第45話

 あと少しで地球がレベルアップしてから1年が経つと思いながら、俺は今日も朝の身支度を終わらせて、さっそくゴーレムたちの様子を確認していく。


 最初に俯瞰視点の画面を開いて確認するのは次元空間内で活動しているゴーレムたちからだ。


 「畑から確認するか。」


 次元空間に畑がある空間は4つあり、畑①の空間では設定・時間10倍速で空間の時間が10倍速で早くなり、季節も四季で巡る様になっていて、様々な野菜が育てられている。


 畑②でも空間では設定・時間10倍速で空間の時間が10倍速で早くなり、季節も四季で巡る様になっていて、こちらでは様様な果物が育てられている。


 畑③では設定・時間10倍速で時間が進み、温暖な気候で暖かな場所で育つ果物が育てられている。


 最後に畑④では設定・時間10倍速で時間が進んで、四季で季節が巡り、異界で採取を行なった様々な薬草類が育てられている。


 どの畑でも時間が加速して進んでいる事から、俺は立ち寄ることは一切ないが、植物を育てる知識を得たゴーレムたちが野菜や果物は、ここで収穫された野菜や果物が俺の食卓に出されたり、地球側でゴーレムが商品として売られている物だ。


 そして、空間④で採取されている薬草類はゴーレムたちが独自に生産レシピにない薬剤を作るのに利用している。


 一体どこからそう言う知識を得ているのかは不思議だが、ここで作られた薬剤は生産レシピに書かれている物よりも効果が高いと購入していた者たちが言っているのを聞いた事もある。


 ちなみにゴーレムたちが製造した薬剤の実験には魔物が使われており、失敗したものは魔物が死んだらしていた。人間での治験はゴーレムたちを襲って来た者たちで行なわれている。


 そんな畑を管理しているゴーレムたちを確認していくが、どのゴーレムたちの様子も特に変わっていない事から問題はなさそうだ。


 「今日は桃でデザートでも作って貰おうかな。あとで調理担当のゴーレムに伝えておこう。次はあそこだな。」


 次に確認するのはゴーレムたちが生産活動を行なっている空間だ。ここでは畑以上に多くのゴーレムが働いている空間になっている。


 この生産活動を行なう空間も複数あり、調合や鍛治に裁縫などの装備アイテムやポーションを作る空間が最大で3つある。


 調合を行なう空間では次元空間の施設の方で設置する事が出来る施設と、生産レシピから道具を1から製造して集めて設置した施設のある空間があり、そしてどちらの道具や施設もある空間の3つでゴーレムたちは日夜、ポーションや薬剤の生産を行なっている。


 他にも鍛治や裁縫に細工などを製作する空間にも、次元空間の施設と生産レシピから道具を製造した施設などがあり、鍛治は3つの空間、裁縫や細工などは2つの空間でゴーレムたちは働いて生産をしているのだ。


 そんなゴーレムたちが働いて動いている姿を俯瞰視点で確認する。


 「うん、こっちも問題ないみたいだな。でも、下級素材の消費が多いか。追加して、持って行って貰わないと駄目だな。」


 手早くゴーレムマスターの素材生成を行ない、魔物石をコストにして消費が多い下級素材やついでに中級素材を生成すると、俺は休憩中のゴーレムの何機かを呼び出して、生成したばかりの素材をそれぞれの生産に使用する空間へと運んで貰う。


 次元空間内のゴーレムたちの様子の確認が終わると、俺は地球内で活動しているゴーレムたちの様子を確認していく。


 まず最初に確認したのは日本国内にあるゴーレムたちの拠点からだった。


 成長中の異界の魔物を間引いていても、偶にだが異界から魔物が外に出る事がある。


 その為、飛行能力のあるゴーレムが異界を成長させながら管理している異界から魔物が外に出ていないかを確認している。


 「夜の間に外に出ている魔物は居なかったみたいだな。」


 次々と管理している異界を巡回しているゴーレムの映像を確認しているが、今のところは異界から魔物が外に出ている様子はなかった。


 次に異界の侵食で異界の周りが魔物の棲家に変わっている場所を攻略しているゴーレムたちの様子を確認する。


 「上級クラスの魔物まで進化している魔物は居なさそうだな。それなら問題ないか。」


 異界の外に出た魔物は、魔物石を摂取する事で魔物は進化を起こす事が分かっており、だからこそ魔物を倒したのなら魔物石の回収は絶対にしないといけない。


 そして魔物同士は同族じゃないと争う傾向にあり、そうして魔物石を摂取して進化をしているのだ。


 だからこそ管理を始めた頃はそれに気が付かなかったせいで、魔物石の回収を怠り、進化した魔物との激闘が起こる事が何度かあったが、それも現在ではなくなって、今は管理下にない異界に侵食された周辺でしか進化した魔物との戦いはない。


 日本にある魔物を排出する異界は既に管理下にある異界しかない為、今後は繁殖でしか魔物が増えないが、それでもかなりの数の魔物たちがおり、今はその内の一つの棲家をゴーレムたちは攻略している。


 「うん、うん。上級素材でボディと武装を作ったゴーレムなら余裕そうだな。」


 異界の中で現れる事のない進化した魔物との戦いを余裕に制しているゴーレムたちの様子を見て、このまま攻略が終わるまで見ようかと思ってしまうが、今日はゴーレムたちが商品を売りに向かう日だからと諦めて、次のゴーレムの俯瞰視点の映像を見始めた。


 今現在はゴーレムたちの商品が売られている場所は日本各地に何十ヶ所もあり、その内の装備アイテムなどは自衛隊の拠点や基地などで販売されており、野菜や果物などの食品は人が多く暮らしている場所で販売されている。


 そしてポーションはどちらの店舗でも購入する事が可能だが、中級以上のポーションは魔物との戦いをする者たちを優先する為に自衛隊の拠点や基地にしか置かれていない。


 そんなゴーレムたちが経営する店舗の様子を確認すると、どちらの店舗でもかなりの混雑が起こっていた。


 「朝早くから並んでたみたいだからな。」


 どこの店舗でも商品を取り合いになるレベルで誰も彼もが我先に籠の中に商品を入れていたりしている。


 二、三ヶ月前から日本政府から1週間ではなく、もっと短い間隔で店舗を開けないかと言われているが、海外にもゴーレムたちの店舗が開店したせいで、商品を追加する余裕がないから開けないのが現状である。

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