第10話
目を覚ました俺はここが次元空間の中だと思い出すと、朝の身支度を済ませて朝食を食べる。
「今日はスーパーの物資を集めて、出来れば魔物が現れる黒い光の柱の場所まで向かいたいな。」
朝食を食べながら今日の予定を考えていると、そう言えば次元空間の中で眠ったから、空間内で過ごしてポイントが増えているんじゃないかと確かめる。
「次元空間だけじゃなくてゴーレムマスターの方もポイントが貯まってる!」
次元空間の方は俺が空間内で過ごしているからだ。だから、ゴーレムマスターは01、02のゴーレムが自動で動いているからポイントが入ったのだろう。
一応、01と02だけで探索して魔物を倒してポイントを得ていたのかの確認は後でしておこう。
「じゃあこのポイントを使って空間の拡張をするか。ゴーレムマスターの方は01と02の操作能力のレベルを1つ上げるかな。」
ゴーレムマスターと次元空間の祝福を操作して、空間1の空間を拡張し、01コアと02コアの操作能力のレベルを2にする。
朝食を食べ終えると、次元空間出入り口の安全を確認すると、01ゴーレムと02ゴーレムの二機は二機揃って動画をタブレットで眺めていた。
「向こうは安全だな。一応そっちに行く事を伝えるか。」
01ゴーレムと02ゴーレムに向かう事を伝えると、俺は次元空間の出入り口を開いて自宅の部屋へと足を踏み入れる。
「おはよう。操作能力のレベルを上げた事気が付いた?」
頷いた為、操作能力のレベルを上げた事に気が付いていた様だ。それから俺は01ゴーレムと02ゴーレムに手伝って貰い、自宅の家電を次元空間に運んで使える様に設置していく。
「ありがとう。これでこっちで暮らせるよ。それじゃあスーパーの次元空間の出入り口を開けるぞ。頑張ってくれ。」
昨日、スーパーのトイレに次元空間の出入り口の登録をしていた場所に魔物が居ないかを確認してから開いた。
01ゴーレムと02ゴーレムが出入り口を通り抜けると、俺は開いた次元空間の出入り口を閉じて、3つ目の01コアに登録した出入り口から俯瞰視点で01ゴーレムと02ゴーレムの動向を見守っていく。
昨日全て倒したはずだが、スーパー内に犬の魔物が入り込んでいた。
「二匹か。02だけで倒してみてくれ。」
02ゴーレムだけで犬の魔物二匹を倒す様に指示を出すと、早速02ゴーレムが前に出た。
操作能力のレベルを上げたから、昨日の01ゴーレムよりも良い動きで一匹の犬の魔物を打ちのめすと、その後すぐに棒型武装を振るって犬の魔物を倒した。
「よくやったぞ。」
1つレベルが上がるだけでこうも変わるかと思う。これならコアだけじゃなくゴーレムボディの方もレベルを上げればより強くなるだろうか?
そうこうしている内にスーパー内の魔物を全て倒し終わった01ゴーレムと02ゴーレムに物資の確保を命じた。
それから2時間の間、スーパー内の物資を集める事に成功した俺は、今日の目標の内二番目の目標である黒い光の柱へと01ゴーレムと02ゴーレムを向かわせる。
「犬の魔物の数が昨日よりも増えてるな。今の所は大丈夫だけど、これ以上連続で戦闘があると棒型武装の方が持たないぞ。」
二機居るお陰で遭遇回数が多くなった犬の魔物の群れとも戦えているが、それだけ棒型武装の消耗が激しくなる。
途中で何度も次元空間に帰還して棒型武装の交換を行ない、その都度犬の魔物を倒した際に手に入れた戦利品を回収してかなりの数の魔物石や牙や皮を手に入れられた。
牙や皮も魔物石と同じで素材生成をする際のポイント代わりに使える為、順調に素材を集められている。
そのお陰で木材製だが棒型武装は30本も製造しており、これで修復もしながら交代交代に使用して今の所は武装不足は起こっていない。
黒い光の柱に近付くほどに遭遇回数や群れに居る犬の魔物の数も増えて戦闘時間が長引いてしまう。
そうしてようやく俺が昼食を食べている時に黒い光の柱の近くまで01ゴーレムと02ゴーレムはたどり着いた。
「ふぅ、ようやくだな。」
黒い光の柱の周りに犬の魔物が居ない事を俯瞰視点で確認すると、俺は01ゴーレムと02ゴーレムに黒い光の柱の中に入る様に指示を出した。
そうして01ゴーレムと02ゴーレムが黒い光の柱の中に入ると、黒い光の柱の中は外見からは分からなかったが草原だった。
「まさか中がこんな風になってるなんてな。01と02が進入した事に気が付いたのか?」
視界を遮る物がない草原だった為、01ゴーレムと02ゴーレムへと真っ直ぐに向かって来る犬の魔物の群れの姿が俯瞰視点で見て取れる。
「柱から出て来ている犬の魔物と姿は変わってないみたいだな。でも、こっちの方が動きが速いか?」
向かって来る数は5匹。これくらいなら今の01ゴーレムと02ゴーレムの相手にはならない敵だ。
そう思って戦闘を眺めていると、やはり先ほど速いと思った通りに犬の魔物たちの動きが違っていた。
「ここが魔物の本拠地だから強いのか。それとも外に出たから弱体化しているのか、どっち何だろうな。」
犬の魔物が強くなっていても、01ゴーレムと02ゴーレムは動きを学習して対処し始める。
こうなると後は一方的な戦いで01ゴーレムと02ゴーレムの二機の勝利で終わった。
「ポイントはどれくらい手に入ったんだ?」
確認すると、外で5匹の犬の魔物と戦った時よりも貰えたポイントが多かった。
「増えているのは1.5倍くらいかな?」
黒い光の柱の中の方が魔物は強いけど、手に入るポイントが多いから、戦わせるならどちらの方が良いのか悩んでしまう。
「まあ、今日は黒い光の柱の探索をさせるか。」
そうして俺は草原を探索する01ゴーレムと02ゴーレムを眺めながら過ごして行く。
それから数回目の犬の魔物の群れを倒した時にそれは現れた。
「これは、宝箱?ゲームみたいだな。何でこんな物が出て来たんだ?まあとにかく開けさせるか。01、あの箱を開けてくれ。もしかしたら罠が仕掛けられているかも知れないから気を付けろよ。」
01ゴーレムに宝箱を開ける様に指示を出すと、01ゴーレムは慎重に宝箱の蓋を開いた。
そこに入っていたのは薄い緑色の液体が入った瓶が一本、何も書かれていない羊皮紙が3枚、そして鞘に入った短剣が1つ入っているのだった。
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