第6話
ここまでの道中、ちゃんと打ち合わせをしておけば良かったと、後悔しても始まらない。
前の町で貰った証明書を出して、ミサキが途中から付いて来た事を門番に話す。
ミサキがくだらない嘘を吐かなければ、きっとすぐに解放されるはずだと自分に言い聞かせる。
前の町に確認されると、奴らに居場所がバレる。
最悪の場合、奴らが俺を犯罪者だと回答するように命じれば、俺は奴らに引き渡される事になる。
まぁ、そこまで手間を掛ける様な事はしないと思うが・・・。
何度も何度も同じことを質問され、それに素直に答える。
ミサキと口裏合わせをしていない状況で、答えの内容が食い違うのだけは避けないといけない。
素直なあいつの事だかっら、聞かれるままに素直に答えている事だろう。
俺の読みは当り、無事に解放された。
「痛い事、されなかったか?」
「うん。」
疑われた意趣返しに、大きめの声でミサキに声を掛けるが、元気良く肯定される。
門番から受け取った通門証明書には俺とミサキの二人連れと、門番の責任者の署名で訂正が施されていた。
意趣返しした事に少々の引け目を感じながら先を急ぐ。
街に入って最初にやる事は宿探しと思ったが、持ち合わせで泊まれる宿が無かった。
狩猟組合へ向かい、道中で狩った獣から採取した物を換金するが、多少器用でも、素人の仕事ではそれほどの金にはならないようだ。
ただ、狩った獣の中に狩るのが難しいヤツが混ざっていたようで、狩れたら丸ごともってこいと、血抜きの手順を書いたメモを渡された。
ついでに程良い宿も紹介してくれたが、紹介した宿でゆっくり休んで、メモにある鹿、猪、狼を狩ってこいと言う暗黙の依頼だろう。
俺が採取品の扱いについて小言を言われている間、どこに行っていたのかと聞く必要も無く、ミサキの手には干した芋が握られていて、別の買い取り窓口のおねーさんに「バイバイ」などと手を振っていた。
狩猟組合のおっさんは俺たちを親子と見ていたのか宿は一部屋で、猟師が泊まる前提なのか、砥石の貸し出しサービスなんてものもあった。
折角なので久しぶりに小細工用のナイフを研いで髭を剃る。
ついでにミサキの伸びっ放しの髪を切る。
ミサキの髪の毛はサラサラで柔らかいくせに切れにくく、ナイフを研ぎ直しながら切る事になった。
miSaki @nezumi-73
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