いちごとブルーハワイのコントラスト


「いや、全くもって話が読めないんだけど」


かき氷を食べながら、幼なじみのユキに高橋とのことを話す。


「こっちの台詞だよ、もう訳分かんない」


「そもそも、その高橋って人はなに?友達?」


「友達、だと思ってた。中1の時に演劇部の体験で出会って、2年以上?」


高橋 未来ミライ、容姿端麗、スポーツ万能な学園のアイドル。この学校の女の子はみんな一度は好きになる。無論、例外はこの私だ。

 



高橋と初めて喋った時のことは今でも覚えている。中学1年生の冬休み明け、クラスメイトの桜井サクライと偶然会って学校の図書館で雑談していた時。


「えー、ツカサ君、彼女出来たの?!」


意気揚々と現れたのが高橋だった。


「どうもー、司の親友の高橋未来です」


「あ、どうも。彼女じゃないですけど」


「なんだ彼女じゃないの」


第一印象は、綺麗な人。小さな顔が端正に整っていて、爽やかな笑顔を振り撒く、綺麗な人。


そんな第一印象は、いとも簡単に崩れた。

元々バドミントン部に入っていた私だったが、友達に誘われて演劇部の体験に行った。そこに高橋はいた。初めての会話から僅か1週間のことだった。


一乃瀬イチノセ和です、よろしくお願いします」


「あら、司の彼女さんじゃないの」


「だから違いますって」


「なに、聞こえなかった」


開口一番になんだこいつ、と思った。その後もなにかとこちらの困る発言をしたり、私の私物を高くあげて取れない様を楽しんだり、'チビ'と罵ってきたりとただの意地悪な奴だと分かった。その顔でドSとか本当に少女漫画だな、と思ってしまったのは墓場まで持っていくつもりだ。




真っ赤ないちごのシロップを混ぜながら雪が言う。


「まあ、これこそ和の憧れの"ヒロイン"ってやつじゃないですか」


ブルーハワイの匂いが、やけに甘く感じた。










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