第7話

 ヘルプとログアウトの説明は分かったが、新しい疑問が出てきた。それは冒険者ギルドと総合生産ギルドの事だ。


 「冒険者ギルドと総合生産ギルドの説明はしてくれるの?」


 「ん?出来るよ、簡単なやつだけどね。冒険者ギルドと総合生産ギルドは国家間を超えた組織だよ。冒険者ギルドは魔物の討伐や住人の依頼を受ける仕事場所。総合生産ギルドは冒険者ギルドの生産職番だね。魔物の討伐はないけど、代わりに物作りの依頼があるよ。」


 色々な場所に行きたいし、魔法を使って魔物退治とかしてみたいから冒険者ギルドに入ろうかな。


 「なら僕は冒険者ギルドに行けば良いのかな?色々な場所に行きたいし。」


 「旅をするならそれが良いね。次のチュートリアルに進む前にやって貰おうかな。」


 「何を?」


 「レベルアップ。」


 レベルアップ?もう、レベルアップが出来るのか?


 「出来るの?」


 「そりゃ、出来るでしょ!あれだけの数の称号があるんだからさ!偉業だよ、充分ね。だから、これを使って祈ってね!」


 突如手のひらに何かの重みを感じた。いきなり何だと手のひらに握っていた物を見れば、そこには星の形をしたペンダントが握られていた。


 「これは?」


 「私の信徒の証だよ!それにも幸運の補正があるから大事にしてね!」


 手のひらのペンダントを見て、これにも半袖半ズボンの衣服と同じく幸運があるのかと思いながら首にかける。


 「信徒の証を持って祈りを捧げて。そうすればレベルアップだ!」


 片手で幸運の女神ティアの信徒証を握ると、初めて祈りを捧げた様に祈る。


 すると、レベルアップが可能です。とウインドウが現れる。レベルアップを行なう為に【はい】を押した。


 「これは……!!」


 「レベルアップすると身体の底から漲って来るでしょ!全体的に能力も上がったよ!」


 身体が軽くなった感じがする。今なら何でも出来そうな気がするが、気がするだけだろう。


 しかも、レベルアップをしたからか、新しい称号も入手し、早速確認した。


【初めてのレベルアップ】

アナザーワールドオンラインで初めてレベルアップした証 レベルアップ制限の緩和

能力補正(中)能力成長補正(中)技術取得補正(中)技術習熟補正(中)


能力成長補正

凡ゆる能力の成長に補正が掛かる


 「確認は終わったかな?」


 「終わったよ。」


 「なら、レベルアップボーナスの加護を選んで貰うよ。レベルが上がれば加護を1つ増やせるんだ。それとアオイくんは加護の強化も出来るね!するよね!」


 「強化した方が効果が上がるんでしょ?なら強化してくれる。」


 「分かったよ。アオイくんもこの一覧から取得する加護を選んでね!」


 目の前に現れたウインドウから加護を選ぶ様だ。俺はその中から学習効率上昇の加護を選択する。


 加護の効果は技術の取得補正と技術の習熟補正を合わせ持つ加護だ。


 「その加護にするんだね!強運になったよ。幸運よりも更に運が良くなるね!」


 加護の強化が終わったタイミングんでまた称号を取得した。獲得したばかりの称号を確認する。


【初めての加護の強化】

アナザーワールドオンラインで初めて加護の強化をした証 加護の強化制限の緩和

能力補正(中)能力成長補正(中)技術取得補正(中)技術習熟補正(中)


 「また新しい称号おめでとう。確認が終わったら次に行くよ。」


 「終わったから次に行って。」


 「次は何処の場所に降り立つのかを決めるよ。色々な国々の村から都市まで好きな所を選んでね。もちろんランダムもあるよ。」


 大きな世界地図が現れる。この世界地図から何処に転移するのかを決められる様だ。それにしても、ユーラシア大陸と同じ規模の大陸が六つもあるのには驚いてしまう。この世界はどれほど大きな世界なのだろうか。


