「なるほど」

 師匠はゆっくりとうなずきながらそう言った。

「師匠は彼女がやったと思う?」

 玉癸は早く師匠の意見を聞きたくて、質問した。

「それか操つやれたのか、だろうな」

 玉癸はてっきり師匠が違うと断言してくれると思っていたのでがっかりしたと同時に少し失望した。

(彼女がやったとは思えないと言っているのに!)

 師匠はそんな玉癸を見て言った。

「感情だけで考えてはいけない。君が信じられないのは分かるが、何か理由があるのかもしれない。それなら理由を考えた方がいいだろう。君はまだ幼い。丁度いい機会だ。首相にお願いして、この事件を君達に調べてもらうことにしよう。」

「俺がまだ幼いって?」

 玉癸は憤慨しながら言った。

 失態を起こしてしまったと思い、気が焦っているのだろう。玉癸は気が短くなり、敏感にすぐ怒ってしまった。

 師匠はそんな玉癸をなだめるようにして言った。

「まあ、落ち着いて。いい機会だろう?それに君もやりたかったんじゃないか?」

「別にやんなくったっていい!」

 玉癸は反抗してついついそう言った。

「本当に?」

 師匠はそれが分かっていて優しく聞いた。

 すると玉癸が負けたというかのように小さい声でやる、と言った。

「初めからそういえばいいのに。」

「しょうがないだろ!」

 玉癸も何がしょうがないかは分からなかったが、師匠のいうことを肯定するのも嫌でついそう言った。

「では、首領に連絡してくる」

 師匠はそういうと部屋を出ていった。

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華伝記 華葵 @gyokuki

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