第43話 時間確保の方法
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緩く抱きしめながら何度かキスをして、腕の中でカチカチに固まってた美乃莉ちゃんの肩の力が少しずつ抜けてちょっとだけ俺に寄りかかってきてくれて、やっとこの子が俺のもんになったって実感が沸いてくる。
「さっきさ、あんま会えないって言ってたけど、時間が不規則なのは俺も同じなんだよね」
「・・・そう、ですね」
多分だけど、今までの彼女達の比じゃないくらい俺達には会える時間が少ないだろう。
なんせ相手が忙しすぎる。
下手したら1ヶ月とか平気で会えない。
「・・・どうしよっか」
アイドルは忙しいって言われるけどコンサートツアー時期と年末以外は何気に週一で休みがあったりするし、絶対に美乃莉ちゃんの方が多忙だろう。
だからさ。俺のワガママを言わせてもらえば、美乃莉ちゃんの仕事が終わったら真っ直ぐ俺んちに来てほしいと思う。
多分それくらいしないとマジで逢瀬の時間が無い。
でもこれいきなり言うのはダメだろ。でも。
「・・・俺、ちゃんと本気だからさ。出来れば、俺に美乃莉ちゃんの時間、頂戴?」
「はい・・・」
うん・・・。頷いてくれるのは嬉しい。
けど、マジで具体的にはどうすりゃいいんだって話だよ。
・・・もういっそ一緒に住みてえよ・・。
こっそり『はあっ』って息を吐いたら、美乃莉ちゃんが突然ガバッと頭を上げた。
「え!?」
「え!?」
「・・・今・・・」
美乃莉ちゃんの顔を見ればそれはもう驚愕!って表情。
って、これ、マサカだけど。
「え!? 俺今声に出してた!?」
「はい・・・///」
「マジか(笑)
ごめん。ちらっと思ったことが口に出ちゃったわー(笑)
さすがに今はそこまで言わないよ(笑)」
さすがに付き合った初日から一緒に住もうとか、無いわ。
いや、俺テキにはもうアリでも良いくらいだけど、でもやっぱナシだろ。
ごめんと謝る俺に美乃莉ちゃんは苦笑して、「でも・・・」と言葉を続けた。
「ん?」
「それくらいでもしないと、きっと私達、頻繁に会うなんて無理ですよね・・・」
「あー・・まあねえ。多分俺達日本でトップクラスに忙しい職業同士のカップルだと思うし?(笑)」
「・・・」
俺が言うと、彼女は顎に手を当てて何かを考え始める。
え? まさか同居に前向き?・・なわけないか(笑)
「美乃莉ちゃん?」
「あの・・・ウチ、来てます?本ばっかりですっごい殺風景な部屋ですけど・・・」
「・・・・・本気?」
いや、俺は願ったり叶ったりだけど!!
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