第3話 再燃と違和感

 2022年の8月。


 その年の私は唐突に寝かし続けていたネタのSF小説を書き始め、初めてカクヨムに投稿をはじめた。

 そしてその年のカクヨムコン8をきっかけに、Twitterに創作用アカウントを開設し、作品世界を書くことに没頭した。


 とても楽しかった。


 寝食忘れるレベルで没頭し、スペース等で他の作家様と楽しくおしゃべりし、普段わりと孤独に仕事をしていた身としては、本当に刺激になって楽しかった。


 楽しかったのだが……相方、つまり夫は不満を募らせ、2月にそれが爆発した。


 仕事に関するストレスもあった。それらが積もり積もって、一度は寛解していた鬱状態が、じわりじわりと頭をもたげはじめた。


 3月、4月と希死念慮が募る中、かかりつけの脳外のT先生に「以前もらっていたのが無くなって不安なので」とエチゾラムを処方してもらったが、それで治まることはなく、5月をすぎる頃には不眠も酷くなり食欲と同時に体重も減っていった。


 7月末の大きなイベントが終わった後、ついに心療内科の予約を取った。

 とにかく、楽になりたかった。


 実はその頃からずっと胃のあたりが痛かったのだが、精神的なものだろうと思っていた。

 

 9月に入り、色々試した薬の中でジェイゾロフトがいい感じに効いてきて、そのおかげと睡眠薬で精神的に安定したにもかかわらず、痛みは続いて食欲はもどらず体重は減りつづけた。


 コロナ禍で外出が減り体重が増えていたので、ダイエットの良い機会だと思っていたのだが、なかなかの減り具合に自分でも少し不安になってきた。


 胃痛は背中の痛みになり、「もしかしてヤバいやつ?」と思い始めた。相方には「食べなさ過ぎて心配だ」と真顔で言われもした。


 ときどき左の腰辺りに昨年の腎盂腎炎の時のような少し張ったような不快感を感じつつも、心窩部の左上が痛んだり腹部膨満感などに悩まされた。


 やがて体重は結婚前ぐらいの一番痩せていた頃まで落ち、私はクローゼットの中にしまってあった当時のスカートを何枚かひっぱりだして履いてみた。


 入らない……orz

 なぜだ。おかしい。ジーンズはこんなにブカブカなのに。


「筋肉が無いからだよ。年だから!」


 そう言って相方が笑った。悔しいので彼のお腹のぜい肉を「このっ!」と摘まんでやった。


 些細な事と疲労で多少メンタルの上下はあるが、精神的な部分は概ね再燃前まで戻ってきていた。


 それでも内科を受診することには後ろ向きだった。

 ただでさえ現在2つの病院に行って医療費を食っているのに、さらに受診科を増やすののが申し訳なかった。家計的に相方に迷惑をかけてしまっている。だから、胃薬を飲んでみたり痛み止めを飲んでみたり、あまり胃に負担がかからないものを食べたりのセルフケアをしていた。




 ある晩、痛みで何度も目が覚めた。

 それが二日続いた10月末、これがきっかけでまた不眠ループに陥るのが怖くなった私は、ついに近所の総合病院の内科を受診した。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る