第6話

「オマエが小説家になれるんだったら、

毛虫が総理大臣になれるぜ」

「ずいぶんひどいこというのね」

カネジの目にうっすらと涙が浮かんできた。

「だいたい、オマエ小説なんか書いた

ことあんのかよ」

「ない。だから、これから書こうと

思ってる」

カネジがそういうと、三郎がまた

大笑いした。

「話にならねぇな」

三郎が手を振った。

「なっ、そんな夢物語からは卒業して

オレの胸に飛び込んで来い。悪いようには

しねぇから」

「人殺し―っ、人殺し―っ」

突然、カネジが大声で叫び始めた。

「オイオイ、よせよ」

三郎が慌てふためいて部屋から出て行った。

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