第12話

 「魔物同士でも仲間って訳じゃないのか。01、02。ここは漁夫の利で行くぞ。争っている魔物同士の隙を突いて攻撃だ。」


 01ゴーレムと02ゴーレムは分かったとジェスチャーを取ると、争っているオークの群れと蜂の魔物の群れに隙が出来るのを待つ。


 蜂の魔物に刺されて身体が毒に侵されてふらつくオークや翅を棍棒で叩かれ壊された蜂の魔物が出る中、01ゴーレムと02ゴーレムは動き出した。


 オークと蜂の魔物、どちらがゴーレムに取って厄介な魔物なのかと言うと断然オークだと思う。


 蜂の魔物の厄介なところは毒だろう。毒針に刺されたオークは顔色を悪くしているほどだ。


 だけど、木材のゴーレムボディに毒針を刺しても毒にはならない。


 その点、オークの力から繰り出される棍棒の一撃はコンクリートを砕くほどの威力を持つ。


 その事を分かっている01ゴーレムと02ゴーレムは、まずはオークの群れから狙いを付けて攻撃を行なった。


 そして奇襲は成功して毒を受けているオークを残して、この場のオークは居なくなる。


 それからの戦いは消化戦だった。毒に侵されているオークを倒すと、攻撃して来る蜂の魔物を下級金属の棒型武装で殴り殺して戦闘は終了した。


 戦闘が終わると倒した魔物が変わった砂の山から魔物石とドロップアイテムの回収をしていく。


 「オークから肉が出たのか。食べられるのか?これ……それと蜂の魔物から甲殻か。素材生成に登録出来そうなアイテムがドロップしたな。」


 オークからは肉が1つ、蜂の魔物からは甲殻が1つ手に入ると、リュックに仕舞って01ゴーレムと02ゴーレムはホームセンターへと向かって行く。


 因みにオークからドロップした肉は透明なラップの様な物に包まれている。


 ホームセンターへと近付けば近付くほどに遭遇する魔物の種類がオークから蜂の魔物に変わっていく。


 そうすると戦闘時間が短くなりホームセンターまでの道のりを進むスピードは上がって行った。


 「うわっ、嫌なところを見ちゃったな。」


 01ゴーレムと02ゴーレムが進んでいる道中殺された人間を肉団子にしている蜂の魔物を発見する。


 それも数多くの蜂の魔物に倒されたのか、死んでいる10人の人間に対して、1人に2匹の蜂の魔物がくっ付いて肉団子にしていた。


 「まだこっちに気が付いていないな。20匹か……01、02、あの群れを倒せそうか?倒せるのなら倒してくれ。」


 20匹は流石にキツイだろうと思ったが、01ゴーレムと02ゴーレムは戦う事を選んだ。


 01ゴーレムと02ゴーレムは予備の棒型武装を握って蜂の魔物へと棒型武装を投擲した。


 クルクルと回転しながら投擲された棒型武装は一撃で蜂の魔物の甲殻を貫いて倒す。


 これで2匹減り、残りは18匹になった。だが、これで01ゴーレムと02ゴーレムに気が付いた蜂の魔物が飛び立とうとする。


 そして飛び立った蜂の魔物と01ゴーレムと02ゴーレムとの戦闘が始まった。


 「流石に数が多いみたいだな。攻め切れてない。」


 数匹同時攻撃、それも続けて何度も行なって来る蜂の魔物の群れに01ゴーレムと02ゴーレムは苦戦していた。


 今のところは蜂の魔物からの攻撃を、01ゴーレムと02ゴーレムはギリギリで躱し防いでいる。


 それを5分10分と時間が経つと、01ゴーレムと02ゴーレムは蜂の魔物の群れが行なう攻撃を学習ひて対処し始めた。


 そして、戦闘開始から20分経ち、この場には無傷で立つ01ゴーレムと02ゴーレムと大量の砂の山、それに人の亡骸だけが残っていた。


 「これだけ倒せば他にも出るとは思っていたけど、毒針だけじゃなくて、翅も落とすなんてな。」


 早速回収して貰い、リュックにかなりの量が溜まった為、人目のつかない場所に移動して貰う。


 ここなら何処の角度でも死角になる場所に移動して貰うと、次元空間の出入り口を作ってリュックの中身を回収する。


 リュックの中身だけを回収した俺は、リュックを返して次元空間の出入り口を閉じて、回収したアイテムの中から素材生成の登録が出来るのかを確認した。


 「全部登録可能だったな。良かった。」


 登録出来た事に安堵する。いずれ、これで作る事が出来る物が増えるだろう。


素材

|— 下級肉(オーク)

|— 下級甲殻(蜂)

|— 下級毒(毒針)

|— 下級羽(虫の翅)


 素材登録が終わると魔物石を消費して下級金属の生成を行なった。これで今のポイントを使えば下級金属のゴーレムボディが1つは作れるだろう。


 素材登録と素材生成を終わると、01ゴーレムと02ゴーレムの様子を確認した。


 「ホームセンターが見えて来た。あともう少しだな。出入り口を増やしておくか。ホームセンターには何度か来るだろうし。」


 次元空間の出入り口を5つに増やした。これで出入り口の登録の1つはホームセンターに固定する事も出来る。


 そうして俺の方の準備が終える頃に、01ゴーレムと02ゴーレムはホームセンターの入り口を通った。


 「ホームセンターに籠城している人は居るのか?ゾンビ映画とかで籠城しているイメージがあるけど。」


 自動ドアを通った先では人は俯瞰視点では見つけられない。だが、その代わり蜂の魔物が入り込んでいた。


 何処から入って来たのか分からないが、入り込んでいた蜂の魔物との戦闘が始まる。


 「障害物は飛行する魔物に取っても邪魔になってるな。よし!そのまま行け!」


 毒針を向けて飛んで来る蜂の魔物を02ゴーレムが殴り殺していた。続け様にもう一匹も棒型武装で叩き付けて殺す。


 襲って来た蜂の魔物を倒し終わると、探索に戻る。ホームセンター内はかなりの広さで全ての魔物を倒し終わるまでに1時間も掛かってしまった。


 その探索の中で発見した物は幾つかある。


 まず、このホームセンターには生きている人は居ない事。ホームセンターの周りに蜂の魔物が多かったから物資がかなりの数が残っていた事だ。


 でも、問題が1つ出て来た。それはペットコーナーで展示されていた犬と猫だ。


 この犬と猫を01ゴーレムと02ゴーレムは気に入った様で、展示されている犬と猫をジッと凝視するかの様に見つめていた。


 何がそこまで気になったのかは分からないが、学習して好きに見られる様になっているから動画を見ている内に犬や猫の可愛い動画でも見たのだろうと思う。

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