第40話

 生産作業を行なっているゴーレムたちが居る空間を周り、制作しているアイテムの確認を終えた俺は、ゴーレムたちが製作しているアイテムを一体どれほどの値段で売買するのかを考えていた。


 そうして考えた結果、いまのゴーレムたちが制作しているのに使用している素材は、全てゴーレムマスターの素材生成で生成した素材ばかりだが、それでも生成コストもあり、生成に使用した分の魔物石や素材の3倍の値段にする事に決める。


 使用した素材生成の3倍分の値段なら充分に元は取れるし、こちらにも得はあるだろう。


 「はぁ、接客する為のゴーレムと護衛のゴーレムの事も考えないといけないか。ゴーレムは会話が出来ないからな。ホワイトボードでも持たせればいいかな。ゴーレムたちも読み書きは出来るだろうし。」


 接客役と護衛役をするゴーレムたちを呼ぶと、簡単にどう接客するのか、護衛はどうすれば良いのかを俺が考える感じでゴーレムたちに教えてから3日後、リヤカーにゴーレムが作った物を乗せたゴーレムたちを俺は見送った。


 事前に小型蜂ゴーレムを使って防衛戦が激しい場所を中心に、次元空間の出入り口を登録した出入り口をゴーレムたちはリヤカーを引いて外に出る。


 「さてと、まず売れるかどうかだな。それにゴーレムたちが襲われないかだ。」


 ゴーレムたちは自衛隊や探索者たちに襲われない様に、先頭と最後尾を歩くゴーレムの全面に装備、ポーション売りますと書かれた紙が貼られているけど、それでも襲ってくる者が居るのではないかと思ってしまう。


 そんな事を思いながらリヤカーを引いているゴーレムの一団と自衛隊と思われる者たちが接触する。


 警戒の為か、自衛隊員と思われる集団はゴーレムたちに向かって武器を構えているが、即座に襲って来る様な様子はなく、トランシーバーを使って何処かにゴーレムたちの事を知らせている様に見える。


 「こちらに敵意はない事をホワイトボードに書いて伝えてくれ。」


 ゴーレムに命令を出すと、ゴーレムの1機がホワイトボードを取り出して文字を書いている様子を見て、自衛隊員たちはザワザワと騒めいていた。


 そんな様子を見て俺はちょっと面白いと思いながら、1機のゴーレムを自衛隊員たちの方に向かう様に命令を出した。


 ホワイトボードを見せながら1機で接近して来るゴーレムに、自衛隊員たちも警戒はしているがすぐに攻撃に移る事はなさそうだ。


 自衛隊員たちへと向かわせたゴーレムに登録されている次元空間の出入り口へと俯瞰視点の画面を切り替えると、俺は自衛隊員に武器や防具にポーションなどを売りに来た事をホワイトボードに書いて伝える様にゴーレムに命令を出す。


 そして書き終わったホワイトボードをゴーレムは自衛隊員に見せると、再び自衛隊員側から騒めきが聞こえ始めた。


 罠なんじゃないか、本当に装備やポーションなどのアイテムを売るのか、売るとしたらどれくらいの値段なのかなどと聞こえて来る中で、自衛隊員の中でも強そうな人がゴーレムの前に移動して来た。


 「お前は敵なのか!それとも俺たちの味方なのかどっちなんだ!!」


 画面越しにも感じる威圧感にビクッと身体を震わせてしまうが、ゴーレムにこちらは敵意がない事を伝える様に命令を出した。


 「敵ではない、か……それが本当ならお前たちはなんなんだ?」


 正直に言っても良いんだろうか。悩んでしまうが、このゴーレムたちを製造したのは日本人な事だけを伝える事にした。


 それだけなら俺が誰なのかを知られる事はないと思うからだ。


 ゴーレムに日本人がゴーレムたちの上にいる事、異界出入り口の周りを徘徊しているだけだった魔物たちが棲家を離れて襲撃している状況が不味いと思ったから手助けに装備やポーションなどを売ろうと思った事をホワイトボードに書くようにゴーレムに命令を出した。


 そして書かれたホワイトボードの文字を見て、再び自衛隊員たちは騒めき始める。


 そんな中でトランシーバーで外部と連絡を取っていた自衛隊員が、ゴーレムに話し掛けていた自衛隊員に何かを話し始めた。


 「一応売られている商品を見せてくれ。それで購入するかを決める。お前たちが攻撃行動に入った場合は容赦はしない!!」


 ゴーレムを睨み付ける様に威圧感たっぷりに自衛隊員は言うと、ゴーレムに商品を見せろと言うので、俺はゴーレムたちにリヤカーを持って行く様に命令を出した。


 リヤカーに乗せている商品の装備やポーションなどを並べて見せると、自衛隊員の1人が鑑定用紙を持って鑑定を行なう事をゴーレムに伝えて来る。


 まあ怪しいゴーレムの持ってきた商品を怪しむのは仕方がないかと思い、鑑定用紙を使う事を許可する様にゴーレムにホワイトボードに書かせて見せると、自衛隊員に中級ポーションをゴーレムは手渡させて、自衛隊員はポーションに鑑定用紙を使用した。


 「これ!本物のポーションですよ!!それに中級ランクのポーションです!!」


 「本当か!?」


 中級の回復ポーションな事に驚愕している自衛隊員に驚く事なのかと思っているが、異界のボス討伐はほとんど俺はのゴーレムたちが倒している。


 だから、手に入るのは異界のボスを倒して宝箱から手に入れるか、中級異界に成長した異界の魔物の宝箱から手に入れるしかない。


 この様子を見る限り下級異界のボスを倒して手に入れた中級の回復ポーションを手に入れたと思われる。だからこそ、この驚き様なのだと思う。


 他にも様々な下級ポーションや武器や防具などの装備アイテムにも鑑定用紙を自衛隊員たちは使用していく。


 その中で魔力を使う事が出来れば誰でも攻撃魔法が使える○の魔法杖シリーズには再び驚愕と共に騒めき出していた。


 それからどういった方法でこれらのゴーレムたちが制作したアイテムを購入する事が出来るのかを伝えると、トランシーバーで連絡を取り始めていた。


 「魔物石やドロップアイテムを持って来てくれ。それで、これらの物で購入する事は出来るか?」


 ホワイトボードに可能な事を伝えさせて、素材は魔物石換算でどれくらいなのかをホワイトボードに書いて自衛隊員たちに見せる様に命令する。


 そして自衛隊員たちはそれを見てから並べられた装備アイテムやポーションなどを購入し始めた。

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