第8話

 作り出された次元空間の出入り口を通って空間1の空間に01ドール型ゴーレムが現れる。


 「これまでの探索良くやったぞ!」


 01ドール型ゴーレムの頭を褒めて撫でる。すると、01ドール型ゴーレムは嬉しいと言う仕草をする。


 それから俺は01ドール型ゴーレムから魔物石と犬の魔物の牙を受け取った。


 「これがあの犬の牙か……結構鋭いな。」


 色々な角度を付けながら眺めると、これは素材登録が出来るのかを確認する。


 「おお!これは素材登録できるのか!」


 素材登録が可能な事に嬉しくなる。俺が喜んでいるのが分かるのか、01ドール型ゴーレムの仕草も喜びのジェスチャーだ。


 早速素材登録を行なうと、俺は手元の魔物石を使って木材と下級牙を生成を行なう。


 「下級牙の素材だと棒型武装の建造は出来ないな。予備の棒型武装は作って置くか。」


 新しく棒型武装の建造を行なうと、建造されたばかりの棒型武装を01ドール型ゴーレムに渡した。


 「それは予備に使ってくれ。」


 すると、渡された01ドール型ゴーレムは今まで使っていた棒型武装を俺へと渡して来た。


 「ん?これがどうしたんだ?」


 何故、俺に棒型武装を渡したのか疑問に思っていると、01ドール型ゴーレムは棒型武装のある場所に指を指す。


 そこにはヒビが入っていた。今日、01ドール型ゴーレムが戦ったのは犬の魔物2回と不良の集団1回の3回だけだ。


 たった3回の戦闘で駄目になるのかと思ってしまう。使った素材が問題だとすると、01ドール型ゴーレムがもし攻撃を受ければ大変な事になりそうな予感がする。


 「これは修復するよ。すぐに済ませるからリュックの荷物を何処かに置いてくれ。」


 頷くのを確認すると、俺は耐久度の落ちた棒型武装の修復を素材木材を消費して修復していく。


 「修復に1時間も掛かるのか。01ゴーレムはまだ探索は可能なのか?」


 01ドール型ゴーレムは頷いた。それを見た俺は01ドール型ゴーレムに探索を行なう様に指示を出す。


 先ほど01ドール型ゴーレムが出入りした次元空間の出入り口の周りを確認してから、俺は次元空間の出入り口を開いた。


 01ドール型ゴーレムが次元空間の出入り口を使って空間1の空間から外に出ると、次の目的地であるスーパーへと向かって貰う。


 このスーパーの近くには魔物が現れる黒い光の柱がある為、かなり危険だろうが、その分だけ大量の物資があると思う。


 そうして01ドール型ゴーレムを向かわせると、早速犬の魔物と遭遇する。


 数は二匹だった為、三匹の犬の魔物との戦闘を行なった01ドール型ゴーレムに取っては楽な戦闘だった。


 それほど時間を掛けずに倒した01ドール型ゴーレムは先を進む。


 それからも二匹、三匹の犬の群れと遭遇する度に01ドール型ゴーレムは倒して行き、俯瞰視点に映る黒い光の柱の姿が段々と大きくなって来る頃には四匹の犬の魔物たちと戦う事になる。


 数が増えるほど連携が上手くなる犬の魔物。そんな犬の魔物の連携を回避し続ける01ドール型ゴーレム。


 これは体力と言える物がない01ドール型ゴーレムとは逆に、体力に限界がある生き物としての差が勝敗を分かる戦いだった。


 疲れて連携が乱れたタイミングで01ドール型ゴーレムが動き出し、犬の魔物にダメージを与えて行き、そのダメージから庇い出した犬の魔物を01ドール型ゴーレムは一匹ずつ確実に倒していく。


 こうして初めての四匹の犬の魔物との戦いは終わり、俺の指示を受けて人目の付かない場所に移動した01ドール型ゴーレムは次元空間の出入り口の中に入って行った。


 次元空間の中に戻った01ドール型ゴーレムを褒めると、今回の探索の成果を渡される。


 「今回は牙以外にも手に入ったからな。これでまた新しい素材が登録出来れば良いんだけど。」


 今回の戦果は魔物石15個、犬の魔物の牙2個、犬の魔物の皮2個。


 その内の犬の魔物の皮は初めての素材。それを早速登録出来るのかを確かめると、登録する事が出来た。


 新しく登録出来た素材は下級皮だ。これで増えた事を喜んでいると、01ドール型ゴーレムが裾を摘んで俺の注意を引く。


 「どうした?」


 意識を01ドール型ゴーレムに向けると、01ドール型ゴーレムは棒型武装を見せて来た。


 棒型武装は流石にこれまでの連戦で耐久度が落ちたのか、棒型武装に大きなヒビが入っていた。


 「これは修復だな。それまでこれを使ってくれ。」


 俺は修復を終えた最初の棒型武装を渡した。渡された01ドール型ゴーレムは修復された棒型武装を眺め素振りして頷く。


 その仕草を見て修復がキチンとされているのを理解したのだろう。


 「今まで一度も攻撃を受けていないけど、身体を動かすのに支障はあったりするのか?」


 ぎこちない動きだけど、かなり洗練された様な動きを行なっている為、何処かガタが来ている部分があっても可笑しくはない。


 だから聞いてみたのだが、本人的には問題がないのか、問題ないと言うジェスチャーを行なっていた。


 そして、今日三度目の探索に01ドール型ゴーレムを向かわせる。


 探索に向かわせてすぐに01ドール型ゴーレムは犬の魔物と遭遇する。


 「三匹だな。本当に遭遇する回数が多くなって来たし、近付いている黒い光の柱から現れる魔物は犬の魔物なんだろうな。」


 近付いて来ている黒い光の柱の事を考えていると、01ドール型ゴーレムはもう一匹犬の魔物を倒していた。


 流石に01ドール型ゴーレムも犬の魔物の行動パターンを学習したのだろう。三匹以下ならそれほど時間が掛からない様だ。


 「倒すのも余裕だな。これからを考えると、やっぱり問題は武装の強度だな。探索2回目は壊れなかったけど、連戦したとして10匹と戦ったら修復の為に戻した方が良いか?」


 どうするかを悩んでいる間に最後の犬の魔物を倒し終わった01ドール型ゴーレムが魔物石の回収をしている場面だった。


 「本当に早く倒せる様になったんだな。」


 01ドール型ゴーレムに感心する。そして探索を再開した01ドール型ゴーレムが進む姿を眺め、俺は炭酸飲料とポテチを食べながら、映画を見る様に観戦していた。


 それからも犬の魔物と01ドール型ゴーレムとの戦闘を眺めて過ごしながら、合計で五つの木材製の棒型武装を修復をしやがら使い回して01ドール型ゴーレムは目標のスーパーに夕方頃にたどり着いた。

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