第12話

「ねぇ勇也、私お腹空いた!」

海から戻ってきた花蓮が言う。

「ふむ、もう昼だしそろそろ昼ご飯にするか」

ちょうど良い時間なのでお昼を頂くことにする。

「結衣、準備お願いできるか?」

「はい!少々お待ちくださいね」

結衣に昼ご飯の用意を頼む。実は結衣が昼ご飯に弁当を用意してくれたのだ。



「はい、こちらが今日のお昼になります」

持ってこられた弁当を開ける。

「わぁ…とっても豪華ね!」

花蓮が喜びの声を上げる。俺もそんな声が出そうになった。

「このお弁当は三段弁当になってまして、上からおかず、おにぎり、デザートの順番になってますよ」

一番上のおかずゾーンにはからあげ、ウィンナー、卵焼き、サラダ、しょうが焼き、と美味しいものを取り揃えており、

おにぎりゾーンには梅おにぎり、塩むすび、鮭おにぎり、海苔巻きおにぎりや高菜おにぎり、とこちらもいい物が揃ってある。デザートゾーンには保冷剤でキンキンに冷やされているアイスが沢山あった。

「凄い…これ、全部結衣ちゃん一人で?」

陽介が驚いて質問する。分かるぞ、その気持ち。

「はい、朝早くから準備させて頂きました」

「すごいじゃない、一人でこれを作るのは大したものよ」

「ふふ、ありがとうございます。さ、早く食べちゃって下さい」

「ふ、ふふ、もちろんよ!いただきまーす!」

花蓮が我先にと箸を伸ばす。その先には…からあげだ。

「まずはからあげから…あーん…(もぐもぐ)」

「どうですか?お味は」

「…!う、う、」

「…うまーーーー!」

花蓮が大きな声で叫ぶ。デカすぎだ…

「時間が経ってあるはずなのにこのサクサク食感…そしてこの

柔らかい鶏肉にパンチのあるこの味!美味しくないわけがないわ!」

「へぇ、どれどれ…ん!確かにうまい!」

「ふふ、良かったです」

「今度は…卵焼きよ!」

花蓮が今度は卵焼きを頬張る。反応は…予想通り、

「うんまぁーーーーい!!」

だそうです。

「ふわふわ卵にお出汁がたっぷり染み込んでて…最高よ!

結衣…あんたの弁当、完璧ね!」


将来食レポでもすればいいんじゃないかと言うくらいに

レビューをする花蓮。オモロイな…

「花蓮の言う通りね。このサラダ、どれも新鮮よ」

「こっちのウィンナーも、皮がパリパリだ!」

「我が妹の料理スキルは世界一ィィィィーーーーッ!」

こんなに褒められればこう言いたくのも分かるだろう?

それだけ俺の妹は優秀なのだ。

「皆さん、おかずだけじゃなくご飯も食べてくださいね」

「むっ!早速頂くわ!」

最速で花蓮が弁当からおにぎりを取る。

「そんなにしなくても誰も取らねぇよ…」

「もぐもぐ…ダメよ!この弁当は私のよ!」

「何をアホなことを言ってるんだ」

そうして昼が過ぎていった。



「ふーっ、美味しかったー」

「ご馳走様」

「ごちそーさま。美味しかったよ、結衣ちゃん」

「我満足」

「はーい、ありがとうございますー」

結衣が弁当を片付けに向かう。

「さて!お弁当も食べたしまた海に向かうわよ!」

「早くない?もうちょい待と?」

「じゃあ私一人で行ってくるわ!」

「えっ、あっちょ」

「うわぁーっは〜」

「…」

まぁいいか…

少し休んでからでも大丈夫だろう。…と考えていたんだが、

「よォ姉ちゃん、今一人?」

「あ?誰よあなた達」

「綺麗な人だねぇ」

厄介だ、ナンパ野郎が現れやがった。

「一人ならさ、俺たちと一緒に遊ばねぇか?」

「はぁ?嫌よ、私友達と来てるのよ!」

「でも周り誰もいねぇじゃーん」

「こ、これは…」

「誰も来ねぇなら大丈夫だって、ほらあっち行こうぜ?」

ナンパ野郎が花蓮に手を出そうとした瞬間、

「貴様らぁーーーー!!!」

「うおっ!?な、なんだお前!」

「花蓮から離れろやぁーーー!!」

「ゆ、勇也!」

「あ?お前、この人の連れ?」

「そうだ、邪魔だから消えろ」

「うるせぇなぁ、いま俺達この人と話してただろ。

邪魔はそっちだよ、失せろや」

「私さっきから嫌って言ってるじゃない!話し合いもクソもないわよ!」

「お口が悪いようだなぁー?こりゃちょっと躾が必要か?」

「おっとぉ、躾が必要なのはそっちなんじゃないか?」

「なんだよ、さっきから!さっき失せろっつったろ!」

「どうせお前こいつの彼氏じゃねぇだろ!」

「…っ」

「いや!彼氏よ!」

「は?」

「は?」

「は?」

は?今なんて?ちょっと聞き返してみる。

「…花蓮?さっきなんて…」

「〜っ///勇也が私の彼女って言ったのよ!」

「ファッ!?」

驚きのあまり変な声が出る。

「花蓮さん、ちょっと今それを言うのはマズいんじゃ…」

「何よ!嫌なの!?」

「そ、そんな訳ないじゃないですかー」

「じゃあ別に構わないでしょ!?

ほら!私彼氏いるからあなた達とは遊ぶ時間ないのよ!」

「ふ、ふざけんじゃねぇ!どう見てもいま彼氏にしたろ!」

「うるさいわね!早く消えなさいよ!」

こんな感じでギャーギャー騒いでいたんだが、

「あそこです!あそこの三人組が、私の知り合いを!」

「こらぁーー!人に迷惑掛けてんのは誰や!」

どうやら川瀬さんが警備員さんを呼んでくれたらしい。

「な、なんだあいつ!スゲェ筋肉してるぞ!」

「つ、捕まったら死ぬんじゃね!?」

「早くズラかろうぜ!やばいってあれは!」

ナンパ野郎達は警備員さんの肉体に恐れたのかどこかへ消えてしまった。

「待てぇい!逃がさんぞ!」

警備員さんが追いかけに行く。終わったなあいつら。

「大丈夫か?花蓮」

「うん、ちょっとびっくりしたけど…大丈夫」

「よかった」

「…」

「…」

「この際さ、もう付き合っちゃおうよ」

「えっ」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る