第3話・賞金稼ぎアーズィム・ワーケット

さてさて、言葉の事は分かった!通じる分には問題ないだろう。が!自分で言語の使い分けが出来ない事が問題だ。俺がきく言葉は全部日本語に聞こえて俺が日本語で話した事は相手の分かる言語で捉えられるという事でしょ。ん~認識の難しさだ。これが後々問題にならなきゃ良いけど・・・・・。

まぁとりあえず考えないでおこう。今すぐ何か出来る事でもないしね!

今の問題はバイコさんとさっき俺が出した?魔法陣だ・・・・。自分で考えて解いてくなんて、俺令和の若者ぞ!もっと優しくしてくれよ!ゲームはやらずにYouTubeでプレイ動画観る世代だよ!

昔は皆こうしてゲームをクリアしてたのか・・・・尊敬・・・・。

「マスター、でどれにします?」

「あっとバイコさんのおすすめで」

文字は読めても中身は分からんからな。

「そうですか、じゃあ!」

注文をしてくれて届いた料理はスパイスの香りの効いた料理の数々。カレーのような物、パエリア的なご飯物、野菜たっぷりスープ。甘辛そうな赤とオレンジの綺麗な肌肉料理。

ぐぎゅるるるるるるる~~~~~~~~~~!!

腹が唸っている。

「さ、マスター存分に食べてください!」

こんなの見せられたら遠慮は出来ない!いただきまーーーーーーーーす!!!!

無心に手当たり次第に食べる!上手い!上手すぎる!!

「いやぁマスターは食べてる所も可愛いですね~」

「がはっ!!!!!!?」

「大丈夫ですか!?」

「き、急に何を!?」

「え、そのままの感想ですが?」

何を考えてるんだこの人は!?ビックリしたー。

「オイオイ~これが可愛いって~西の最強盗賊団の団長は趣味悪いな~!なぁ!!」

褐色肌の全身白い服を着た目鼻立ちが良いタレ目の割とイケメンな男が話しかけてくる。

「なんだお前・・・・・」

「お前バイコだろ?賞金首が何堂々とメシ喰ってんだよ~」

「お前・・・・賞金稼ぎか?」

賞金首!?バイコさんが!?まあ盗賊だからそうか!そうなのか!で、この偉そうなタレ目が賞金稼ぎ!・・・・・えヤバくね??

「そうよぉ・・・グランド一番の賞金稼ぎアーズィム・ワーケットだ!俺もメシ喰いてなぁ~。お前の首の賞金でメシ喰おうと思ってるんだけど~どうよ、天才の考えだろ?」

「いやいや俺の首選んでる時点でバカだろ」

ざわつく店内。にらみ合う二人。喧嘩とか不良とかヤンキーみたいのとは無縁の生活をしてきた俺でも分かるピリピリした喧嘩寸前の空気。

怖い~~~!怖い怖い怖い怖い!!

「あんたの負けだよ、バイコさんよぉ」

「何・・・・・?」

「こうするからだーーーーーー!!!」

アーズィムとかいう奴はどこからか出したナイフを俺を首元につける!!

要は人質だね、まいったなこりゃ!

「うわあああああ!!」「ナイフだーーー!!」「わーーーーー!」

他の客も慌てだす。俺達三人と距離をとる。

「!?テメェ!!」

「オイオイ~動くなよ~言う事聞けば良いんだ。そしたらこのガキは無傷で返してやるよ。俺は優しいからなぁさっきからお前に合わしてエア語で話してやってるくらいだ、優しいだろ~」

そうだったのか!全部日本語に聞こえるから気付かなかったー!っていうか首元のナイフ怖い~!ひんやり冷たくてリアル~!!

「・・・・どうすれば良い?」

「その場で自分の首を切れ!!」

「!?」

!?え~セルフ介錯――――!?

「お前の首だけでも持ってけば金は出る。全身持ってくのは面倒だからなぁ~」

「くっ・・・・・・」

「どうした、このガキ可愛いんだろ?ハハ!!俺にはどこが良いか分かんねぇけど」

ど、どうする~このままじゃバイコさんがセルフ介錯しちゃう~。さっきまで良くしてくれた分何か嫌だ~、でも俺に何が出来る!?足バイクさんに襲われた時よりガックガクよ!立ってるのがやっと!胃も痛い!

・・・・何も思いつかない。そんなもんだよな、実際。弱者な俺を許してください・・・・。

「さぁさぁ!首切りな!!」

「ッ・・・・本当に切ったらその人を無傷で離すか?」

「約束は守る。そこは絶対だ」

「分かった・・・・」

バイコさんが自分の剣を抜き首元へ添える。

え?え?え?本当に?俺なんかの為に?し、死ぬの?

「マスター、巻き込んですみませんでした・・・!」

「!!!」

バッと右手を天に手をかざす!

「あ?何やってんだ?」

「マスター?」

出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ~~~!!この前の光出ろ~~~~!!一瞬でも出て目くらましになれば良い!出ろーーーーー!!!

「え?ホントに何がしたいの?」

怪訝そうな顔をする賞金稼ぎ。そうですよね、俺もよく分かってない事しようとしてます・・・・。

「マスター俺が死ねば良いんです!動かないでください!」

「いや!そ、それは嫌なので・・・・!」

震えた声で言っちゃった。

「おーおー相思相愛かぁ良いねぇ!」

「あのーそろそろ終わりにしてくれませんか?営業妨害です」

「あ?」

俺と賞金稼ぎに半透明の薄黒い布を口元に付けた男が近づいて来た。さっきメニュー持ってきてくれた店員さんだ。

「エア語なんで僕にはよく分からないんですけど、そのお客さんに首切らせようとしてます?」

「おうよ、あいつは賞金首だからよ!」

「罪人がどうなろうと良いんですけど、店でグロやられると僕らが掃除しなきゃなんで、あと店の評判落ちます」

「賞金首店にいれたお前らの落ち度だろ」

と言った瞬間賞金稼ぎが宙を舞い床に叩きつけられる。そして俺は店員さんにお姫様抱っこされてた。

「あっが!?何!?」

「あんたは何も頼んでないでしょ。客じゃねぇのが偉そうに言ってんじゃねぇよ!!」

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