第34話

 ゴーレムたちがそれぞれの経験や情報を交換し合うのを確認した俺は、今回のボス狼のドロップアイテムと宝箱のアイテムを持って生活空間に戻って行った。


 「それにしてもボス狼から毛皮が手に入って良かったな。これで上級素材の皮が登録出来るし、スキン型武装(狼)も上級の素材で建造出来る。」


 手に感じる毛皮のサラサラとした感触を感じながら、俺は戻った空間のテーブルの上にアイテムを乗せていく。


 そして、今回のボス狼からドロップした2つのアイテムの毛皮と牙の2つを、俺は素材生成の登録に使用する。


 すると、案の定にボス狼の2つの素材は素材生成の登録が可能で、上級皮(狼)と上級牙(狼)が新しく追加された。


 「やっぱり生成のコストが高いな。中級の狼の素材の10倍はあるぞ!?」


 上級に上がってまた素材生成のコストが上がった事に驚いてしまう。


 中級素材でここまでゴーレムたちのボディや武装を作って来たが、これが上級素材になると一体どれだけ掛かるのか気が重くなる。


 とりあえず次は宝箱から手に入ったアイテムの確認だ。


 手に入ったのはポーションが2種類が1つずつ、鑑定用紙が1枚、牙を加工して作られたペンダントが1つ、拳大の青色の宝石が1つ。


 これが今回の宝箱から手に入ったアイテムだ。


 その内の青色宝石は素材生成に使えるだろうからと、俺はすぐに登録可能かどうかを確認する。


 「中級宝石のサファイアか。」


 宝石系の素材はアクセサリーだけじゃなく、幾つかの武装や特殊なゴーレムボディにも使われるが、そんな特殊なゴーレムボディはまだ製造する事が出来ないので、使うとしても特殊な効果のあるアクセサリーを製造するくらいだろう。


 鑑定用紙以外の3つのアイテムを鑑定用紙を使って調べていく。


 まず最初にポーションを調べてみると、やはり上級のポーションで回復ポーションと魔力回復ポーションの2つだった。


 どちらも効果が上級に相応しく高いと鑑定用紙には書かれており、使う機会がないが、これは時間が止まった空間に仕舞う事にした。


 次に牙を加工して作られたアクセサリーを鑑定した鑑定用紙を確認する。


 鑑定用紙には黒狼牙のアクセサリーという名前の様で、効果は俊敏性の向上、嗅覚・聴覚の向上の効果があるそうだ。


 敏捷性の向上はゴーレムたちにも使えるが、嗅覚と聴覚の向上は使えないので、これは素材生成のコストにする事にした。


 早速アクセサリーは素材生成のコストにすると、2種類の上級ポーションを時間停止の空間に仕舞う。


 「さてと、これで手に入れたアイテムの確認は終えたし、次は異界の攻略報酬で手に入れたポイントの確認だな。」


 まずは次元空間のポイントの使う事にしたが、どれだけポイントが手に入ったのかを確認する。


 「うわ!!こんなに手に入ったのかよ!?成長前の異界攻略報酬の20倍はあるぞ!!」


 手に入ったポイントの量に驚愕してしまうが、黒い巨狼のボス狼と戦っていたゴーレムたちの事を思い出すと、確かにこれくらいのポイントを貰っても可笑しくはないほどの激戦だった。


 これだけポイントが手に入るのなら上級素材の素材生成を行なって、ゴーレムボディや武装の製造が行なえそうだ。


 このポイントを使って、俺は今ある空間の拡張を行なったり、次元空間の守りを強化したり、空間の出入り口の増加や空間の設備の増強を行なって行った。


 「次はゴーレムマスターだな。」


 ゴーレムマスターのポイントも同じくらいあるが、何に使うかを悩んでしまう。


 これからも成長して強化された異界の攻略を行なうのなら、ゴーレムのコアやボディの強化に武装の建造など様々な事を行なう必要があるが、今回のボス狼戦でゴーレムの数が足りない事が問題だと悩んで気付いた為、俺はゴーレムの数を増やす事にした。


 そうしてゴーレムを増やした結果、10機追加して、今の動かせるゴーレムの数は60機まで増えた。


 これで少しは成長した異界のボス戦でも数が増えた事により倒しやすくなっただろうと思う。


 「新しく建造したゴーレムたちに情報を渡して貰わないとな。今のままだと動かすのも大変だろうし。」


 全機がそれぞれの情報を交換した事で、どのゴーレムと情報を交換しても問題ないだろう。


 とりあえず生活空間用の空間から別の空間に出ると、辺りを見渡してゴーレムを探す。


 「居た。あれは06ゴーレムだな。」


 06ゴーレムに近付いた俺は新しく建造したゴーレムの事を話して、情報交換をする様に言うと、06ゴーレムは了承のジェスチャーをしてくれた。


 「じゃあ今から取り出すから頼んだぞ。」


 ゴーレムマスターから51ゴーレムから60ゴーレムまでのゴーレムを取り出して、06ゴーレムと情報交換をするのを見守っていく。


 「情報交換が終わったら、お前たちも自由に過ごしてくれ。時間が来たら、全体に命令を出すから集まる様にな。」


 生活空間に戻ると、俺は高速修理を行なっているウインドウを開いて時間を確認すると、まだ時間が掛かりそうだ。


 そうして時間になるまでの間、俺は生活空間に戻ると、部屋に備え付けたテレビを付けた。


 次元空間の設定や施設を増やした事で、次元空間の中でも外で流れるテレビなども見れる様になった為、テレビを付けると、丁度テレビではニュースが行なわれていた。


 どうやら今は成長した異界の話をしている様だ。


 「へえ、成長した異界は中級異界って呼ぶ事になったのか。それで成長前は下級異界ね。」


 どうやら政府も自衛隊などを動員して異界の調査をした結果、成長した異界や成長していない異界などの情報を得ていた様だ。


 「やっぱり一度攻略した異界は成長していないんだな。少し不味かったかな?」


 今の日本の現状は俺の祝福のゴーレムマスターのゴーレムたちのお陰で、東日本のほとんどの異界は攻略が終わっている。


 そのせいで東日本の異界はこれ以上成長しないとなると、今後は中級異界があるのは西日本だけになり、更に西日本の異界も攻略すれば、これ以上異界が成長する場合、日本にある異界には上級異界といえる異界が現れる事が無くなってしまう。


 そうなると強い異界がない為、祝福の成長に影響が出てしまうし、強い日本人の探索者も増えてくれなくなるだろう。


 そんな今後どうするかを考えてしまう事がテレビで流されているのを、俺は聞きながら考えるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る