第41話 愛が溢れて仕方ない
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まだ涙の残る目尻を指先でそぅっと拭う。
けれどまた同じところから雫は落ちて。
「泣かないで・・・」
恐る恐る、濡れた頬に唇を寄せた。
ゆっくりと、驚かせないように肩を抱き、自分のもとに引き寄せる。
「・・・本当に、俺でいいの?」
「皐月さんが、いいです・・・」
抱きしめると、その指先でそっと服を握り返してくるのがたまらなく可愛いと思う。
ついさっきまで離れた方がいいとか思ってたのが、もう離したくないに変わってる。
細い肩を抱いて、髪にキスをして、こつんとオデコを合わせ視線を交わすと、薄っすらピンクだった頬が色を濃くする。
「・・・このままキスしたら、怒る?」
こういう訊き方はズルイって分かってるけど、我慢できない。
「っ・・・ううん」
彼女は急展開にビックリしたのか一瞬だけ目を見開いて、けど顔を真っ赤にしながら瞼を伏せたのに、胸の中の愛しさがぶわっと溢れた。
俺のせいでファンデの取れた頬を包み、そーっと唇を重ねる。
「っ・・・」
チュ・・チュ・・と、何度か角度を変えて啄ばんで。
「美乃莉ちゃん・・・」
気持ちよくて。
息継ぎをする合間に名前を呼んで、また唇を合わせて。
「ん・・っも、う・・っ」
結局、耐え切れなくなった彼女に胸を押されるまで止まれなかった・・・(笑)
「長すぎ・・・っ」
「ごめん。あんま気持ちよくて(笑)」
「っ///」
さすがにさ。お互いいい大人だからこの先の行為なんかも知ってる訳で。
でもまあ、付き合った初日って考えるとちょっとがっつき過ぎた感はある。
「さすがにこれ以上は、また今度にしてもらいたいです・・・」
真っ赤な顔で、少しだけ息を乱した彼女が睨んでくるのに苦笑するしかない。
「うん。マジごめん。あんま嬉しくて。止めてくれてありがと」
腕を緩めてソファに深く座りなおすと、隣ではすーはーと深呼吸している彼女。
「・・・結構、肉食なんですね・・・」
向き直った彼女が言うのに俺はまた苦笑した。
「いや・・・もう愛があふれちゃって(笑)」
まだ少し赤い彼女が可愛すぎて、茶化さないと堪えきれない。
マジな雰囲気になっちゃうと、俺また行っちゃう!
なのに。
「っ!!///」
「マジに受け取らないで/// いやマジだけど!俺も舞い上がってんの!」
ぶわっと首まで赤くなった彼女に、俺はバフッとソファに倒れこんだ。
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