第38話
昨日は特別緊急地域内にゴーレムたちが活動する為の拠点作りの第一段階を終えると、これからは兎の異界を囲む石壁を少しずつ大きく拡張する。
だが、拡張をする為のゴーレムの数は半分まで減らして、残りのゴーレムたちには昨日の赤い牛の皮から製造した鎧型武装を身に着けて貰い、新しく牛の異界周辺の制圧に向かわせた。
そうして向かう道中に遭遇した兎の魔物を倒しながら侵食した牛の異界周辺にたどり着くと、そこには炎を吹いていた赤い牛の魔物以外にも居た。
「なんだあの牛は?」
昨日は赤い牛の魔物以外の牛の魔物は全て倒すことに成功しており、牛の異界の周辺には牛の魔物は赤い牛の魔物以外は居ないはずだった。
けれど、赤い牛の魔物に囲まれているあの赤い牛の魔物よりも二回り大きな赤黒い牛の魔物が草を食べている姿がそこにはあった。
「昨日はあんな牛は居なかったし……まさか昨日回収出来なかった魔物石を食べたから、あの赤黒い牛に赤い牛が進化?それとも変化したのか?」
もし俺の考えが当たっていた場合、あの赤黒い牛の魔物は赤い牛の魔物と同じ様に炎を吹いてくるだろう。
それにその場合は赤い牛の魔物よりも強力な炎ブレスを行なって来るに違いない。
そんな予想をゴーレムたちに伝えて警戒する様に伝えると、理解したとゴーレムたちの代表を務める01ゴーレムがジェスチャーをする。
「あとはゴーレムたち次第だな。」
俺がやれる事はもうないと、俺はソファに身体を預けながらゴーレムたちと赤黒い牛の魔物率いる赤い牛の魔物たちとの戦いを観戦するだけだ。
ゴーレム側の戦力に若干の不安は感じるが、それでも勝てるだろうと楽観的に考えながら見守る。
ゴーレム側は真っ直ぐに赤い牛の魔物からドロップしたアイテムを素材化した皮を使った火属性に耐性のある皮の盾型武装を前面に出したゴーレムたちを先頭にして進んで行く。
もちろん隠れて接近している訳ではない為、牛の異界周辺に生えた草を食べていた赤い牛の魔物や赤黒い牛の魔物もゴーレムたちの接近には気が付いており、草を食べるのを止めて好戦的な目付きで赤黒い牛の魔物が「モーー!!!」と鳴いた。
すると、他の赤い牛の魔物たちが一斉に「モー!!」と鳴き声を出して、赤黒い牛の魔物率いる赤い牛の魔物たちが一斉にゴーレムたちへと突撃を行なって来る。
そんな牛の魔物たちからの攻撃に備えて、前衛の大きな盾を持つゴーレムたちが牛の魔物からの突撃を防ぐ為に待ち構えた。
「ぶつかり合うのか……!」
かなりの勢いで突撃する牛の魔物たちからの突撃をゴーレムたちは受け止められるのか、若干興奮しながら観戦していると、赤黒い牛の魔物が率いる赤い牛の魔物たちは、ゴーレムたちに行なった突撃が当たる2メートル前で立ち止まると、牛の魔物たちは一斉に炎を吹いてきた。
その炎を前衛のゴーレムたちが構える盾型武装で防ぐ。
だが、赤い牛の魔物からの炎のブレスは完全にではないが防ぎ切れたが、赤黒い牛の魔物からの炎のブレスには耐えられないのか、盾型武装の耐久がごっそりと削れていく。
赤黒い牛の魔物の炎のブレスを防いでいると、盾型武装が完全に破壊されてしまう。
ゴーレムたちもこのまま牛の魔物たちからの炎のブレスを防いでいるだけではもちろんなかった。
上空から前衛のゴーレムたちに炎のブレスを吐いている牛の魔物を、中型蜂ゴーレムたちが急降下からの奇襲でしがみ付きながら噛み付きと毒針を刺して行き、前衛のゴーレムたちを回り込む様にして中型犬ゴーレムたちが噛み付きに向かった。
炎のブレスを吐き出すのに集中していた牛の魔物たちは、中型蜂ゴーレムたちと中型犬ゴーレムたちが行なった攻撃によりダメージを受けることになる。
この2種類のゴーレムたちからの攻撃を受けて牛の魔物たちは痛みで鳴くが、中型蜂ゴーレムたちも中型犬ゴーレムたちも攻撃の手を緩める事はなかった。
2種類のどのゴーレムたちも牛の魔物から離れずにしがみ付いて攻撃し続けていくが、流石に牛の魔物たちもこのままでは不味いと、どうにかしがみ付いているゴーレムたちを取り除こうと動き出す。
だが、絶妙に牛の魔物がゴーレムたちを取り除くのが難しい位置に居る為、取り除くことが出来ずにいた。
このまま牛の魔物にしがみ付いたゴーレムたちが攻撃を行なっていくのかと思っていたら、そんなゴーレムたちを取り除く為に味方に炎のブレスを牛の魔物たちは吐き出そうとするが、その前に前衛のゴーレムたちへと行なわれていた炎のブレスがなくなり、ドール型のゴーレムたちが動き出した。
盾型武装を持っていたゴーレムたちの後ろから現れたゴーレムたちは、槍型武装や剣型武装を持って牛の魔物たちに攻撃を仕掛ける。
槍型武装の刺突や剣型武装の斬撃が赤い牛の魔物たちに命中して行き、そのうちの攻撃の幾つかは牛の魔物の急所に命中した赤い牛の魔物は草原へと倒れていく。
そうしてゴーレムたちが赤い牛の魔物を何匹か倒しても、まだ牛の魔物はおり、その牛の魔物から炎のブレスが吐き出された。
「ほっ、ギリギリで当たらなかったか。」
牛の魔物、特に赤黒い牛の魔物の炎のブレスからは確実に逃げ切ることに成功したゴーレムたちの様子に胸を撫で下ろしていると、自分たちに攻撃を行なっていたゴーレムたちが離れた事で、牛の魔物たちは再び盾型武装のゴーレムたちに炎のブレスを行なってきた。
身体のところどころが火傷している牛の魔物たちからの炎のブレス攻撃を、盾型武装でゴーレムたちは防ぐが、2度目の炎のブレスを受けたの影響が盾型武装に現れる。
「これ急いで倒さないと完全に盾型武装が壊れるぞ。」
赤黒い牛の魔物の炎のブレスを防いでいる盾型武装の淵から使用されている皮が燃え始めているのを見て、このまま盾型武装を使い続けるのは不味い状況だと思っていると、上空へと炎のブレスを避ける為に離れていた中型蜂ゴーレムたちが再び牛の魔物たちに張り付いて噛み付きや毒針を突き刺していく。
牛の魔物の数が減った事もあり、1匹辺りの張り付いて攻撃する中型蜂ゴーレムの数が増えた事で、より早く毒針から毒が流し込まれて行き、牛の魔物たちは毒状態へと状態が変わることになった。
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