第14話

あれからしばらくして、俺たちは海から自宅へと帰ってきた。ゲームではありえないことが沢山起こったが、楽しかったのでまぁよしとしよう。だが…

「…花蓮、なんでついてくるんだ」

「…ま、また泊めてもらおっかなぁ〜って…」

そう、俺と花蓮は正式にお付き合いさせてもらうことになったのだが…あれから花蓮が積極的な気がする。

「ゆ、結衣からもなんか言ってやれよ」

「あっ、お二人の邪魔はするつもりないので…遠慮なく」

「まだ早ぇよ、って!そうじゃなくて!」

「えっ!?やらないんですか!?」

「アホか!!」

いくらなんでも気が早いよ、妹よ…

「いいか花蓮?そもそもこの前のあれは天候的な問題もあってだな…だから今日は」

「…だめ?(´;ω;`)」

「ぐっ……わ、分かったよ」

自分の意思の弱さに不甲斐なさを感じる。

仕方ないだろう…あんな顔で迫られればな。

「はぁー…しかし、今日は結衣の部屋で寝ろ。

これは絶対条件だ、いいか?」

「むぅ…分かった」

嫌そうな顔をする花蓮。仕方ないんだ、そうでもしないと多分俺は自分を抑えられない。

だが、嬉しそうなのに変わりは無い。機嫌を悪くしなかったようでほっとした。

だが、後ろに謎の気配を感じる。嫌な感じがする。

急いで振り返ってみたが、誰もいない。足音がしたので恐らくここを離れたのだろう。

…誰だ?

「どうしたの?急に後ろ向いて」

「…悪い、なんでもない」

踵を返して、俺は帰路に着く。



「神崎…なんであんな楽しそうに…」

神崎を後ろから眺める影、亀井がその光景を見ながら一人呟く。丁度亀井も自宅へ戻っている途中だった。そしてふと、こう思った。

なんであいつはあんなに楽しそうな毎日を送っているのに、

俺はなんで全然楽しくない毎日を過ごしているんだ。

なんであいつだけ…ナンデアイツダケ……

亀井の嫉妬心が大きくなる。

亀井の心はさらに黒く染まっていく。



家に着き、中に入る。

「ただいまー…って、誰もいないんだけどな」

「もしかしたら誰かいたりしてね」

「そんなわけ…」

「…おかえりぃー…」

「ひっ」

思わず声を漏らす。ま、まさか本当に誰かいるのか!?

と思ったら、

「なんてね、僕だよ勇也」

暗闇の中から陽介が出てくる。

「あっ、お前!合鍵で先に入ってたな!」

「へへー、ドッキリ成功だね」

「このやろーー!」

陽介の家族の人達とは仲良くさせてもらっているので、

お互い何かあった時のために合鍵を所持しているのだが…

まさかこんな使われ方をするとは思っていなかった。

「はははっ!ヤバそうだから僕はここらで退散するよー」

陽介がささっととんずらした。ふざけるなまだやり返しt…

まぁ仕返しは今度するとして、今は疲れているのでリビングへ向かい、ソファに倒れ込んだ。

「相当疲れ溜まっていたのね…大丈夫?」

「大丈夫…ちょっと寝れば問題ない」

そう言って俺は眠りにつくことにした。

「ご飯できたら言って…」

そして俺は寝た。



「兄さん…兄さん、起きてください。ご飯ですよ」

「んぁ…?」

「今日は花蓮さんも手伝ってくれたんですよ?早く食べましょう」

「…ん、分かった」

重い体を起こし、食卓につく。

花蓮が起きた俺を見てドヤ顔をしていたが、そんなに料理頑張ったんだろうか。

少しわくわくしながら、出来上がったご飯を頂くことにする。

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