第13話
「ペットなんて飼えないぞ。そんな余裕はないんだから。ほら、物資を集めに向かってくれ。」
そう言うと犬や猫を凝視するのを止めて、しょんぼりとしたジェスチャーをする。そして犬と猫を見るとチラチラと見始めて動かない。
「誰が世話をするんだ。お前たちにはやって貰わないといけない事が山ほどあるんだぞ。」
そう言っても動かない01ゴーレムと02ゴーレムをどうしたものかと悩んでしまう。
これからも01ゴーレムと02ゴーレムには先ほど言った様に頑張って貰う。でも、俺からのご褒美と言えるものを01ゴーレムと02ゴーレムには上げられていない。
流石に祝福として与えられた力で作り出されたゴーレムが反乱を起こすとは思えないが、それでも不満は溜まるだろう。
そう言った不満の解消にペットを飼うのは良いのかも知れない。それだから、悩んでしまうが、ペットの餌やトイレ事情に病気なども考えると気軽に飼うのを認める事も難しい。
「はぁ、仕方ないな。お前たちで面倒を見るなら、それなら良いぞ。」
悩んだ結果、犬や猫を飼う事を了承すると、01ゴーレムと02ゴーレムはお互いにハイタッチをしながら喜びのジェスチャーを行なっていた。
「その代わり空間の1つをペット専用に使うから沢山ポイントを稼ぐんだぞ。ペット用品に使う為に空間だって大きくしないといけないんだからな。」
そう言うと01ゴーレムと02ゴーレムも何度も頷いていた。これならこれからも一杯頑張ってくれるだろう。
そして改めてペットショップで展示されている犬や猫を見ると、黒い光の柱が発生してから三日目の今日まで餌や水を貰えていないからか元気がなかった。
「餌や水を上げないと駄目そうだな。でも、連れ運ぶのは元気がないから楽そうだ。01、02。まずはペット用品から集めて行くぞ。」
犬と猫を飼う為に01ゴーレムと02ゴーレムは動き出して行く。ペットコーナーのすぐ側に次元空間のゲートを開くと、荷物を仕舞う様の空間2へとペットを飼う為の道具や餌などの物を運んで貰う。
特に餌やおやつ、ペットトイレなどの消耗品は多くかき集めさせると、空間2から新しく作った空間3と犬猫用のゲージを運ばせる。何故ならしばらくの間はゲージで暮らして貰う為だ。
ちなみにペットがこれから暮らすのは縦に3メートル、横に10メートルら奥行き20メートルの犬と猫を分ける壁がある2部屋の空間だ。
01ゴーレムと02ゴーレムが犬用のゲージを8つ、猫用のゲージを9つ作り、餌や水にトイレなどの準備を終えると、いよいよ犬や猫を運ぶ作業になるのだった。
そうして弱っている犬や猫を1匹ずつペットを持ち運びするカバンに01ゴーレムと02ゴーレムは入れていく。
「怯えてるな。弱ってる上に犬や猫に取ってゴーレムなんて未知のものだもんな。落ち込んでないで動かないと、それにその内飼っていれば慣れるよ。」
怯えられて落ち込んでいる01ゴーレムと02ゴーレムに声を掛けて、犬を01ゴーレムがカバンに入れて運び、02ゴーレムが猫をカバンに入れて次元空間の空間3へと運んで行く。
そうしてゲージ内へと犬や猫を入れると、ようやく一段落だ。俺も空間3へと向かってこれから飼う犬や猫を見るが、どの犬や猫も怯えて弱っているが死にそうにはない。
そして、俺の脳裏にある事が過ぎる。犬や猫を昨日手に入れた下級回復ポーションの実験に使うのはどうかと。
我ながら最低な事を思い浮かんだと思うが、あれをぶっつけ本番で使う方が怖い。だが、実験をするのは01ゴーレムと02ゴーレムに聞いてからの方が良いだろう。
「ちょっとした実験なんだが、コイツらに昨日手に入れた下級回復ポーションを使ってみないか?効果があるなら少しは元気になると思うぞ。」
01ゴーレムと02ゴーレムは悩み始める。鑑定用紙の効果で分かった下級回復ポーションの事を知っているが、俺と同じ様に効果が本物なのかは分からないからだ。
それからしばらく悩んだ結果、01ゴーレムと02ゴーレムの使用の賛成を受けて下級回復ポーションを使う事になった。
そして早速一番弱っている子猫を抱き上げると、取って来た下級回復ポーションを口を開けて少しずつ飲ませていく。
すると、すぐに下級回復ポーションの効果が現れたのか、弱っていた子猫が抵抗して噛み付いて来た。
「いっ!」
それでも子猫の為か、噛まれても騒ぐほどの力はない。まだ残っている下級回復ポーションの瓶を01ゴーレムに渡すと、俺は子猫をゲージへと戻す。
「効果はあるみたいだな。使うのはほんの少しでも多少の効果はある様だから使ってくれ。」
分かったと頷いたのを確認した俺は空間3から移動して生活空間として使っている空間1に戻る。
01ゴーレムと02ゴーレムがペットの世話をしている間に、俺はゴーレムマスターと次元空間のポイントを確認した。
「次元空間のポイントはこれで空だな。下級金属でゴーレムボディを作るよりも今は使えるゴーレムを作った方が良さそうだな。」
今のポイントを確認してコアを2つと木材だが2つのゴーレムボディが作れる事を確認した俺は、早速03コア、04コアと新しいコアの為の木材製ゴーレムボディを製造した。
新しく製造したコアは両方共、自動で動ける様にし、学習効率のレベルを2レベルに上げてゴーレムマスターのポイントは使い切った。
「これで使える人材?は2倍に増えたな。01と02には03と04の教育を任せよう。」
01ゴーレムと02ゴーレムの様子を見ると、ペット全てに下級回復ポーションを使い切って怯えているペットを離れた所から眺めている様だった。
そんな二機の近くに空間1に繋がる出入り口を作り出して、こっちに呼んだ。
「初めての場所だし、ペットたちはしばらくそっとして置いてやれ。その間、01、02には新しく建造した03、04の面倒を見てもらう。今後はやる事も増えるからしっかり頼むぞ。」
2機が了承したと頷くと、俺は03ゴーレムと04ゴーレムを取り出した。
取り出した03ゴーレムと04ゴーレムに自己紹介をすると、01ゴーレムと02ゴーレムを紹介して早速4機でホームセンターの物資を集める仕事を行なって貰う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます