NTRエロゲの竿役の取り巻きに転生したけど、NTRは嫌いだからそんな展開は阻止する。

第19話

「あれって…」

「陽介と…川瀬さんだな」

街中で2人の姿を目にする。2人もデートをしているのだろうか。それにしても、相変わらずというか、陽介は川瀬さんに振り回されていた。

「ま、待ってよ川瀬さ〜ん、まだ食べたばっかりだから動けないって」

「そんな悠長なこと言ってられないわ！早く公園でさっき買ったホッピングやるわよ！」

「そ、そんな〜」

遠目から2人の様子を俺たちは眺めていたが…

「…陽介くん、ご愁傷さまね」

「言うな…さ、俺たちも行くぞ」

「あ、うん」

気を取り直し、服屋へ向かう。

「わぁ、可愛いのがたくさん！わざわざ探してくれたの？」

「うむ、既にこの辺りの土地はリサーチ済みだ。ここは女性に人気の服屋だし、花蓮喜ぶかなって」

「す、すごいわ！いろいろ見ていいかしら！？」

「いくらでも」

そう言うと花蓮は奥の方へ消えていった。

しばらくして花蓮が両手にたくさんの服を抱え、帰ってきた。

「今から買う服を選ぶわ！」

「はぁ」

「これから順番に服を試着していくわ。その中から良いと思ったのを選んでくれる？」

「分かった」

「じゃあ、着替えてくるわ！」

試着室の前で待機する。2分ほど経つと花蓮が出てきた。

「まずはこれよ！」

そう言ってまずはシンプルな軽装で出てきた。

「うん、悪くないな。普通ではあるけど」

「まぁそうよね、でもこれからが本番よ」

どうやら花蓮も同じことを考えていたらしい。

にしてもこれからが本番とは…いったいどんなのが来るのだろうか。

「さぁ！次よ」

そうしてドレス姿の花蓮が出てきた。

「…悪くないけど、外出る用じゃないよね」

まさに社交界で着るようなドレス姿で出てきた花蓮に少し驚く。

「確かにちょっと動きづらいわね…」

ていうかなんでそんな服があるのさ。

そうしてまた花蓮が着替える。今度は、

「どうよ、これは結構いいんじゃない？」

黒色で統一されたまるでどこかの制服みたいな格好で出てきた。しかしこれがなかなか…

「うーん…結構好きだな」

「ほ、ほんと！？」

「あぁ、いまのところ暫定1位だ」

素直な感想を伝える。

「分かったわ、この服ね…じゃあ次で最後よ」

そう言ってまた試着室に戻る。次で最後と言っていたので

少し期待していると、

「どう？」

白いシャツにフリルスカートの姿で出てきた。

その姿は、なんというかコスプレのような感じだった。

しかし問題はそこでは無い。その姿が俺の前世、大好きだったキャラクターの姿だったのだ。もちろん今世でも変わらず好きなキャラクターであるが。

「……な、な」

「…？勇也？」

「う、美しいぃぃぃ！！！」

感極まった声で俺はそう口にする。

「…か、花蓮、その姿はどこで」

「ほ、ほら勇也言ってたじゃない。俺この子好きだって」

以前そんなことを言った覚えがある。覚えてたのか…

「だから、同じ格好すれば喜んでくれるかなって」

「…2着だ」

「えっ？」

「その服とさっきの制服、2着買います」

「……えっ、あっ、ありがとう！」

こうして俺は財布をすっからかんにした。