第11話

「勇也ー?まだー?」

「待って陽介…あと少し」

水着に着替え、砂浜へ出る。既に女性陣は着替えを終えていたらしく、俺と陽介を待っていた。

「あ、遅いわよ!早く行きましょ!」

花蓮…その姿ではしゃぐな…抑えられなくなる。

花蓮の水着はピンク色のビキニスタイルで花蓮の豊満な胸を強調しており、

とても…すごいです。

「花蓮、はしゃぎすぎよ」

川瀬さんはなんとハイレグで、川瀬さんの周りにオーラでも漂っているのかと錯覚するくらいにベストマッチだ。

「そうです!まずは準備体操からですよ!」

そして結衣は、花蓮と同じビキニスタイルではあるが花蓮と違って白色で、なんとなく結衣のイメージに合っており、こちらも非常に美しい。

で、俺たち男性の水着はというと、陽介は海パン一丁にゴーグル、浮き輪付きと完全に子供みたいになっている。俺はラッシュガードと海パンを着ている。

そんなことはどうでもいいって?分かってます。

「結衣の言う通り、まずは体をほぐそう。適当に運動してから入れよ」

「「「「はーい!」」」」

「うむ、いい返事だ」



花蓮達が海に飛び込む。他の人がいるのにお構いなしだ。

その様子を眺めていると、向こうから川瀬さんがこちらへ来る。

「あら、神崎くんはまだ泳がないの?」

「俺は…まだいいかな」

「そう…」

そういって川瀬さんは俺の隣へ座る。

「そういえば…川瀬さん、どうして陽介とくっついてるんだ?」

「ん?あぁ、そういや話してなかったわね…」


「あれはまだ高校に入って少ししか経ってなかった時のことよ。私が教室に花蓮といると、確か亀井くんが私のとこに来たのよ。そして、」

『時が来た…俺と一緒に来てもらうぞ』

『はぁ?なに言って…ちょっ、離しなさいよ!』

『ちっ、機械のくせに盾突くんじゃねぇよ!』

『機械って…どういうこと!?説明しなさい!』

『別に知る必要はねぇんだ、いいから大人しくきやがれ!』

『ちょっとアンタ!これ以上真緒を困らせるんだったら…』

「その時、陽介くんが教室に入ってきたのよ」

『ねぇ!なんか声が聞こえるけど…どうしたの!?』

『あなたは…新田くん?』

『…!亀井くん!その手、放してやりなよ!川瀬さん、嫌がってるじゃないか!』

『あぁ?クソガキが…調子に乗ってんじゃ…』

『…』

『…ちっ、狂ってるぜ』

「彼はそう言って教室へ出て行ったけど、そんなことはどうでもよかったわ。

その時の私の意識は完全に陽介くんの方へ向いていたから」

『ありがとう、新田くん…』

『いいよ、それより二人とも大丈夫?』

『えぇ、私たちは大丈夫よ』

『…』

『…あれ、川瀬さん?どうしたの?』

「私はその時彼に惚れたわ。即座に他人を心配できる人、この世の中にはそうそういないからね。おそらく花蓮もそのとき一緒に彼に好意を抱いたと思うんだけど…どうして今はあなたとくっついているのかしらねぇ」

「…オーケー、分かったから」

「まぁこんな感じよ、伝わったかしら」

「おう、十分」

こんな秘話があったとは…亀井の奴、ずいぶん早くから川瀬さんとの接触を図ってたのか。

すると、

「こらぁーーー!!!真緒!!勇也と何話してるのよーーー!」

花蓮の怒号が聞こえる。

「あら、勘違いされちゃったわね、ごめんなさい」

「いいよ、俺から誤解解いとくから」

「ありがとう、じゃあ私向こう行くから」

そう言って川瀬さんが離れ、今度は花蓮が横に来た。

「ねぇ、大丈夫?何にもされてない?」

「なんもねぇって」

「ほんと?」

花蓮が上目使いでこちらを見る。これは…川瀬さん以上の破壊力だ。

「そもそもタイプじゃないんだよあの人」

「そ、そうなのね」

とりあえず誤解が解けたようで安心した。

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