 「この中から選ぶのは無理だね。確認するだけでも凄い時間が掛かる。ランダムにするよ。」


 「アオイくんには幸運が付いているしね!選ぶ時は私が渡した半袖半ズボンを着ると良いよ。それだけで幸運が上がるからね!見られたくないアオイくんの為に更衣室も作った上げる!」


 そう言った瞬間に仮設トイレと同じ大きさの箱が現れる。この中で着替えをすれば良いのだろう。


 「私が渡した衣服の防御力は鉄製防具よりは防御力があるから本当にオススメ何だよ?覗かないから着替えて!」


 「そこまで言うなら……覗かないでよ。」


 「うん!覗かない!!」


 覗いてくる可能性が高いけど、それよりもより良い場所がスタート位置になる方が良い。だから、僕は半袖半ズボンを手に取って更衣室の中へと入って行った。


 ワンピースを脱いで着替えている間、辺りは物音しないほど静かで、先ほどまで騒いでいた幸運の女神ティアの声も聞こえない。


 そんな静寂の中で衣服の掠れる音と僕の息遣いのみが聞こえる中、僕はワンピースを脱いでパンツだけになる。


 そのパンツも無地の女物のショーツで、ここもかよ、と呟きながら半袖半ズボンを着込んで行った。


 脱いだワンピースはインベントリに収納すると、僕は更衣室の外へ出る。


 「着替え終わったよ。早速ランダムを行なって。」


 「う、うん!じゃあ、早速ランダム開始だ!」


 どうやら興奮していないし覗いていなかったんだと安心し、意識をランダムが何処になるのかに向ける。すると、選ばれた場所は城砦町ターテレと言う町だった。


 「ガイワタ大陸のアタワン王国にある町だね。300年前は前線の城砦町だった町だよ。今は前線になし、周りも強い魔物が居ないから安全な町だね。初めてなら良い町だと思うよ。よかったね!」


 「良い町なら良かった。これでチュートリアルは最後なの?」


 もう良い加減、ここまで来るまで時間が掛かっているし、早く異世界に向かってアナザーワールドオンラインを本格的に開始したい。


 「次で最後だよ!最後は魔物と戦って貰うよ。現れる魔物はターテレ周辺に現れる魔物からランダムで選ばれるから頑張って!」


 最後は魔物との戦闘。チュートリアルの最後に気持ちが昂ってくる。早速戦いの前に選んだ装備アイテムを身に着けて、最後にステータスの確認をした。


ステータス

名前:アオイ

レベル:2

加護:幸運

称号:【幸運の女神ティアの信徒】【初めての信徒】【初めての称号取得者】【幸運の女神ティアの興味】【幸運の女神ティアの注目】【幸運の女神ティアの加護】【幸運の女神ティアの寵愛】【初めての神の興味】【初めての神の注目】【初めての神の神の加護】【初めての神の寵愛】【初めてのレベルアップ】


装備

幸運の半袖 幸運の短パン 初心者のロッド

初心者の魔術ローブ 初心者の革靴 幸運の星屑ヘアピン 幸運の女神ティアの信徒証 空間収納の大袋(所有者固定化)


使用可能な魔法

マジックボール


使用可能な技

なし


持ち物

基本魔導書の読み書き図鑑 下級傷回復ポーション×10 下級魔力回復ポーション×10 銀貨10枚 布のワンピース マジックボールの魔導書


 しっかりと装備されている事を確認すると、最後のチュートリアルを始めてくれる様に言った。


 「準備も出来たんだね。じゃあ呼び出すよ!」


 前方の床に魔法陣が現れると、そこから黄金の毛並みの小さなウサギが現れた。


 「嘘!!ゴールデンラッキーラビットだー!!!超激レアだよ!!!!」


 現れた黄金のウサギに幸運の女神ティアが驚いている。この魔物はかなり珍しい魔物なのだろう。


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