第70話
最上級異界の探索を開始してから1週間後、ようやく最上級異界の探索を終えてボスが出現する黒い柱の発見だけでなく、それ以外にも全てのフィールドの探索をゴーレム部隊は終える。
「さてと、最上級の次は分からないけど、かなりの強敵だろうな。今のゴーレムたちなら勝てるだろうけど、どれだけ激しい戦闘になるかは分からないな。」
もう既に4000機を超えるゴーレム部隊は既に戦闘可能な状態で待機しており、ゴーレム部隊はいつでも最上級異界のボス狼の魔物との戦闘を行なえるだろう。
俺は今回の全体のリーダーである02ゴーレムに黒い柱に触る様に命令を出し、最上級異界のボス狼の魔物が出現するのを待つ。
「01、お前も増援に送るかも知れない。だから、他の動かせるゴーレムにはいつでも集まれる様にしておいてくれ。」
「分かりました、マスター。ですが、そうならない事を願います。今すぐに動かせるゴーレムは少ないですから。」
01ゴーレムの言う通り、今回の最上級異界の攻略の為に送っているゴーレム4000機だけでも負担が掛かっている。
その為、残り500機から1000機を無理矢理用意する事が出来るが、そうすると他のゴーレム部隊に掛かる負担がかなり上がってしまう。
そして、俺の命令通りに02ゴーレムが黒い柱に触れると、黒い柱が姿を消して、その代わりに一匹の狼が出現する。
黒い狼は口から炎が溢れ出し、その巨躯は大型トラックを超えるくらいのデカさだ。
「ウォオオオオオオオオオオーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!」
ボスの黒い狼は遠吠えを行なうと、それに呼応して最上級異界中から狼の遠吠えがあちらこちらから聞こえ出し始める。
「最初っから仲間を呼び出したか。不味いぞ。」
黒い柱がある10キロメートル範囲に現れる魔物は、最低でも上級クラスの狼の魔物が現れており、その内の半分以上が最上級クラスの狼の魔物だ。
その為、かなり広範囲まで届いただろうボスの黒い狼の遠吠えに答えた狼の魔物たちは最上級クラスの狼の魔物が多いだろう。
そして、ボスの黒い狼と戦う主力は○属性の聖シリーズを装備しているゴーレムたちが
主に担当する予定だが、それでも他のゴーレムたちにだって役割りがある。
だからこそ、序盤でどれだけボスの黒い狼にダメージを与えられるかと言うところだったが、序盤から仲間を呼び出したせいで、これからゴーレム部隊は大変だろう。
衝撃波を伴う遠吠えを上げたボスの黒い狼に遠距離攻撃が可能なゴーレム部隊が攻撃を開始した。
ボスの黒い狼という一点に集中して放たれ続ける攻撃は、煌びやかな魔法の数々や夥しいほどの弾丸の弾幕がボスの黒い狼に向かう光景が俯瞰視点の画面に映し出される。
次々に命中していくゴーレム部隊が行なう遠距離攻撃がボスの黒い狼に直撃するが、ゴーレム部隊が攻撃を終了後に見せたボスの黒い狼の姿は多少の傷があるが、ほとんど無傷な姿で現れた。
「あれだけ受けてあの程度のダメージなのかよ?!」
○の聖剣を持つゴーレムたちから飛ばされた斬撃でのダメージが1番ボスの黒い狼にダメージを与えているが、その他のゴーレム部隊が行なった攻撃は無傷ではいかないが、それほどダメージが与えられている様子は一切見れない。
やはりここは○属性聖シリーズの装備を身に着けているゴーレムたちが主力になり、その他のゴーレム部隊は、主力のゴーレムたちが攻撃を行ないやすくするのが仕事になる様だ。
そして、それほどダメージを受けていないボスの黒い狼は、「ウォオオーーン!!!」と雄叫びを上げてると衝撃波が発生する。
雄叫びを行なった結果発生した衝撃波がゴーレム部隊に迫るなか、その衝撃波を追う様にボスの黒い狼がゴーレム部隊に向かって駆け出した。
この衝撃波に対処する為、タイタン型ゴーレムたちが最前線に出ると、その巨大な身の丈にあった大盾型武装を構え出す。
大盾型武装を密着させる様な形で構えたタイタン型ゴーレムたちの姿は、まるで城壁の様に見える。
そんなタイタン型ゴーレムたちの構えた大盾型武装の防御に、ボスの黒い狼が行なった雄叫びで発生した衝撃波は、タイタン型ゴーレムたちが少し後退るだけで完全に防ぎ切った。
だが、その衝撃波の後ろを走り移動していたボスの黒い狼は、タイタン型ゴーレムたちが構える大盾型武装を踏み台にしてタイタン型ゴーレムたちのすぐ背後に着地する。
着地したボスの黒い狼はすぐさま背後のタイタン型ゴーレムに向かって後ろ足で蹴りを繰り出した。
いきなりの背後からの攻撃に、攻撃を受けたタイタン型ゴーレムは前のめりに転倒する事になる。
背後ではタイタン型ゴーレムが倒れた影響で草原の土や植物が宙に舞うなか、ボスの黒い狼はタイタン型ゴーレムたちを無視して目の前の守られていたゴーレム部隊に襲い掛かった。
前衛でゴーレムたちを守る要のタイタン型ゴーレムは居らず、守る事に長けているゴーレムの数の少ない場所を狙って襲うボスの黒い狼を、○属性の聖シリーズを装備しているゴーレムたちが迎え撃つ。
それぞれが○属性の聖盾を構えながらボスの黒い狼に向かって行く。ボスの黒い狼との距離が1番近かったゴーレムが、ボスの黒い狼に攻撃を仕掛ける。
そんなゴーレムにボスの黒い狼は、ゴーレムと同じくらいのサイズの前足から繰り出した猫パンチならぬ狼パンチを繰り出した。
突撃していたゴーレムはすぐに地面を踏み締めて聖盾を構えると、ボスの黒い狼の攻撃を防ごうとする。
構えた聖盾でボスの黒い狼の攻撃をゴーレムは防ぐ。けれど、身体の大きさが全然違うサイズから繰り出された攻撃をゴーレムは防ぎ切れずに弾き飛ばされてしまう。
だが、ボスの黒い狼の攻撃を防いだゴーレムもただ攻撃を受けただけではなかった。
しっかりと攻撃は聖盾で防ぎながらも、ゴーレムはボスの黒い狼の肉球へと聖剣で攻撃を行なっていたのだ。
俺は吹き飛ばされたゴーレムの損傷を確かめながら、ゴーレムの持つ聖剣の刀身にべったりとボスの黒い狼の血液が付着していた。
ボスの黒い狼の方はと言うと肉球を切られた痛みを緩和する為か、切り傷のある肉球をペロリと舐める。
すると、舐められた肉球の切り傷から流れ出ていた真っ赤な血は止まり、肉球の傷は少しずつ癒え始めていた。
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