第3話 王都に黒い影

チンピラとの一悶着の後俺は助けてもらったお礼にシノの家に泊まる事になった


「親には何で説明するの?」


シノがいいと言っても親が良いって言わなければ泊まれない


「私今一人暮らしだから大丈夫だよ!」


なんか聞いちゃいけない事聞いちゃったかも

気まずい


「そうなんだ」


「お母さんは私が小さい頃に病気で亡くなってお父さんは王国騎士団に所属していて今遠くで仕事してるから今は私1人なの」


「一人暮らしは大変?」


「慣れればそうでもないかな」


「お邪魔します」  


家の中は日本とは違う創りになっている


「そういえばハルタ君は何で旅をしてるの?」


旅をしてると言ってしまっていたのでどう説明しよう


「俺が旅をしてる理由はね、そ、そうこの世界の魔王を倒す為なんだ!」


ここが異世界なら魔王もいるだろう

魔王討伐を目的に旅をしていると言えばそれっぽい


「魔王?もうこの世界に魔王はいないよ」


「え?ウソ?魔王がいない?」


シノの話によるとこの世界に魔王はいないらしい

平和そのものじゃないか


「ハルタ君知らないの?魔王は20年前の戦争で倒されたでしょ」


「あ、そうだったそうだった!忘れてたよ」


「魔王はいないって言っても残っている魔族はいる、それによる被害も少なからず出ているからね」


俺はシノに世界について色々聞いてみることにした。


「なるほどね」


話によるとこの世界には魔族、獣人族、龍人族、エルフ、オーガ、人間、そして天使がいるらしい

他にも動物や魔物などもいるようだ

20年前の戦争で天使によって魔王は倒された

だが最近魔族の生き残りの動きが活発になってきたらしい平和ではあるがいつまた戦争が起きるか分からない


「そうなんだね」


「最近魔族がある組織を作っているって話しは私も聞いたんだよね」


「組織?」


「噂で聞いただけだからよくは分からないんだけど」


「後、今この王都ゼーバルでは謎の殺人事件が起きているの、貴族や王族、騎士団の人達が狙われている」


「殺人事件か、物騒だね」


「だから夜出歩く人はほとんどいないよ」


「最近いつ殺人事件は起きたの?」


「3日前に貴族の屋敷が襲われて全員殺されていたの」


「3日前か」


「未だに犯人は分かってないのよ」


殺人事件、犯人は何かしらの恨みを持っていると考えられる


「王国騎士団も夜は王都を見回って犯人を捕まえようとしてるらしいけど未だに犯人の姿すら見つけられてないの」


「今日また殺人事件が起きるかもしれないって事だよね?」


犯人が捕まっていないのだから今日また殺人事件が起きる可能性だってある


「私は犯人は魔族だと思うの」


「何でそう思うの?」


犯人は魔族、シノはそう言った

根拠なんてないだろう


「早く犯人が捕まると良いね」


「ハルタ君も気をつけてね!」


「ありがとう」


何か嫌な予感がする

今日この後事件が起きる、そんな感じかする。

狙われているのは貴族、王族、騎士団の人間

話を聞いた感じだと一般の人はまだ襲われていない


「ハルタ君、ご飯にしよっ!」


「やったぁ!お腹ペコペコだよ」


シノはそのままキッチンへ向かっていった

テーブルの椅子に座り夕食ができるのを楽しみに待つ

待つ事しばらくして夕食ができた


「お待たせ!今晩はシチューにしてみたの」


この世界にもシチューがあるんだ

食文化はあまり日本と変わらないのか


「美味しそう!」


「沢山作ったからいっぱい食べてね!」


俺はシノと一緒に夕食を楽しんだ

シノは料理が上手だすごく美味しい


「ご馳走様、すごく美味しかったよ!」


「本当?口に合ってよかった」


夕食の後少し談笑していたら夜も遅くなり俺とシノは寝る準備を始めた


「ここに布団敷いといたからゆっくり休んでね」


「ありがとう」


「今日は助けてくれてありがとう、また明日ね」


「おやすみ」


「おやすみなさい」


シノは自分の部屋に行った

俺はリビングで寝る事になった

しばらくしても眠りにつけない

今日異世界へ飛ばされて疲れているはずなのに眠れない

どれくらい経っただろう


「眠れない」


殺人事件の話が頭をよぎる

気になって仕方がない


「外に出てみるか?」


シノは夜出歩くのは良くないと言っていた

危険なのは分かっている事件に巻き込まれるかもしれない


「ずっと嫌な予感がする」


俺はこの世界で何がしたいのだろう

世界を救う?魔族を倒す?まだ分からない


「シノにバレないように外へ行こう」


俺は起き上がり外へ出た


「静かだな、やっぱり誰もいない夜遅いのもあるだろうけどやっぱり殺人事件の影響か」


少し夜の王都を歩くとおかしな事に気づいた

騎士団の人がいない


「シノの話だと見回りしてるはずじゃ?」


そんな事を呟きながら歩いていると黒い影が視界に入る

周りに人がいないのですぐに気づいた


「こんな夜遅くに人影?怪しすぎるだろ」


俺はその人影を尾行する事にした


「まさかっ!殺人事件の犯人か?」



























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