第2話

異世界。ここの世界の名はエベル。今から向かう街はグランドというらしい。

街までは3日はかからなかった。盗賊のバイコさんが途中ホントに荷物運びの業者から馬を奪ってきて、それに乗ってあっという間に街に着いたからだ。

馬を奪うバイコさんを止められなかった俺を非難してくれ。怖いって!何か尽くしてくれるけど意味分かんないし!ホント意味分かんないし!

業者の人を殺さないでというのが精一杯だった。業者の人は怪我無く、ホント馬だけ奪っただけ。だけって事もないけど・・・・・。

異世界転生・・・・こういう未知の世界に来ると自分が何も出来ない人間なんだと改めて思い知らされる・・・・。

前は本当に何もしてない人生だった。

馬に揺られながらそんな事を考える。

「街着きますよ、マスター!」

声をかけられバイコさんの後ろから前を見ると目の前には神殿の入り口のような大きな門!

見上げる程の大きさで両隣には門と同じ大きさの人を模したような石造。門は常に開かれていて誰でも入れるようだ。

門をくぐり街の中へ。石で出来た建物と奥にはビルのような高層マンションのような建物。古い物と新しい物が混在してる風景。そして人、人、人!

現代で一番近いのは・・・・エジプトとかアラビアかな。

「おおおおお~!!」

思わず声が出る。

「あれ、マスター。グランドは初めてですか?」

「あ、うん。すごい人ですね」

「これでも人口は5大都市でも一番下ですよ。力関係はまぁ使いようって感じですね」

5大都市!他にもこれ以上があるの!?

「とりあえずどうします?メシでも行きますか?」

「そうですね。でもお金ないッス・・・」

「何言ってんですか!マスターに払わせる訳ないでしょ!俺が出しますよ!」

「そ、そんな・・・!」

詐欺の最初みたいだーーーー!

「マスターは俺の全てなんです・・・・。俺に何でも言ってください」

跪き、俺の手を取り真っ直ぐ俺の目を見てバイコさんは言う。心なしか頬が赤く見える。

綺麗だ!何て綺麗な眼なんだ!眩しい!眩しすぎる!!

「あ、じゃあ・・・お願いします・・・」

綺麗な眼に押された。無理だよ、あの眼はズルイよ・・・・。

店はバイコさんが選んだ大衆的な賑わい活気のある店に入った。

口元を薄く黒半透明の布で隠した褐色肌の美形の店員さんがメニューを持ってきてくれる。

「ごゆっくり」

「ありがとうございます・・・・」

褐色肌のキャラ萌えた事はないんだよなぁ。結構人気だよな世間では。まぁ確かに本物をまじかで見ると良さはちょっと分かる。男だったけど。

「さ!何喰います?グランド料理もー初めてですか?」

「うん・・・・」

てかメニューか!俺この世界の字読めないし!

しかしメニューを読める自分がいる。

「あ、これエア語書いてないですね。スミマセーン!」

「いや、読めます・・・・」

「え!?マジですか!?凄いですね!こんなニョロ~としたグランド語読めるなんて!」

何でだ!?知らない文字だし書こうと思ったら出来ない気がするけど、意味は分かる!読める!

「バイコさんコレ読めないんですか?」

「はい、俺はエア語しか出来ないです。グランドは何回か来てるから感覚でメシ食ったりとかは出来ますけど。そういえばさっき店員とグランド語で話してましたよね」

「いや俺は日本語しか・・・」

「ニホンゴ?」

「俺達が今話してる言葉の・・・」

「へーエア語に別の言い方があったんですか?」

!!!?え、日本語じゃないの!?バイコさんが今喋ってるのって!めっちゃ日本語なんだけど!俺もずっと日本語喋ってるつもりだったんだけど!

じゃあえっと・・・俺が日本語として喋ってるのは向こうはエア語ってのに聞こえて、向こうの言葉は日本語として聞こえるって事!!?

どういう事!?これも転生した時に貰った能力的な!?さっき出た変な魔法陣的なのと一緒で!

「マスター!!敬愛します!!」

深々頭を下げるバイコさん。

「あ~ありがとうございます~」

俺は理解するのに頭パンクしそう・・・・。

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