第35話

 異界が成長する様になってから更に数ヶ月経ち、この数ヶ月の間で東日本の異界は全て攻略を終わらせ、西日本の大半の異界を登録して多くの人が暮らしている地域を優先して異界の攻略を行なった。


 数ヶ月前に一度攻略した異界は二度と成長しないのかと言う疑問は、多くの異界があるせいで特別緊急地域に指定された異界の攻略をしない事で判明する。


 白いの柱から黒い柱へと変わっても攻略をしないで放置すれば、どうやら異界は成長する様で、意図的に異界を成長させる事が可能だと分かった。


 それ以外にもゴーレムが次元空間の外で活動する為に、特別緊急地域が複数集まっている地域を支配して開発したり、次元空間内に作られた生産活動を行なえる空間を作ってゴーレムたちに生産活動をさせたり、ゴーレムが生産したアイテムを人の多く住む地域に魔石や魔物のドロップアイテムと物々交換で販売したりなどをしていた。


 そうしてこの数ヶ月の間で俺の配下のゴーレムの数はかなり多くなり、300機のゴーレムが俺の配下として行動している。


 この数を運用するのはかなり大変になった為、01ゴーレムには全てのゴーレムを統括する役目を任せ、02ゴーレムには人型ゴーレムの戦闘部隊を、03ゴーレムには動物型ゴーレムの戦闘部隊を、04ゴーレムには飛行型ゴーレムの戦闘部隊を、05ゴーレムには水中型ゴーレムの戦闘部隊を、06ゴーレムには遠距離型ゴーレムの戦闘部隊を、07ゴーレムには次元空間内での生産を行なうゴーレム部隊を、08ゴーレムにら次元空間の外での生産部隊を、09ゴーレムには俺や商売をするゴーレムの護衛部隊を、10ゴーレムには人との商売をする部隊を任せる事になった。


 そんな風に過ごした数ヶ月間の間の事を俺は思い出していく。


 これは地球がレベルアップしてから7ヶ月経った頃の事、俺は異界が密集している地域で更に複数の特別緊急避難が集まっている場所の魔物をゴーレムたちに掃討する様に命令を出した。


 何故そんな事をするのかと言うと次元空間だけじゃなく、地球内にもゴーレムの活動拠点が欲しかった事と、一度攻略した異界を攻略せずに放置するとどうなるのかを調べる為だ。


 この特別緊急避難に囲まれた場所なら魔物が周囲を囲んでいる事もあり、人は近寄らなず人付き合いをしなくても良いと判断した。


 そうして俺は100機を超えるゴーレムたちを向かわせて制圧作戦を実行する。


 今回制圧する異界の周りに陣取っている魔物たちは兎の魔物が蔓延る場所で、異界の侵食でかなりの範囲が草原に変わっている場所な為、戦闘に出したゴーレムたちのボディはドール型、動物型、昆虫型の3種類で向かわせた。


 空中からの中型蜂ゴーレムに登録した次元空間の出入り口から俯瞰視点で、俺はゴーレムたちが制圧する兎の魔物たちの棲家を確認する。


 「うわ、ここまで侵食されていたのか。」


 この辺りの地域を攻略したのはだいぶ前で更に異界のボスを倒すのを止めた為、異界の侵食具合が凄い事になっていた。


 異界の周りにただ草原が広がっているのではなく、小高い丘が複数あり、その小高い丘や草原に穴が空いている事から兎の魔物は広範囲に巣穴を作っている事が分かる。


 「地中の巣穴の中に隠れている兎の魔物をどう巣穴の中から出すかが問題だな。……一体、どうするか……。」


 兎の魔物の巣穴の規模も分からない事もあり、俺は偵察に出した中型蜂ゴーレムを一旦異界に戻して、俺は全ゴーレムたちに異界の外に進行する様に命令を出した。


 俺の命令通りにゴーレムたちが異界から外に出ると、それに反応して草原で草を食べていたり草原の巣穴から兎の魔物が侵入者のゴーレムたちを排除する為に兎の魔物は向かって来る。


 向かって来る兎の魔物は大小様々で種類も複数ある様に思われるだけじゃなく、よく見れば巣穴に逃げる子供の兎の魔物もおり、兎の魔物が繁殖している事が伺えた。


 「巣穴に逃げ込んだ子兎はかなりの数が居たな。この場所を放置していたら、かなりの数の兎の魔物が生息する事になったんじゃないか?」


 これは他の異界の周囲で縄張りを作り棲家を作っている魔物たちの様子も確認した方が良いんじゃないかと思うが、それよりも異界の攻略をして異界からこれ以上異界の外に魔物が現れない様にした方が良いのか悩んでしまう。


 そうして悩んでいる間にも兎の魔物とゴーレムがぶつかり合い始めた。


 「それにしてもこの異界に現れる兎の魔物とは違う種類の兎の魔物も居るな。外に出た事で変化があったのか、それとも気付いていなかっただけで、この異界にはこんな種類の兎の魔物が居たのかどっちだろ。」


 この異界に現れた通常の兎の魔物の数が多いが、少数だけどボス兎と同じ特徴を持つ耳が刃の兎の魔物や、足が発達して筋肉ムキムキの兎の魔物に、額に角が生えている兎の魔物や、どこから持って来たのか肉切り包丁を持って襲い掛かる兎の魔物すらも居る。


 どの兎の魔物も動きが素早く俺がその場に居たのなら、兎の魔物に簡単に殺されていたと確信出来るほどの速さで兎の魔物たちはゴーレムたちを攻撃している。


 だが、ゴーレムたちは的確に攻めて来る兎の魔物を返り討ちにして倒しており、その様子を見て逃げ出す兎の魔物が出始めていた。


 そんな兎の魔物を狙って中型蜂ゴーレムや中型犬ゴーレムが動き出すが、それでも全ての兎の魔物を倒す事は出来ず、兎の魔物は巣穴に潜って隠れてしまう。


 「この巣穴の小ささだと中型犬ゴーレムじゃ中には入れないか。それなら小型犬ゴーレムのボディに交換するか。それよりもまずは巣穴に隠れた兎の魔物以外の兎の魔物を倒して貰わないとな。」


 巣穴を掘っている中型犬ゴーレムや巣穴の上空を飛び回っている中型蜂ゴーレムに命令を出し、まずは異界の周りの兎の魔物を倒す様に命令を出した。


 そうして時間が掛かったが、異界の周囲に兎の魔物が現れなくなると、俺は幾つかのゴーレムたちを次元空間に戻して、そこで小型犬ゴーレムのボディへとゴーレムの身体を交換して再び送り出した。


 それから小型犬ゴーレムたちは巣穴に飛び込んで兎の魔物を倒す様に命令を出し、他のゴーレムたちには巣穴の中から逃げて来た兎の魔物を倒す様に命令を出すのだった。

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