第2章 スローライフってなんだっけ?

第11話

 日が上がったのか、目の前が眩しい。身体を起こそうと腰に力を入れるも、上半身が全く動かない。目を開けると、俺の腹の上には寝間着姿のアイリがすぅすぅっと小さな寝息を立てていた。起こさないようにアイリから離れることに成功した。


「ねむ………いつの間にベッドに行ったんだ?」


 疑問に感じながら着替え始めるもいつの間にか着替え終わっていた。部屋から出ると廊下は真っ暗だった。まだ夜中なのかと思いリビングの方へと向かうも誰もいない。アリサぐらいいてもいいと思ったが………。


「誰もいないのか?」


 寝る前にどこかの部屋で大騒ぎしていた記憶がある。だがその部屋がどこだったのかわからず、片っ端から開けることにしたが、一番最初でそれは当たった。


「むにゃむにゃ………」

「へへ………おまえさんそこは………」

「みこさまぁ~」


 なんだこの泥酔どもは、数十人はこの部屋でぐったりしている中で一人だけ窓の外をじっと見つめながらお酒を飲んでいる人がいた。


「アリサ………」

「起きたんだ」

「まぁうん」


 ふ~んっと言って木のコップに入ったワインを飲むアリサ、彼女の顔は全く赤くなっておらず、その場で酔っている行動などを全くしない。


「あの洞窟さ俺達が貰ってもいいか?」

「ん? 私はいいけどイアちゃんに確認したの?」

「いや、まだだ。俺がなんとなくあの辺に住みたいとアイリと話してただけだしな」

「ふ~ん。じゃあ明日にでもドワーフたちに話でもつけてくるの?」

「そんなとこだ」


 再度アリサは、再度ワインを飲むとこっちをじっと見つめてくる。何も言わずそのまま目が合うと彼女は俺に近づいてくる。彼女の前に手を出して間に壁を作ると廊下から声が聞こえてきた。


「ふぁ~達樹~どこ~?」


 アイリだ。部屋から顔を出して彼女を呼ぶと枕を持ったままこっちへと走ってきた。俺の元へ到着するとそのまま抱きしめてきた手がずっと震えていた。


「なんだよ………」

「離れないで………お願い………お願いだから………」

「ごめん」


 アイリの頭を撫でているとアリサがその様子を見ながらニコニコと笑っているような気がしたが、実際には酔っているのか顔が真っ赤になっていた。

 

「俺達戻るわ」

「そう」


 アリサの返事を聞いてそのまま部屋を後にする。俺達が寝ていた部屋へとつき二人で布団の中に入る。何も言わずに黙り込んでいるとあったかく細い二本の腕が俺を抱きしめてきた。


「すん………すん………」


 すすり泣く声が聞こえてくると、俺はそのままアイリを抱きしめるかのように腕を彼女の身体に回す。目が合うとそのまま俺の胸に顔を埋めてしまい、そのまま何も言わなくなってしまう。


 俺達はそのまま意識が薄れ眠ってしまった。

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