第17話 新入生最強

「俺が魔族だって言いたいのか?ふざけんな!俺は本当に人間だ!世界を本当の意味で平和にしたいと思ってる、だからこの学園に来て強くなりたいんだ!」


彼女は剣を抜いた今この広場にいるのは春太と彼女だけ誰にも見られていない

この場で殺し合っても誰かが気付くのには少し時間が掛かる。


「私も君を殺したくはないんだけど、魔族の魔力を持っている君は危険だ!ここで殺さなきゃいけない」


「そんな、何でこうなるんだよ!俺は魔族じゃない、君とも殺し合いたくないんだ」


世界の平和の為に彼女は俺を殺そうとしている

怒りの感情もあるそれに、魔族に相当恨みがあるのだろう


「話し合おう、殺し合いなんてよくない、」


「それは分かっている、でも私は魔族を殺さなきゃいけない、両親の仇を討つ為に!」


彼女の両親は数年前魔族によって殺されていた

まだ幼かった彼女は何も出来ず部屋の隅に隠れて両親が殺されているのを見ている事しか出来なかった

その日以来彼女は魔族へ復讐する事を誓い力をつけた。


「ご両親は魔族に殺されたのか?」


「そうよ、だから魔族や魔族に属するものは許せない必ず殺す!」


「ここで騒ぎを起こすのはマズい、頼む、見逃してくれ」


俺は戦いたくない、これから学園生活を共にする仲間と殺し合うなど絶対に嫌だ

お互いクラスの仲間として高め合う関係でいたい、だか彼女の魔族に対する憎しみは途轍もなく見逃す気は全くない。


「すまないが見逃せない、邪魔が入る前に仕留める!」


彼女の手に力が入る

その時俺はサバイバル試験の時の事を思い出した。

試験が始まって直ぐに30人ほど脱落した1人この試験に途轍もなく強い奴がいると予想した。

彼女こそがその人物、他の受験者とは比べ物にならない程の力を持っている、恐らく今年の新入生で最強だ!


「君も今年の試験の合格者だ、そう簡単に殺せるとは思っていない」


「もう殺し合うしかないのか?何なんだこの世界は」


この世界に来てまだ2日しか経っていない、なのに2回も殺されかけている、そろそろ嫌になって来る。


「分かったよ、君が俺の殺したいのは分かった、でも俺は死にたくない、生きていたいんだ!」


俺は構えて拳に力を入れる

殺されたくない、生きていたい、だから精一杯抵抗する。


「殺されてたまるか、生きてやる!」


「そう、私は魔族をこの世から消す魔族の魔力を持つ新入生、貴方は私が殺す!」


彼女は剣を構える、隙のない完璧な構え間合に入ったら確実に斬られる

圧倒的威圧感、勘だか恐らくルミアと同じくらい強い

彼女は攻めてこない、春太から攻めるのを待っている。


「俺の攻撃を待ってるな、カウンターを決めるつもりか」


近距離で戦うのは勝ち目がない

戦うなら遠くから攻撃出来る手段がないといけない。


「魔術を使うか、使えるのはヘルフレイムだけ

マズいな、、」


「来ないの?君の力見てみたいんだけど?」


「今見せてやるよ!ヘルフレイム!!」


この場で出す魔術としては良くない大きな音で他の人にバレてしまう可能性があるからだ

だか俺にはこれしか攻撃手段がないのだ

大きな炎の球は彼女目掛けて飛んでいく

それで倒せるなんて勿論思っていない、俺は魔術を発動した後直ぐに走り出し彼女に近づく


「はっ!」


彼女は剣一振りでヘルフレイムを掻き消した

それは想定内、掻き消した隙に俺は彼女の背後に回り込む

拳を強く握り彼女に全力で殴り掛かる

だが相手の方が格上、俺の攻撃は避けられ彼女の蹴りを受けてしまう


「がはっ、、」


全て読まれていたパワー、スピード、魔力量、技量全てが俺より遥かに上勝ち目なんて無い


「痛い?苦しい?私魔族はこうやって追い詰めて嬲り殺しにするって決めてるの!その方が殺されたお父さんとお母さんも喜ぶでしょ!」


会った時の優しそうな彼女はもういない

今目の前にいるのは復讐に呑まれた狂人


「(声が出ない、死ぬのか俺は?)」


彼女が倒れている俺に剣を向ける、俺は死を覚悟した。


「(俺の人生はここで終わりか、呆気ないな)」


俺は目を閉じ死を受け入れる

やり残した事は沢山ある、それでもいい人生だったと思う


「死を受け入れたのね、じゃあ死ね!」


勢いよく彼女は剣を振るった、避けもしない

人生に終わりを告げ死ぬのを待っていた時だった。

俺の前に誰かが来た

剣と剣をぶつけるような音がした

目を瞑っていたので分からない、何が起きている?


「貴方は誰?何で邪魔をするの?」


誰かが俺を助けに来てくれたみたいだ

一体誰なんだ、全く予想がつかない


「ハルタ、貴方はここで終わりなの?私を殺すんじゃなかった?」


聞き覚えのある声がした

俺は目を開けて確認する。その人物を見て俺は驚いた。


「何で、お前がここにいる!?」














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