第5話

男のさらなる恋愛会話力の向上および恋愛技術全般の向上のために恋愛アドバイザーによる特訓が続いた。

特訓と言っても美人の恋愛アドバイザーが手取り足取り教えてくれるわけだから、やりがいを感じないわけにはいかなかった。

きのうよりも今日、今日よりもあすと男の恋愛力は確実に伸びていった。

そして、別れた彼女に初めて電話をした日から約一ヶ月が経過した。

「 あれから数段、会話力は上達したはずだわ。彼女にまた電話してみたら? 今度は会うところまでいけるかもしれないわ。」

「 そうだね。僕もそんな気がするよ。」

男は適当な時間を見計らって、別れた女に電話した。

今回もスピーカー機能をONにして、恋愛アドバイザーの女にも会話の一部始終が聞けるようになっていた。

会話はかなり盛り上がったようだった。

しかし、電話をかけて一時間くらい経った頃、別れた女は遂に男に告げなければならないことを言った。

それは既に別れた女には男がいるということだった。

ある程度予想していたとはいえ、実際にそれを聞かされて男は驚いた。

しかし、側にいた恋愛アドバイザーは驚いたことに驚いていなかった。

ところで、男がかつての男だったら、そのような事実を聞かされると泣き言を言うしかなかっただろう。

しかし、今の男は恋愛会話力を磨きに磨いているから、一瞬驚きはしたもののすぐに頭を切り替えて再び会話を盛り上げていった。

しかし、その努力も空しく、別れた女と再び会う約束をすることはできなかった。

男が電話を終えた後、恋愛アドバイザーの女は「 この試練は乗り越えるべき試練なのよ。負けないで!」と大きな期待を男に寄せて言った。





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