第43話

 複数の特別緊急地域の重なる場所を地球側での拠点にしているゴーレムたちは、順調に辺りの異界の周りを棲家にしている魔物たちを倒して行き、一部の異界以外はボス攻略を行なって魔物が地球側に現れない様にしていた。


 そんな重なる特別緊急地域にある異界周りの半分の異界の周りの魔物の排除は終わり、残りの異界周りの魔物たちから防衛戦をゴーレムたちが行なっている頃、ボス攻略を行なっていなかった異界から中級異界に現れる魔物が異界の外に出て来たのだ。


 それを偶々巡回中の中型蜂ゴーレムの俯瞰視点の画面で発見した俺は、一度攻略した異界でも再びボス魔物と戦える様になってから放置すれば、下級異界から中級異界に成長する事が分かった。


 そして流石に牛の魔物の異界周辺を囲っている下級素材で作られた石の壁では、中級異界から現れた強い牛の魔物を閉じ込める事は出来ない。


 だから俺はすぐにゴーレムたちに命令を出して、中級異界に成長した牛の魔物の現れる異界から現れた牛の魔物を倒す為に、ゴーレムたちを今も空から監視している中型蜂ゴーレムを利用して囲っている石の壁の囲い中に送り込んだ。


 送り込んだゴーレムのゴーレムボディと武装は上級素材で製造している為、安心してゴーレムと中級異界から現れた牛の魔物との戦いを観戦する。


 大型ドールゴーレムの持つ大きな盾型武装に突進した牛の魔物は受け止められると、すぐに大型ドールゴーレムの左右の脇側から現れた中型ドールゴーレムたちが牛の魔物の首を狙って剣型武装で斬撃を放つ。


 命中した斬撃の威力は2機こ中型ドールゴーレムがすれ違い様に放った為、牛の魔物の首を両断するほどの威力を持たなかった。


 だが、それでも左右から繰り出された斬撃により牛の魔物首は千切れる寸前になっており、牛の魔物は致命傷を受けて草原に身体を倒して砂の山に変わっていく。


 中級異界から現れる牛の魔物たちを他のゴーレムたちも次々に倒して行き、牛の異界周辺の草原に牛の魔物が居なくなると、俺はゴーレムたちを牛の魔物の異界に進む様に指示を出した。


 「上手くいけば、上級の魔物だろうボス魔物を倒して、上級の牛肉が手に入りそうだな。じゃあ改めて命令する。ゴーレムたちは黒い柱を探してくれ。」


 中級異界に変わったせいで、ボスの現れる黒い柱の位置が変わってしまい、その探索を行なう為に俺はゴーレムに改めて命令を出した。


 異界の外での牛の魔物を倒した様子を見て、見ていなくても問題はないと判断した俺は、他のボス魔物を倒さずに放置している異界からも魔物が現れていたりしていないかを確認する様に、上空から巡回している中型蜂ゴーレムに他の異界の周辺の様子を探す様に命令する。


 命令通りに中型蜂ゴーレムは異界を巡って巡回を行なっていくが、どうやら中級異界まで成長して魔物を排出した異界は牛の魔物の異界だけだった様だ。


 他の異界まで成長して中級異界に変わり、変わった異界から魔物が現れて来ない事に安堵する。


 流石に中級異界のボス魔物を倒す為には今ある戦力の半分以上を出さないと確実に勝つ事が出来ないからだ。


 「まだ他の異界は成長か。出来れば、明日にはこの牛の異界の攻略を終わらせたいな。他の異界も成長しているだろうし。」


 管理下にある他の異界が中級異界になっていない事を確認した俺は、次に複数ある異界を占拠しているゴーレムたちを排除しようとしている魔物の集団と戦っている戦線の様子を確認する。


 「こっちも突破される様子はないな。石壁を破壊する事が出来るような力のある魔物は居ないし、問題は1メートルしか高さのない石壁を乗り越えられる事くらいか?」


 下級素材で作られた石の壁を盾の代わりにしながらゴーレムたちと魔物の集団が戦っている俯瞰視点を確認すると、順調に襲って来る魔物を遠距離用の武装である弓型武装や魔法杖型武装を用いて排除していた。


 石の壁に接近されれば、ゴーレムたちは槍型武装や棒型武装で接近の妨害を行ない、動きが鈍くなる様に攻撃して、トドメは遠距離用武装でゴーレムたちはトドメを刺す。


 そうして魔物の集団から襲撃を受けているゴーレムたちの防衛戦も順調なのを確認した俺は、次に他のゴーレムたちの様子を確認して行く。


 いま他に活動しているゴーレムは生産活動をしているゴーレムの他に、西日本側にある幾つかの中級異界の黒い柱の探索をしているぐらいだ。


 俺はその内の1つの中級異界を攻略しているゴーレムたちの様子を確認する。


 確認した異界は完全に水没している異界で陸地は一切ない異界だ。


 そんな異界をゴーレムたちは魚型ゴーレムボディと鮫型ゴーレムボディの2つのゴーレムボディに換装させて探索している。


 そんな水没している異界に現れる魔物は、烏賊や蛸の軟体動物の魔物ばかりだ。


 そんな異界を泳いで進んでいる30センチくらいの小型魚ゴーレムと2メートルくらいの中型鮫ゴーレムたちは、さっそく2メートルはあるだろう烏賊の魔物の群れと遭遇した。


 「どうやって戦うんだろうな。」


 2メートルサイズの烏賊の魔物に対して、水中戦闘用のゴーレムたちがどんな風に戦うのかを確認する。


 小型魚ゴーレムたちが最初に動き出す様だ。真っ直ぐに烏賊の魔物へと突撃を行なう小型魚ゴーレムたち。


 その勢いはかなり早いが、烏賊の魔物は触手を伸ばして接近してくる小型魚ゴーレムたちを捕獲しようとしている。


 伸ばされた触手を器用に小型魚ゴーレムたちは躱して接近すると、そのまま烏賊の魔物に小型魚ゴーレムたちは体当たりを仕掛けた。


 3機の小型魚ゴーレムの体当たりを受けた烏賊の魔物の身体に、小型魚ゴーレムたちがめり込みながら貫通して行き、烏賊の魔物はかなりのダメージを受けていた。


 小型魚ゴーレムの頭部に付けた先の尖った帽子型武装を身に着けさせたお陰で、ここまで威力のある体当たりが行なえた。


 そして、その後すぐに中型鮫ゴーレムたちが身体に穴の空いた烏賊の魔物に襲い掛かり、1匹しか居なかった烏賊の魔物は中型鮫ゴーレムたちに食い荒らされていく。


 「なかなか迫力があるな、鮫ゴーレムは。」


 それからも小型魚ゴーレムと中型鮫ゴーレムのゴーレムたちは遭遇する烏賊の魔物や蛸の魔物を貫き噛み千切って倒して行くのを、俺は観戦しながら昼食を食べるのだった。

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