第32話
朝だ。
気だるい体を起こしながら、カーテンを開ける。
「…くはっ、眩しいくらいにいい天気だ」
目が覚める。階段を降り下の階へ行くと、
「…」
「おいなんだよ、朝の挨拶もできねぇのか?あ?」
「…っ、おはよう…」
姉貴が化け物でも見るような顔で俺を見る。
あぁ、めんどくせぇ。とっとと消えてくんねぇかな。
そんなことを考えながら朝飯を食べて、学校へ向かう。
学校に着き、教室に入ると全員が驚いた顔で俺を見てくる。
「…」
「…」
誰も何も言わない。少しイライラする。
「なんだ、どいつもこいつも…挨拶もできねぇくらいに退化したのか?お前ら」
「…」
「…ちっ、もういいぜ、馬鹿らしい」
ここまで言っても何も無いんじゃ、こいつらはもう終わってる。気にしても仕方ねぇか。
「…おはよう、皆」
担任が入ってくる。俺を見つけると気持ち悪いくらいにビクビクしやがる。あぁ、こりゃあ面白いなぁ。
「さて、まずは皆怪我などはなかっただろうか?昨日はこのクラスで爆発事故があったが、特に何も問題は無いな?」
が、誰も反応はしない。当たり前か。
俺みたいなやつを見逃すような奴らなんだ。恨みを買うのも当然だな。
「そして、皆も気になってるだろう、神崎だが…命に別状はなかったようだ。今は病院で安静にしている、良かったら見舞いに行ってやってくれ。場所は…」
……はぁ?
あの爆発を食らって…生きてるだと?
はっ、冗談にもほどがある。あんだけ火薬を積んだんだ。
生きてる訳がねぇ、生き残れるはずがねぇ。
「…奇跡でも起こったってのか、クソが」
神様ってのも分かってねぇよなぁ…あんなやつ生かして言い訳がねぇのは一目瞭然だってのによ。
「めんどくせぇよなぁ…同じやつをもう一度殺す羽目になるなんてさ」
逆に今度はどんな仕掛けを作ってやるか考えるのが楽しみになってきた。
「今度はもっと…派手なのがいいよなぁ」
期待で胸が踊る。
帰り道、家に向かって歩いていると、
「…っつぅ!?」
急に頭に痛みが来る。なんだって急に…
「があっ…な、なんだ…声が…」
─未知のエラーが発生しています。
早急な対処をお勧めします。
「はぁっ、はぁっ…エラー?どういうことだ…?」
唐突な痛みに驚きを隠せず、しばらくそこに立ち尽くしていた。
「エラーなんて…起こる訳がねぇ。ここは俺の世界だ」
俺の世界で好き勝手してるのは気に食わねぇ。
エラーの原因がなんなのか調べて、とっとと潰してやる。
「やること1つ、追加だな…ちっ」
面倒に思いつつ、再び帰路につく。
「帰ったぞー…って誰もいねぇのか」
家に着き、中に入るが誰もいない。荷物を降ろし、冷蔵庫へ向かう。
「…はぁ?何も入ってねぇじゃん」
あいつら、俺の飯を用意しとかねぇとはいい度胸だ。
帰ってきたら誰が1番偉いのか、もう一度分からせておかねぇとな。
とりあえず部屋へ戻り、作業道具を取り出す。
「さぁて…今度はどんな地獄を見せてやろうかぁ?きひひひっ…」
再び楽しい時間を、俺は過ごした。
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