面接・なぜ当社を選ばれたのですか?

邦ゲのナニが嫌かって、プレイヤーを奴隷調教してくるとこなんだよ。


ハゲのまま転生させといて、「髪が欲しいの?じゃ、コレやっといてね」


て感じにマイナス状態で世界に放り出し、ひたすらフツーを夢見て努力させ続ける。


で、毛が生えたら号泣しながら運営に感謝するプレイヤーを見て開発はチョロイン共めとほくそ笑むわけだ。


「クソゲだぜまったく」


会社によっちゃそれさえも毛根・ウブ毛・細毛・中毛・本毛と五部作構成にした挙句発毛密度まで報酬を演繹し続ける悪辣さ。


洋ゲは始めっからおもろい状態でブッこんできてくれるから最高だよ。


でもキャラがブサ過ぎてシコれないんだよな~・・・ハイエルフなんて痩せたゴブリンだったし。しかしクエストのあのビミョ~に無駄な心のすれ違いを精緻に描いたすんげーどうでもいいオヤジ同士の人間模様(報酬も木の棒が一本)とか忘れられない感動を・・・


などとブツブツ文句の独り言をこぼしながら馬車を小走りで追いかけていく。



すると一騎、反転してこちらへ駆けてきた。


踏み固められた土を固く叩く音を立てながら馬を回すように俺の前につけ、馬車への視界をふさぐ。


跳ね上げられた頬面の下には、表情の分からない彫りの深いカオがあった。


「言葉はわかるか?」


お、日本語じゃないけどわかるぞ。

自動翻訳てやつか!


「はい」


「どこの者だ。何をしている」


「えっ、地球の者で・・・馬車の護衛を、その、しようかなーて・・・ハハ」


「大地とはどこだ。なぜ笑う」


地球て概念ないのか・・・球地面でも通じなそう。


「なんで、て・・・卑屈だから?」


あんたみたく彫りの深い甘いマスクで背も高い白い人種なら誇り高く生きれたんですがねえへっへっへ。


「この辺りの住人ではないのだな」


「はい」


応えるや否や、というタイミングでコッ、と俺の目に剣が音を立てた。


「へ?」


反射的に目を瞬かせると、目の前に火花が飛んだ。


「ひゃあっ!」


慌てて手で払う。


するとギャリン、て感じの金属がたわみながら跳ね返る音がした。


なんだ、攻撃か?!


ソ~~~ッ、と目を開くと、数メーター離れたとこでさっきの騎士が蹄の音を立てながらウロウロしていた。


その後ろでは、馬車が並足から一気に速度を上げたのか、土ぼこりが高く立っていた。





え?任務失敗??


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