「そいや、お前今何やってんの?」

 彼はいつもは夕方には帰ってきている玉葵ぎょくきが今日は遅く帰ってきたことを思い出して尋ねた。

「いやー。あのさ、俺、組織立ち上げようとしててさ。……お前も知ってるだろ?“ちから”を持つ人の末路。」

「あー。なるほどねー。そいや、会ったよ。旅の途中。」

「どうだった?」

「んー。まだ隠れてる。けど結構大きかったな。たぶん場所の雰囲気かんじがあってるんだと思うぜ。たまにあるやつ。」

 玉葵はなるほど、とうなずきしばらく何かを考えていた。

「そこも回収に行ったほうがいいかもな…。ところで総、お前も入る気ないか?名前を貸してくれればいい。人数が少なくてな…。まあ、たまに顔を出してくれるといいんだが。どうだ?」

 彼は空を見ながら暫く考えていた。――の頃はもう彼らは元のマンションに戻ってきていた――夜空から何かを読み取っているようだ。再び玉葵の顔を見た彼の頬は少し上気していた。

「なるほどな―――。いいぜ、俺も入る。たまに顔を出せばいいんだな。やってやるぜ。にしてもお前、いつから気づいてたんだ?」

「俺をナメんなよ、総。ところで、旅の途中にあったとかいうやつ、何処いるんだ?まず分かる範囲から人を集めていきたい。」

「んー。気を探せばいけると思うけど。ちょっと待ってろ。」

 彼は暫く目をつぶっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る