第9話
夕暮れで視界が悪い中でも01ドール型ゴーレムは問題なく行動できる様だ。
だが、犬に酷似しているあの魔物も犬と同じで夜行性の可能性が高い。それを考えると、夜の暗さでも視界が効く01ドール型ゴーレムが犬の魔物と戦っても、それほど有利でも不利でもないと思う。
「魔物の発生が朝だったのが良かったな。スーパーに買い物客が多い時間だったらもっと被害が大きかっただろ。」
スーパーに向かわせた01ドール型ゴーレムの俯瞰視点では大量の血痕がある場所がいくつもある。
犬の魔物を倒して進み、スーパーの中に01ドール型ゴーレムが入る。
開店して電気はそのままなスーパーの中は明るい。そんな中を01ドール型ゴーレムが探索していると、犬の魔物が商品棚の並ぶ通路から出て来た。
「周りの事も考えて戦うんだ。流石に商品棚から大量の商品が落ちれば集まって来ると思うぞ!」
戦い方を狭めるのは不味いとは思うが、対処できない数に攻められる方が不味いと思い、俺は01ドール型ゴーレムに指示を出す。
だが、戦闘は思ったよりも簡単に終わった。通路の幅が犬の魔物三匹が通れる程度の広さだった為、囲まれて襲われなかったからだ。
これが挟み撃ちにされたなら苦戦していた可能性が高い為、なるべく通路を移動する時は気を付ける様に指示を出した。
それからのスーパー内の探索では01ドール型ゴーレムに指示を出す事はなく、スーパー内の犬の魔物は全て倒し終わった。
スーパーの探索中に人が居るのかを探したが、何処かに隠れている様子は無く、それなりの数の血痕もあった為、逃げたのか、それとも捕食されたのだろうと思う。
それから01ドール型ゴーレムしか居ない無人のスーパーの中で、保存が効く食べ物や飲み物を大量に回収する事が出来た。
次元空間の空間1の空間は寝る場所以外は荷物のみに変わるほど集めると、01ドール型ゴーレムを次元空間の出入り口を開いて帰還させる。
「今日はよく頑張ったぞ。明日も頼むな。」
頷く01ドール型ゴーレムを褒めて撫でる。01ドール型ゴーレムは次の指示はまだなのかとジェスチャーをして来た。
「今日は特にないけど、何かしたい事はあるか?」
すると、01ドール型ゴーレムはテーブルに置かれていたタブレットを指差して動画を見たいと言うジェスチャーをする。
「動画が見たいのか?」
01ドール型ゴーレムは頷いた。それなら構わないかと了承すると、嬉しいと言うジェスチャーを行なった。
動画を見るには次元空間の中ではインターネットに接続出来ない。だから、01ドール型ゴーレムを自宅の部屋に登録している出入り口から外に出す。
それから01ドール型ゴーレムはタブレットを操作して動画を見始めたのを俯瞰視点で確認すると、夕食を食べながらポイントの操作を行なっていく。
今回の探索で01ドール型ゴーレムが活躍していたから手に入ったポイントは、ゴーレムマスターだけかと思いきや、次元空間にも同じくらいの量のポイントが手に入っている。
そのポイントを使って空間1の空間を拡張すると、次に次元空間内で電気・水道・ガス使用可能をポイントを消費して使える様にする。
それでもまだポイントが残っているので、空間1に台所を設置し、洗面所を設置し、浴室を設置し、トイレを設置してポイントをかなり消費する。
音もなく空間が拡張し、トイレや洗面所がある部屋が現れる。
「これで食料があれば次元空間で過ごす事が出来る様になったな。それに明日はもっと物資を集められそうだ。」
あとはまだ自宅にある家電を次元空間に持って来て設置すれば、今まで家で過ごした様に次元空間で過ごせる。
そして余ったポイントで次元空間の出入り口をもう一つ追加した。
次にゴーレムマスターの方のポイントを消費していく。
こちらもポイントはかなり集まっている為、新しくコア建造で02コアを建造すると、この02コアは01コアと同じ性能になる様に学習効率をレベル3まで上昇させた。
次に02コアが使用するゴーレムボディの製造を行なう。下級牙と下級皮ではゴーレムボディの素材に使えない。だから、ゴーレムボディは01コアのゴーレムボディと同じ木材で作り上げた。
二機目のゴーレムを作り上げた事で武装の使い回す棒型(木材・小)×5では足りない恐れがあるのでもう5つ製造を行なった。
それで作り上げだ02ドール型ゴーレムのスペックがこれだ。
02ドール型ゴーレム
|— 操作(自動操作オン・オフ)
|— 操作能力レベル1
|— 最大出力レベル1
|— 学習効率レベル3
ドール型(小、木材)
|— 能力(力)レベル1
|— 能力(耐久)レベル1
|— 能力(速さ)レベル1
|— 能力(器用)レベル1
装備
棒型(木材・小)
01ドール型ゴーレムと同じスペックをしている為、キチンと学習すれば同じくらい強くなるだろう。
召喚する前に01ドール型ゴーレムを次元空間へと呼び戻す。
「01ゴーレムの後輩になる02ゴーレムをこれから呼び出す。01ゴーレムが学習した事を02ゴーレムに教えて上げてくれ。出来るか?」
問題ないと01ドール型ゴーレムは頷いた。それなら安心だと、02ドール型ゴーレムを俺は呼び出した。
01ドール型ゴーレムと同じ姿の02ドール型ゴーレムが俺の前に現れる。
これだと他の人には、どっちがどっちなのか姿を見ただけでは分からなくなりそうだ。幸い、俺にはゴーレムマスターがあるからか見分けが付く。
これが見分けが付かないと、今後大変な事が起こっていた可能性もあっただろう。
「02ゴーレム。これから01ゴーレムが色々と教えてくれるから、01ゴーレムから沢山学習してくれ。」
01ドール型ゴーレムが02ドール型ゴーレムに触れると、二機とも動きを止めた。それから少しして動き出すと、02ドール型ゴーレムが俺の方を向いて頷いた。
「もしかしてコア同士で情報交換したのか?」
俺がそう聞くと、二機のゴーレムはそうだと言わんばかりに頷いた。
それを見て、こうやって気付かないと分からない隠された機能があるのかと驚いてしまう。
そうやって情報交換を行なえば、経験をしていない分だけ弱いかも知れないけど、戦えるゴーレムを増やす事が出来そうだ。
二機のゴーレムが次元空間の外に出るのを見送ると、俺は拡張された空間の荷物を整理してから、この日は眠りに付くのだった。
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