚力補正(大)聴覚補正(大)

【初めての激レア魔物発見!】

アナザーワールドオンラインで初めて激レア魔物を発見した証 激レア魔物遭遇率増加

能力補正(大)魔物探知系技術取得補正(特大)魔物探知系技術習熟補正(特大)

【初めての激レア魔物討伐!】

アナザーワールドオンラインで初めて激レア魔物を討伐した証 激レア、レア、通常ドロップ率増加

能力補正(大)戦闘系技術取得補正(特大)戦闘系技術習熟補正(特大)


魔物探知系技術取得補正

魔物探知系の新しい技術の取得に補正が掛かる

魔物探知系技術習熟補正

魔物探知系の取得した技術の習熟に補正が掛かる

戦闘系技術取得補正

戦闘系の新しい技術の取得に補正が掛かる

戦闘系技術習熟補正

戦闘系の取得した技術の習熟に補正が掛かる

脚力補正

脚力に補正が掛かる

聴覚補正

聴覚に補正が掛かる

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