一章:前世の自分が忌み嫌われる異国にて
第3話 生き延びるため学園に侵入するそうです
魔族化後の主人公イメージです!
https://kakuyomu.jp/users/Shujiiiin/news/16817330667796318288
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オリデンス神聖帝国から西へ一万四千数百キロ 異国イタヴォル某所
一体どうしてこうなった?
「今度は武装傀儡、こいつらはちょっと手ごわいよぉっ!」
赤絨毯の敷かれた洋風の室内に、甲高い声がこだまする。
その声の主は部屋中央に仁王立ちする金髪少女。
そのどこか興奮冷めやらぬ様子で叫び立てる彼女を横目に、私は眼前に呼び出された人型傀儡たちを見つめていた。
百八十センチほどで骨太の体格の人形が二体。
それぞれ全身灰色の服に身を包んでおり、右側の人形はアサルトライフルを構えている。
もう一方は近距離戦闘型なのか、右手にはコンバットナイフ、そして左手には小型丸鏡にも似た簡易式起動印が持たされていた。
おまけに、それぞれの傀儡の頭にはフルフェイスアーマーが装着されており、脚部にはおそらく機動術式が施されたコンバットブーツを履いている。
そのまま前線で運用できそうな、見事な現代型軽装歩兵。
それが二体、私の目の前にいた。
「使用してよい術式は?」
「機動補助術式のみ!では、始めぇっ!」
ブゥンという低い振動音と共に、二体の傀儡の目に灯がともる。
いきなりですか。
ワンテンポ遅れながらどうにか、私はも機動補助術式を展開。
しかし、その間にも、コンバットナイフを持った傀儡が私へ突進を開始し、傀儡の背後からはアサルトライフルの5.56㎜弾が隙間を埋めるように襲い掛かってきた。
セオリー通りの連携だが、彼らから感じるのは確かな殺意。
距離は五十。もう飛ぶしかない。
私は前方の傀儡がナイフを持って突き出してきた右腕を踏み台にして、跳躍する。
そしてそのまま空中で前回りをして態勢を整え、勢いそのまま、ライフルの反動のせいか、上方向への反応が遅れた銃装傀儡にかかと落としを食らわせる。
流石のフルフェイスも全体重を乗せた一撃には耐えられなかったか、何か砕ける音がして、後方の傀儡の動きが止まった。
これで、まずは一体ノックアウト。
ほっとしたのも、つかの間、背中の方から急激な魔力の高まりを感じる。
急いで振り返ると、ナイフ傀儡が左手に持つ簡易起動印を展開し。こちらへ焼却呪文を詠唱し、拳大ほどの火球を宙に浮かべていた。
「こりゃ、死んじゃいますねー。」
と脳内で私を魔族にした張本人、邪神ヴェータスの声が響いてくる。
いや、『ますねー』じゃなくて、助けてくれよ...。
丸焼きになりたくない一心で、展開中の術式陣ごと左手刀で突き刺したところ、どうにか起動印を粉砕することに成功し、その後、傀儡が振り下ろしてきたコンバットナイフも、側頭部へのまわし蹴りに巻き込み無力化した。
「ナイスッ!実技は文句なしだね!」
と銃弾でずたずたになった赤絨毯の上で、黒い煙を上げる傀儡を前に口笛を吹く、金髪少女。
ここはおそらく応接間。
そして、私は何故だか、異国で魔術学院の制服を着て、教授を自称する少女の前で、物理攻撃主体の近接戦闘試験を受けさせられている。
一体どうしてこうなった。
…言うまでもない。
全ては、私の正体が人類の敵『魔族』だとバレ、危うく銃撃戦で駆除されそうになったところから始まったのだ。
◆◆◆コメント◆◆◆
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