確信犯の計画的な夕焼け


「高橋先輩ツーショット撮らせてください、」


話の通じないアイツは今日も後輩に大人気だ。




美祐ミウ、緊張してる?」


「いや、未来相変わらずモテるなーって」


「高橋?…ああ、すごい列だね」


感心している彼女も彼女で未来並みの人気がある。今だって沢山の男女が彼女とのツーショットを狙っているだろう。最初に頂くのはもちろん私。


「よろしくね、佐々木ササキさん」


演劇部で最初に声を掛けてくれたのが和だった。元々いた未来や颯と面識がなく肩身が狭かった空間で、彼女の一声は優しかった。


体育祭は大いに盛り上がった。学年別の混成リレーでは未来が颯を追い越し、3番目の和がまた追い越し、と最終的に未来や私のクラスが1位、和と颯のクラスは2位となった。未来が颯を追い越した時の歓声と言ったらもうアイドルのコンサートだった。当の本人は、リレー後に和に励まされる颯に不満気な視線を送り続けていたが。


「和の走り方めっちゃ可愛かった」


「走り方可愛いってなに。怖いわ」


「和の所作は全て可愛い」


「相変わらず変な人」


そう言って和が近くにあったペットボトルを口にする。


「それ、俺の」


「へ、」


確信犯だ。未来の少し緩んだ口元、赤らんだ和の頬。直感的に、和の気持ちが少しずつ彼へ向いていることを悟る。




夕焼け空に照らされた2人がとても美しく見えて、私は自分の心に蓋をした。


イメージソング:考えないようにするfeat.乃木坂46


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