第51話

 「これで装着させる武装は最低限全部装着させられたな。」


 飛空艇型ゴーレムボディに装着させる事が可能な武装は多岐に渡るが、俺は飛空艇型ゴーレムを動かすのに必須な武装以外に、攻撃用の対空用の機関銃と大砲に対地用の大砲を武装として飛空艇型ゴーレムに装着させた。


 ちなみに機関銃型武装と大砲型武装は実弾だが、時間経過で何処からともなく実弾が装填される。


 そして俺は小型飛空艇ゴーレムを取り出すと、少し離れた位置に小型飛空艇ゴーレムが現れた。


 「最初から浮いている状態で召喚されるのか。それにしても実際にこれだけの大きさの船が浮遊して止まっているのを見ると凄いな。」


 凄いものだと見上げて惚けていたが、俺はすぐにやるべき事を思い出して、小型飛空艇ゴーレムに着地する様に命令を出した。


 小型飛空艇ゴーレムは地面スレスレまで下がると、小型飛空艇ゴーレムからタラップが降ろされる。


 降ろされたタラップを登って行き、俺は小型飛空艇ゴーレムの内部に足を踏み入れた。


 飛空艇ゴーレムボディの製作には木材や金属素材をふんだんに使用されており、飛空艇内部の床は木材の様だ。


 甲板の上に備え付けられた機関銃型武装や大砲型武装があるのを確認しながら、飛空艇内部の部屋を確認していく。


 そうして内部を確認しながら飛空艇の艦橋にたどり着くと、女性の様な機械音声が俺に話し掛けてきた。


 「ようこそおいでくださいました、マスター。」


 「46ゴーレムか?」


 「はい、そうです。マスター。」


 飛空艇ゴーレムに装着させた武装の1つを使用して俺に話し掛けて来ているのだろう。


 「何が出来るのか、それを把握しているか?」


 「大体のことは把握しています。ですが、それを正確に活用する事が出来るかは分かりません。」


 「まあ、それは動かしたばかりだから仕方ないな。この空間内で飛行の実践をしてから武装は遠距離攻撃をして来ない魔物の異界で確かめようと思う。」


 小型飛空艇ゴーレムの飛行を練習させるのは、この空間内でも出来るけど、流石に畑が野菜を育てている空間で機関銃型武装や大砲型武装の試し撃ちは出来ない。


 「分かりました。それでは飛行を開始してもよろしいでしょうか?」


 「そうだな。そうしてくれ。俺は降りた方が良いか?」


 「いえ、大丈夫です。安全に飛行しますので、墜落の危険はほとんどありませんから。」


 「分かった。なら、飛行してくれ。」


 「それでは艦長席に座ってください。」


 取り出した際には浮遊していたが、飛行自体は初めての46ゴーレムに若干の不安な気持ちがあるが、俺は信用する事にして艦長席に座って飛行するのを待つ。


 「浮遊を開始します。」


 機械音声が聞こえてくると、上から圧力をほんの少し感じてすぐに、艦橋の窓の外の景色が変わって行った。


 「浮遊に成功しました。これより飛行を開始します。」


 そうして飛行を開始した小型飛空艇ゴーレムは、最初はゆっくりとしたスピードで飛行して行くが、段々と飛行スピードを上昇させていく。


 「外の景色を確認しても大丈夫か?」


 「外の甲板に出なければ問題ありませんよ、マスター。」


 流石にそれなりのスピードで飛行している小型飛空艇ゴーレムの甲板には出られそうにない。


 何故なら下手に外に出たら、風や風圧などで身動きがまともに取れずにそのまま小型飛空艇ゴーレムから墜落してしまうかも知れないからだ。


 その為、俺は艦橋内の窓から外を覗く様にしながら見ると、離れている地面を見ることが出来た。


 それを見て、ようやくこの小型飛空艇ゴーレムが飛行している事に納得し、地面の景色の変わるスピードの速さに小型飛空艇ゴーレムが飛行するスピードの速さに驚いてしまう。


 30分くらい経っただろうか、飛行スピードを緩めて行き、最後には最初に取り出した際に現れた場所で小型飛空艇ゴーレムは停止する。


 「飛行は大丈夫だな。あとは攻撃系の武装の確認だけだけど、すぐに向かうか?」


 「そうしたいです。出来れば早く習熟したいですから。」


 「分かった。とりあえず対地用の武装の練習をして貰う。俺が降りたら、すぐに入り口を開くからそこを通った先の異界で確かめてくれ。」


 それからすぐに俺はタラップを使って飛空艇から地面に降りると、地上で活動して上空への遠距離攻撃を行なう魔物の居ない異界を選んで、次元空間の出入り口を開いた。


 そして、開いた大きな次元空間の出入り口に向かって進んで行き、小型飛空艇ゴーレムが姿を消すと、俺はこの空間を管理しているゴーレムに挨拶をしてから生活用の空間へと戻った。


 いつもの定位置に座ると、俺は中型アンドロイドゴーレムたちの様子を確認する。


 「まだアンドロイド型のボディのレベルは上げていないのに、ドール型よりも器用に動かせてるのはボディの違いか?」


 柔軟な動きをしながらそれぞれの武装を使用して魔物を倒していく中型アンドロイドゴーレムの様子を見ていると、蹴りが魔物の顔面に直撃する場面を目撃した。


 「アンドロイドだと軽鎧系の武装が良さそうだな。それに蹴りを多用するのなら靴系の武装も蹴りに合う武装が良いか。」


 ドール型よりも柔軟に素早く動いている中型アンドロイドゴーレムたちの動きの確認を終えると、次に小型飛空艇ゴーレムの俯瞰視点を確認する。


 するとそこでは、一方的に上空から大砲型武装を使用して魔物を攻撃している小型飛空艇ゴーレムの姿があった。


 「命中率はそれほど高くないみたいだな。まあ使い始めだろうから、そこは使っていけば改善するだろ。」


 大砲型武装から放たれる砲弾は魔物に直撃している物は少ないが、砲弾が直撃した場合は一撃で瀕死か即死に魔物はなっていた。


 これで命中率が改善して行けば、上空からの支援攻撃も可能になるだろう。だから、味方に誤射しない様に小型飛空艇ゴーレムには頑張って大砲型武装の習熟を行なって貰いたい。


 上空から何度も砲弾を放つ小型飛空艇ゴーレムの様子の確認を終えると、俺はもう1つの祝福の次元空間のボーナスを確認していく。


 「ゴーレムマスターのボーナスはかなり良いものばかりだったから、次元空間の方も期待出来るな!」


 一体どんなボーナスが次元空間だと貰えるのかを気になりながら、俺は次元空間のウインドウを表示させた。

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