騎士達
馬の脚を270度アングルVツインのように駆けさせながら(ドコッ、ドコッ、て感じのリズム。あれ?四気筒相当か?)風にたなびく髪をまとめ、襟奥へと格納し兜をかぶりなおす所作がめたくそかっこいい。
昔バイク乗ってノリにノってた時、あまりの全能感に思わず120キロくらいで立ち上がっちゃったんだが風圧にぶわんと押されてタンデムシートに落下したっけか懐い。
内股、ヒザ、くるぶしで馬体を締め上げ重い板金鎧を装備しようとも上体を自在に動かし躍動する馬と一体に駆けてゆく。
二本の足で地面を削り飛ばし、土や岩の破片にまみれて滑りながら俺は美少女に見とれていた。
「隊長!その亜人はなんです?!立ったまま引きずられている・・・気色の悪い・・・黄色いゴブリンですか?」
野太いガチムチ系て感じの声で一騎が振り返る。
ああ、やっぱ黄色いのか俺。
別にガッカリとか侮辱にいきり立つとかそんな狭量な感情は湧かない。
何故ならこの美しい御方に繋がれているから。
つか隊長・・・美少女なのに隊長やってんのか。
残念。
隊長にいじめられる場末の騎士とかがよかったのに・・・
場末の騎士てなんやねん。建造物か。
「わからん、刃が通らぬ。故に魅了で支配下に置いた。鑑定では超大国の主権者と出ておるが・・・」
「そのような亜人の国など聞いたことがありません。それより隊長、姫殿下が・・・」
「そうか、お体の調子が・・・」
「しかしわずかな時間とはいえ馬速を上げすぎました、このまま巡行せぬことには距離が・・・」
なんかお姫様の調子が悪いらしい。
時折、馬車が微妙に進路を変える度に窓から少女の白いカオが伺える。
必死に視線を遠くへと飛ばしてる感じだ。
乗り物酔いか・・・・・
ゾリリ~と地面を削り飛ばしながら引きずられている状態からちょんと地面を蹴ってフランソワーズ様のそばへソソッと寄ってゆく。
パッと離れ手槍を向けてくるガチムチに構わず、お伺いを立てる。
「我が主よ、言上仕ります」
「許す」
「近辺に咲く紫色の花ですが、故国では酔い止めとして使われていたアロマと似た芳香があります。殿下の慰みの一助にでもなれば、と」
「花の香を吸えばよいのか?」
「私が試したものは液体を溜めた小瓶から立つ香でしたので、正確には計りかねますが恐らくは・・・」
マイロードが俺の地に伏せた目を注視しているのがわかる(走行中)。
「一億の民を持つ亜人の知か・・・マルテン、アンリと共に花を集めよ」
「ハッ」
二騎が隊を離れ、思い思いの場所で摘み、戻ってくる。
フランソワーズは両騎士から花を受け取ると、サーコートから取り出した白い・・・亜麻色かな、のハンカチに花だけをモサモサと千切り落とし、クルリと丸めて絞った。
「どうだ」
紫色にそまった布を差し出してくる。
涼やかなかぐわしさが鼻へ抜けてゆく。
「は、かなり近い香りであるかと」
はー、まんまあの香りだわ。
やるじゃん美少女マイロード。
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日本人で「超大国の主権者」なら米国人だと「世界を七度焼き尽くせる絶ウルトラスーパー超大国の主権者」になるんでしょうか
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