第41話

 そして、自衛隊員たちは手持ちのドロップアイテムや魔物石との交換で、ゴーレムたちが制作した装備アイテムやポーションなどを購入する事が出来ていたが、まだリヤカーの上には装備アイテムやポーションはある。


 それを見ていたトランシーバーを使い何処かと連絡を取っていた自衛隊員が、ゴーレムと代表して対話していた自衛隊員へと何かを話すと、代表していた自衛隊員がゴーレムに話し掛けて来た。


 「我々が拠点にしている場所にドロップアイテムや魔物石はまだあるんだ。我々の拠点に来てくれないか?」


 友好そうだし、拠点まで行って襲われたりしても、ここに向かわせたゴーレムたちは中級素材を使ったボディな上に、護衛役のゴーレムに至っては数少ない上級素材の武装を身に付けているから問題ないだろう。


 俺はゴーレムに自衛隊員たちが拠点にしている拠点まで向かう事を了承する様に命令すると、ホワイトボードにゴーレムは拠点に向かう事を了承したと書いて自衛隊員たちに見せる。


 「案内するから着いて来て欲しい。」


 ゴーレムはホワイトボードに「分かった」と書くと、自衛隊員たちに囲まれる様にしながら、ゴーレムたちは自衛隊員たちが拠点にしている場所まで向かうのだった。


 自衛隊員たちの拠点に向かうまでの間、自衛隊員たちにホワイトボードを持つゴーレムが話し掛けられたら、ゴーレムはホワイトボードに文字を書く為に動きを止めてしまう。


 その為、話し掛けられる事はなくなったが、全員が無言で進む事になって気不味そうな雰囲気がしていた。


 そんな中で自衛隊員たちやゴーレムたちを襲う魔物の群れと遭遇する。


 「あの魔物たちは私たちが戦う。だから、動かないでくれ。」


 ゴーレムに了承するとホワイトボードに書かせると、自衛隊員はそれを確認してから襲って来た犬の魔物の群れと戦う為に指揮を取り始めた。


 「自衛隊員はどんな風に戦うんだろうな。ゴーレムたちと戦えはしないだろうけど。」


 自衛隊員たちの戦う姿を確認する事が出来るのは良い事だと思いながら、俺はゴーレムを中心にした俯瞰視点の画面を見始める。


 「行くぞ、5人1組で戦え!!」


 「「「「「おお!!!」」」」」


 5人1組で1匹の犬の魔物と自衛隊員たちは戦い始める。


 銃は使わずにゴーレムから購入した剣や槍などの武器を使って戦い始めた自衛隊員たちの攻撃に、犬の魔物たちは必死に抵抗するが数の暴力でダメージを受けていく。


 「なかなか良い動きをしているな。下級素材のゴーレムたちなら、5人1組で1機なら倒されるかもな。もちろんその場合、ゴーレムボディのレベルは全ての1レベルだけど。」


 自衛隊員たちの動きを観察しながら10分ほどで、犬の魔物の群れを自衛隊員たちは倒すのだった。


 6匹の犬の魔物の群れと戦って10分なら人数が30人を超えている状態だと、これがゴーレムなら遅いのだろうが、傷付けば自然に回復するのも遅い人間だと安全も考えれば充分なのだろう。


 倒した犬の魔物たちからドロップアイテムと魔物石を回収した自衛隊員たちに促されてゴーレムたちも移動を開始する。


 それからも幾度かの魔物の群れとの遭遇もあったが、それら全てを自衛隊員たちに任せずにゴーレムたちの戦う姿を見せる事もあった。


 その時に護衛役のゴーレム2機だけで遭遇した犬の魔物5吐きを圧倒して殺した姿に、自衛隊員たちは警戒してしまった様だ。


 やはり自分たちよりも格上で簡単に殺されるゴーレムがすぐ側に居るのは、精神的に負担が掛かっている様で、ゴーレムたちが戦闘終了後は引き攣った笑いをしている者や恐怖している者もいた。


 そんな自分たちが束になっても敵わないゴーレムたちを、自分たちの拠点に連れて行くのは止めた方が良いのではと言う話も出ていたが、どうやら自衛隊員たちも上の意向には逆らえない様で、結局はゴーレムたちを連れて行かなければならなくなった様だった。


 かなり警戒されながらゴーレムたちは自衛隊員たちの拠点にたどり着く事になるが、その道中に民間の探索者と思われる集団とも遭遇する事になり、そこでゴーレムたちがこれかれ販売する事になる商品の説明などもしたせいで、自衛隊員たちの拠点に着くまでに時間が掛かってしまったのもある。


 「そこで待っていてくれ。今からドロップアイテムや魔物石を取ってくる。」


 自衛隊員がそう言うと、ゴーレムは自分で考えてホワイトボードに了承と文字を書いた。


 そうしてゴーレムたちは自衛隊員たちの拠点にたどり着いてからしばらくして、自衛隊員たちが集めていたドロップアイテムや魔物石と装備アイテムやポーションを交換していく。


 そして、リヤカーに乗せていた全ての商品をここの自衛隊員たちが購入した事で、とりあえずはこの経験を活かしてゴーレムたちでも人とのやり取りは出来るようになっただろうと思う。


 「今後も取り引きがしたいのだが、それは可能なのか?」


 ホワイトボードを持つゴーレムに可能な事と1週間後にまた来る事を伝える様に命令を出す。


 「それならまた頼む。出来れば次はポーションを多めにして欲しい。」


 それに了承する様に命令を出し、その後に自衛隊が活動している地域と、その拠点の場所を教えて貰えないかを聞く様に命令を出した。


 「何故かを聞いても構わないか?」


 怪しんでいる様子の自衛隊員だが、俺がゴーレムに次に書く様に命令を出した文字を読んで納得する。


 「なるほど、他の地域の自衛隊にも商品を持って行きたいと言う事だな。上に聞いてみよう。待っていてくれ。」


 ゴーレムと話をしていた自衛隊員が他の自衛隊員に、先ほど書かれた事を自衛隊の上の者に聞きに行く様に指示を出すと、他には何かないかと聞いて来た。


 少し考えて、俺はこの場所に直接来ても構わないかを聞く様に命令を出す。


 「?……どう言う事か分からないが、危険な事をしないのなら構わない。」


 一応の許可を貰ったと判断した俺は次元空間の出入り口を開くと、それに周りの自衛隊員や見物に来ていた者たちが驚き警戒する。


 それに対してゴーレムにこれがゴーレムたちの移動の仕方の1つな事をホワイトボードに書く様に命令を出す。


 それを見て、自衛隊員たちは納得するが、次元空間の出入り口にかなり警戒をしていた。

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