歪な白船

周りが赤黒い霧につつまれ白船が出てきた。

「ここで新人を潰せば僕らの驚異にならないんじゃないかな。」

「名案ですね、そうしましょうか。」

そう聞こえたかなり微かな声だった。その声の主だと思われるじいさんと若い二十代前半位の男がでてきた。

「やあこれはこれはお久しぶりですね。」

「ここになんのようだ。結界術も使っていたはずだぞ。」

「新人を潰しに来ました。力の差ってのを見せとかないととりあえずそこのお前のだ。」

そうして未雷は指を刺された。

「とりあえずこいつだ。あまり強くないだろう。」

「それはどうかな。」

「じゃあじいや審判してこの砂浜でいいよね。拒否権無いけどね。」

「それでは準備出来ましたか。始め。」 

訳も分からないまま試合が始まった。

「引伸ばせ、空を引き裂く時なれ」

「なんだその詠唱は聞いたことないぞ。」

そう言い終わった時には既に加速していた。

なるほど時間系のアクトをか。

「押縮めろ、空を繋げる時となれ」

今度は未雷が遅くなる。結果的には変わらない力だが、それが同時に発動することで圧倒的な速度に達していた。

「氷織あれをだせ。」

「わかった。あれだね。」

そうして氷織は塩化水素の入った氷を溶かした。相手は大ダメージを受けたがしかし、

「切取れ、名もない空と欠きつなげ」

今度は空間か、空間アクトで場所ごと切り取られ結果的にはダメージを与えるだけにとどまった。

「アクト強制臨時接続」

そういうと未雷からアクトを発動するための魔力のようなものを取ろうとしたら。

「こいつアクトがない。」 

どういう事だ。

「それはない。さんざんこいつはアクトを使っていた。」

「そうだ。アクトがなければどう説明するんだ。」

それは未雷も知らなかった。

「いまだ、輝け、物質同士を繋ぐ綾となれ」

電撃が走る。勝ったと思われる。

「今日はとても興味深い秘密が見つかったのでこの変にしましょうか。それてはごきげんよう。」

そういうと白船は赤黒い雲と共に消えていった。

「みんな申し訳ない。あれが敵だ俺たちの敵となる裁くべき人間だ俺達を実験に使っている。」

そうして今年の選別試験が終わった。

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