第37話

「でも、修正するって言ったってどうやるんだ?」

純粋な疑問を彼に投げかける。

俺は彼女と対峙したとき、どうしたらいいか分からなかった。彼の記憶がすぐ戻るとも限らないからだ。

『あぁその事か。こう言うだけでいい。

不具合消去Let's end this nightmare、とな』

「不具合…消去?」

『花蓮は元は存在しない人…いないはずなのにいる、ということは不具合に他ならない。開発側も想定してないんだからな』

「はぁ、まるでゲームみたいな」

『実際ゲームの中だからな、いいんじゃないか?こういう呪文みたいなのが1つくらいあっても』

「そういやそうだった…」

色々あって忘れていたがこの世界は普通じゃなかった…

そんなことを思い出しつつ、ふと周りを見てみる。

誰も異変に気付くことなく、楽しく会話している。

崩壊はすぐそばまで迫っているというのに。

「当たり前か…」

多分、視認できているのは俺だけだろう。

転生者、だからだと思う。よく分からんが…

「…ん?」

不意に異変に気付く。あれは…

「…亀井?なんであんなに震えて…」

妙に亀井が震えている。まるで恐ろしいものでも見たかのように。

「なぁ、おかしくないか?あれ」

『あれは…多分あいつも見えてる』

「…どういうこと?」

『あいつも俺と同じ、転生者だ』

「は、はぁ!?転生者って二人いたのか!?」

『そんなに驚くことないだろ?こういう系の作品じゃよくある展開…ってお前に言っても分からないか』

「むぅ…」

『多分あれは、自分がどうなるか分かっちゃった顔だな』

「むしろあんなに殺意向けられててなぜ気づいてなかったのか…」

『あいつはまぁ…この後の自分の展開しか考えてない頭の中がお花畑な奴だから』

「…お前、あいつ嫌いなのか?」

心底嫌そうな声で彼はそう答えた。

『まぁ嫌いっちゃ嫌いだけど…この後あいつがどうなるか考えるとね』

それはそう、と頭の中で共感する。

恐らく彼は…花蓮に酷い目に合わされるだろう。

が、それを見過ごす訳には行かない。

『いい、あんなやつ放っておけ』

「…だが」

『あいつを助けてみろ、こっちにまで飛び火がくる』

「っ!そんな言い方しなくても」

『妥協も必要だ、川瀬さんや陽介を助けたいなら奴は切り捨てろ』

あまりに非情な声色で、彼はそう言った。

「…」

『…俺だって、こんなことは言いたくない。だが、現実を見ろ。今や花蓮は世界を壊す勢いにまでその憎しみを大きくしている』

「…憎しみ?誰に」

『この世界さ。お前…いや俺か。を傷つけた亀井、そしてその亀井を放ったらかしにしているこの学校の大人たち…まぁ他にもあるだろうが…分かるだろう?普段怒らないやつほどキレると怖いんだよ』

「…言いたいことは分かるが」

『納得はできない、か…気持ちは分かるさ。だが、いつまでも悩んではいられない。覚悟は決めておけ』

「あぁ…」









─────────────

もうネタが浮かびません…

そろそろ最終回です。

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