第52話

 次元空間のボーナスはどんなものかと調べていくと、ゴーレムマスターと同様に大量のポイントが手に入っていた。


 それ以外にも保有空間を5つ追加、空間出入り口の数が20追加、条件を達成していなくても空間設定や空間設備を好きに5つずつ選べる様だ。


 新しく追加された空間をどうするかを考えるのは、とりあえず選べる5つの空間設定と空間設備の方を確認してからにする。


 「ここは条件が厳しくてポイント消費の高い設定と設備にするべきだな。それに空間そのものをどうにかする様な魔物や人間もいずれは現れるだろうし、次元空間の防衛も強化しておく方がいいか。」


 今の次元空間内の防衛は、空間設定の次元断層で空間そのものを遮って守るものと、空間設備の空間内防衛の設備と空間外防衛の設備の3つだけだ。


 これをより強固な物に変える為、空間設定は多重次元断層と敵性勢力弱体化フィールドと味方強化フィールドを、空間設備はより強力な防衛設備と増幅反射攻勢防御壁の設備を購入する事にした。


 多重次元断層は複数の効果の違う次元断層を次元空間の外に展開して外側からの守りを固める防御手段で、敵性勢力フィールドは次元空間の外側の守りを突破させた際に味方以外の敵を全て弱体化させるフィールドを全ての空間内に展開させる設定だ。


 反対に味方強化フィールドは空間内全ての味方の能力を全て強化可能な設定で、これは常時使用可能な為、これで全ての空間内に居るゴーレムたちを強化して生産作業も効率的になると思う。


 増幅反射攻勢防御壁は次元空間を守る全ての防衛壁の1番外側に展開される相手の攻撃を増幅させて相手に反射させる防衛用の障壁だ。


 増幅反射攻勢防御壁以外にも空間設備では次元空間の外から襲って来る敵性勢力に対しての反撃用の防衛施設や、内部に潜入された際に捕縛迎撃用の設備に、内外の敵性勢力を発見する為の設備も購入している。


 ここまでが防衛用の空間設定と空間設備を交換した分だ。これで空間設定は残り2つ選ぶ事が出来て、空間設備は残り1つだ。


 そして、空間設定の方はポイントで手に入れようと思っていたが、その条件がかなり難しかったせいで購入する事が出来なかった物と交換する。


 1つ目は魔力生成源という無限に魔力を生み出せる空間設定だ。これがあるだけで全ての空間内で魔力が溢れる事になり、野菜や果物に薬草類にそれ以外にも生産している装備アイテムやポーションも品質が良くなるだろう。


 2つ目は重力変更の空間設定だ。この重力変更の設備を選んだのは、重力の違いによって生産可能な物があったり、高重力化の空間を作り出して敵が攻め込んで来た場合にこの高重力空間に入り口を使って誘導する事も可能になると思われるからだ。


 そして最後の空間設備は空間内識別強制転移罠を選ぶことにした。これで高重力空間への強制的な転移や、他にも迎撃準備を整えた空間に強制的に転移させて迎撃する事が出来るようになるだろう。


 最後の空間設備に関しては空間設定の重力変更を選んだからこれを選んだが、他にも良さそうな空間設定や空間設備は色々あった為、俺は今ある空間の拡張などを行ないながら、ポイントを消費して様々な空間設定や空間設備を購入していく。


 「残りは次元断層系の強度を向上させるのにポイントを使うか。」


 残りのポイントの全てを次元断層と多重次元断層の強度や効果の上昇をポイントを使って強化すると、これでボーナスの確認は全て終わった。


 そしてここまで終わって、俺はようやく地球側の様子を確認しようと思い出した。


 「俺だけでも今まで気が付かないくらい慌ててたし、一体どんな風になってるのか確認するのが少し怖いな。」


 今日は商売を行なっているゴーレムは居ない為、俺はまずゴーレムが管理している日本の異界周辺を巡回しているだろうゴーレムの俯瞰視点の画面を表示させる。


 すると、そこには管理してからほとんど変わらない景色が広がっていた。


 素材生成で作り出した中級石の素材を使って作られた壁の中にある異界周辺では、異界から魔物が現れる様子もなかった。


 「他の場所も確認しないとな。」


 他の幾つかの異界周辺をゴーレムの俯瞰視点を使用して確認して行くが、他の場所でも変わらない様子だった。


 そこで俺は異界を探索して魔物を間引いているゴーレム部隊の幾つかを、中級のボスを倒していない異界に向かわせる。


 「やっぱりか。でも異界から外にまだ出ている魔物が居なくてよかったな。」


 異界のボスが現れる黒い柱の近くの次元空間の入り口を確認したところ、辺りに黒い柱がなかった事が確認する事が出来た。


 これは上級異界へと変化を起こしたと判断した俺は、集めていたゴーレム部隊を上級異界へと成長した場所に送り込む事にした。


 「でもまずは他の異界も成長していないかの確認をしてからだな。」


 ゴーレム部隊を送り出す前に他の成長するかを見守りながら管理している、異界の中の黒い柱付近の次元空間の出入り口を確認すると、管理している異界はそこそこあるが、上級異界まで成長している異界は今のところは2つだけの様だ。


 その2つの異界は片方が草原のフィールドで現れる魔物は狼の魔物だ。もう1つの異界は洞窟のフィールドで現れる魔物はゴーレムの魔物が現れる。


 狼の魔物と戦いやすいゴーレムボディや武装を持つゴーレムを編成した部隊を1つと、ゴーレムの様な硬い魔物に対して有効な武装を持つゴーレム部隊を編成すると、俺は異界に繋がる出入り口を作り出して、2つのゴーレム部隊を見送った。


 ちなみに異界から現れるゴーレムは、俺のゴーレムマスターで製造したゴーレムと見た目が似ているゴーレムとは、これまでの異界巡りでは遭遇しておらず、見た目は形を整えられた素材で作られているものばかりだ。


 そうして2つのゴーレム部隊を見送った俺は、人間が近くに居て活動しているゴーレムたちの俯瞰視点を確かめていく。


 そして見てみると、自衛隊や海外の軍隊と共に行動していたゴーレムたちの俯瞰視点では、どうやらこの事態に対して話し合いが行なわれるそうで、今日は防衛のみになるのがほとんどだった。


 その為、異界周辺の魔物の間引きはゴーレムたちと少しの探索者以外には活動している者は居ない様だ。

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