寂しがり屋のモグラ

あるところに、寂しがり屋のモグラがいました。


彼の名前はモグと言います。モグはとても寂しがり屋で、友達が欲しかったのですが、なかなか見つかりませんでした。


モグは地下の穴で暮らしていましたが、時々地上に出て、他の動物たちと遊ぼうとしました。しかし、モグは目が悪くて、地上ではうまく動けませんでした。  


それに、他の動物たちはモグのことを変わり者だと思って、からかったり、無視したりしました。モグはとても悲しくなりました。


ある日、モグは地上に出て、森の中を歩いていました。すると、突然、大きな音が聞こえてきました。


モグは驚いて、音の方に向かって走りました。音の正体は、木にぶつかって倒れた小さな鳥でした。


鳥の名前はピヨと言います。ピヨは翼を怪我して、飛べなくなっていました。モグはピヨに声をかけました。


「だいじょうぶ?」


「だいじょうぶじゃないよ。翼がすごく痛むんだ」


「かわいそうに。ぼくが手伝ってあげるよ」


モグはピヨを優しく抱き上げて、自分の穴に連れて行きました。モグはピヨの翼に葉っぱを巻いて、包帯を作りました。そして、ピヨに食べ物や水を与えました。ピヨはモグの優しさに感動しました。


「ありがとう。君はなんて名前なの?」


「ぼくはモグ。モグラだよ」


「モグラ?初めて見たよ。君は目が悪いの?」


「うん。だから、地上ではうまく動けないんだ。」


「そうなんだ。でも、君はとてもやさしいね。ぼくはピヨ。鳥だよ」


「ピヨ?かわいい名前だね」


モグとピヨはたくさんのお話をしました。


モグは地下の世界のことを、ピヨは空の世界のことを、それぞれ教えあいました。モグとピヨはとても仲良くなりました。モグは初めて友達ができて、とても喜びました。ピヨもモグのおかげで、元気になりました。


やがて、ピヨの翼は完治しました。ピヨは飛べるようになりました。


ピヨはモグに別れを告げました。


「モグ、ありがとう。君のおかげで、すごく助かった。君といた地下での生活もすごい楽しかったけど、やっぱり、ぼくは飛ばなきゃなんだ」


「そうなんだ。わかったよ。でも、ぼくは寂しくなるな」


「大丈夫。ぼくは君のことを忘れないよ。君はぼくの大切な友達だから。また会おう」


「うん。また会おうね」


ピヨはモグに別れの言葉と、笑顔を向けて、空へ飛んでいきました。


モグはピヨの姿が見えなくなるまで、見送りました。モグは涙を流しましたが、心は温かさに満ちていました。


モグはピヨとの思い出を大切にしました。そして、モグはまた地下に戻りましたが、寂しくはありませんでした。モグにはピヨという友達がいたからです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る