第39話
毒状態になった赤い牛の魔物たちは時間が経つ毎に炎のブレスを吐くのを止めていくが、赤黒い牛の魔物だけは未だに盾型武装を持つゴーレムへと炎のブレス攻撃を行なっていた。
「それにしてもなんで赤黒い牛の魔物は逃げないんだろうな?」
盾型武装が完全に引火して燃え盛っている状況を見ながら、俺は赤黒い牛の魔物の行動に疑問に思っていると、その赤黒い牛の魔物を倒す為に中型蜂ゴーレムたちが集団で張り付いて、噛み付き攻撃と毒針刺し攻撃を中型蜂ゴーレムたちは赤黒い牛の魔物へと行なう。
このまま赤黒い牛の魔物に毒を注入する中型蜂ゴーレムを、赤黒い牛の魔物は身震いをする事である程度の妨害をするが、そんな赤黒い牛の魔物に向かって盾型武装を持っていたゴーレムを回り込んだ他のゴーレムたちが一斉に攻撃を行なっていく。
だが、赤黒い牛の魔物は炎のブレス攻撃を止まずに、盾型武装へと炎のブレスを吐き出して行った。
そして、炎のブレスを吐くのを止めたのは赤黒い牛の魔物が生き絶えるまで続くのだった。
こうしてゴーレムたちは牛の魔物の異界周辺の牛の魔物の掃討を終えると、今度は倒した赤黒い牛の魔物と赤い牛の魔物が落としたドロップアイテムの回収を行なっていく事になる。
「赤い牛の魔物からは昨日と変わらないドロップアイテムに追加して、新しく肉も手に入ったのか。赤黒い牛の魔物からはどうなんだ?」
次に赤黒い牛の魔物のドロップアイテムを探していたゴーレムたちへと俯瞰視点の画面を変えると、そこには赤黒い皮を持っているゴーレムの姿があった。
「ドロップしていたのは皮か。この皮を素材生成の登録に使えば、登録は可能だけどどうなるかな。」
出来れば上級素材になってくれたら嬉しいと思いながら、俺はゴーレムたちを帰還させる。
「みんな、お疲れさま。これからボディと武装は修理するから、みんなは新しいボディに変えたら建築作業に戻ってくれ。」
ここに集まったゴーレムたちを一時的に収納すると、俺はゴーレムボディと武装を全て普通の修理で修理していく。
修理を開始すると、ゴーレムたちには拠点建築を行なえる様なゴーレムボディへと換装させて行き、それから俺はゴーレムたちが地球内での拠点を作る作業を見守るのだった。
そうして異界の攻略と拠点作りをゴーレムを量産しながら行なっていると、情報収集の代わりに見ていたテレビのニュースやスマホでの情報を見て、俺はこれからの事を考える事になる。
「せっかく異界を攻略しても、それまでに異界の外に出た魔物の繁殖のせいでこうなるとわな。」
いまテレビやスマホから得られた情報では異界周辺を縄張りにしていた魔物たちの抗争が激化しており、その激化の煽りを受けて敗北した魔物の一段が、特別緊急地域から避難している人たちが多く居る地域へも移動して被害者が多数でてしまっていると言う事だ。
これを受けて自衛隊や探索者たちが魔物の討伐に出ているが、そのせいでかなりの死傷者が続発していると言う。
「異界の攻略ならなんとかなるけど、ここまで異界の外の魔物たちが動き出すとはな……はぁ、やりたくないけど仕方ないか。これは……。」
どんな風に自衛隊や探索者たちが戦っているのかを中型蜂ゴーレムを使って偵察していると、使用している武器や防具は魔物がドロップしたアイテムで製作した物や異界の魔物を倒して現れる宝箱からの武器や防具を使っている様だ。
そして、そんな武器や防具を使った者たちの戦いぶりはと言うと、かなり死に物狂いで戦っている様子だった。
「魔法を使える人も居るんだな。それにあれは回復魔法なのか?」
火魔法や水魔法と思われる物や、かなりの重傷すらも癒す者がいるのを俯瞰視点から確認すると、俺は中型蜂ゴーレムを次元空間へと戻した。
「とりあえず、自衛隊や探索者にはゴーレムたちが使う武装の様な物が必要だな。それにポーション系のアイテムも。」
魔物たちと戦う人たちを見て思った事を口に出した俺は、ゴーレムマスターで製造する武装はゴーレム以外は使用出来ない為、これまでの探索で手に入れた生産レシピを使った装備アイテムやポーションをゴーレムたちに作らせる事にした。
異界の攻略で手に入れた生産を行なう為の道具はたくさんある為、ゴーレムたちも様々な生産活動が可能だろう。
そして俺は今も建築作業を行なっているゴーレムたちの中から、今ある生産道具の数だけ呼び戻すと、これからどうするのかを戻って来たゴーレムたちに伝えていく。
「みんなにはこれから生産道具を使って生産レシピの通りにアイテムを作って貰う。そして、そこで作られたアイテムは俺たちが使うことはないだろう。だけど自衛隊や探索者に使って貰う事になる。だから、最初は下手でも構わない。数を熟して大量に作ってくれ。」
今後はどうするのかを伝えた俺は次元空間のポイントを使って、新しい生産用の空間を幾つか作り、そこに生産用の道具をゴーレムたちに倉庫から取って来て貰うのだった。
そうして生産用の道具を先ほど作り出した空間へと運んだのを確認した俺は、次に生産するのに必要な素材を素材生成を使って作り出していく。
武装はゴーレムたちしかまともに使う事が出来ないが、素材生成で作り出した素材は様々な事に使う事がを出来る。
生成した素材を持って、それぞれの生産活動を行なう空間へと向かって行くゴーレムたにの様子を見送ると、俺はゴーレムたちの生産活動を空間に出向いて見学して行く。
「器用に作れてるんだな。その調子で頑張ってくれよ。」
応援の言葉を俺はポーション作りをしている様子を見ながら伝えると、ポーション作りをしているゴーレムたちは照れた様なジェスチャーをするものや、更に集中してポーション作りをするものが現れる。
そうして見学していると、生産レシピを確認しながらゴーレムたちがポーションを作り出す事に成功した。
「これ、少し調べるぞ。」
完成したばかりのポーションをゴーレムの1機から受け取ると、俺はどれくらいの出来なのかを調べる為に、鑑定用紙を使用して初めてゴーレムが生産したポーションを調べて行った。
「うん。宝箱から手に入るポーションよりは効果が低いけど、ポーションとして使えるから問題はないな。」
ポーションの出来はまだまだの出来だったが、それも数を熟していけば問題ないだろうと、俺は調合用の空間を出るのだった。
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