第17話
いったん状況整理しよう。
現在深夜3時頃と思われる時刻だ。そしてそんな時間に花蓮が俺の布団に入ってきている。たしか前にもこんなことが…
…余計にこんがらがってきた。前回は今みたいに特別仲が良い訳ではなかったから俺も手を出さなかったと思う。
でも、2回目となると話は変わる。マジで誘ってんの?
健全な男子高校生の眠る布団に入ってくるとか、本当に誘ってるとしか思えないんだが…
あっ!そうだ!
こいつ寂しがり屋なんだ!きっとそうだ。そうに違いない。
これ以上何も考えないために俺は花蓮を寂しがり屋にした。
そうして心を無にし、再び寝ようとしたが…
「…zzz」
横から聞こえてくる可愛い寝息のせいで眠れない。
あぁ神よ…何故俺にこんな苦痛を与えるのです…
「……やよ」
ん?なにやら寝言が聞こえる。
「いや……置いてかないで……」
「勇也……待ってよ……」
「…花蓮」
俺はそっと花蓮を優しく抱きしめる。
前回もこうやって寝言を言うことはあった。その時は何も思わなかったが、今じゃ心にずしりと来る。
いつの間にか、花蓮が大事に思えてきたのかもしれない。
自意識過剰かもしれないが、花蓮は多分俺がいないとダメなんだと思う。だからきっと、こうして俺のところに来ている。
今日の夜は、やけに長いように感じた。
「…んぅ、うーん」
「あ、起きました?」
「…ん、結衣ちゃん?」
「おはようこざいます、花蓮さん」
「おはよう…」
「今、下で兄さんがご飯作ってるんで、食べにいきまsy…」
「……」
「…花蓮さん?」
「ん?あぁ、分かったわ!着替えるから先行ってて…」
「…そうですか?では」
「…」
私、昨日勇也の部屋に行ったと思うんだけど…
いつの間に、結衣ちゃんの部屋に移動したのかな…
もしかして勇也運んでくれた?いやないか…
いやでも、もしかしたら…まぁいいや、早く下いこーっと。
「おう、花蓮起きたか」
「おはよう」
「あぁ、おはよう。ちょっと待ってろ、今飯作ってるから」
「私今日体調崩しちゃってたみたいで…今日は兄さんに作ってもらってるんです」
「へぇ…勇也料理できたの?」
「まぁ多少はな、ほいっと」
勇也が華麗にオムレツを作る。その後ろ姿はさながら料理人だった。すごいなぁ…とっても料理上手じゃん。
それに比べて私は……
「はい、今日の朝飯、オムレツ、ソーセージにサラダ、そして焼いたパンだぞ」
「わぁ、おいしそうですー」
「…いい匂い、すごいわね」
「それほどでも…ほら、冷めない内に食べよう」
勇也の作った料理を食べ終え、一息つく。
その間に、私は昨日あったことをいろいろ考えてみた。
まず海に行って、水着見せて…そしていっぱい遊んで、お昼食べて、ナンパに遭遇して、流れで付き合うことになって…
で勇也の家に泊まって、勇也の布団に忍び込んで…
「…最後のほう酷いわね」
なんなのよ勇也の布団に忍び込むって…
そういえばこの前泊まったときも私勇也の布団に忍び込んでたわね…(ほぼ夜這いじゃない。)って思ったけどやったのは自分だって思うととても恥ずかしいに気持ちになる。
「なんだか、暖かい夢だったなぁ」
勇也の布団に入り、眠った後の夢を思い出す。
まるで誰かに抱かれているような夢で、それはとっても暖かった。そして、とっても落ち着く夢だった。
「もう1回見たいなぁ」
居間に1人の私は、そんな言葉を漏らす。
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